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【リア’s レポート】SUPER GT Rd.6(鈴鹿)予選

「これがなくちゃはじまらない」
モータースポーツファンが毎年待ち望み、楽しみにしているレースが国内にはいくつかあります。その中でも特に伝統あるレースのひとつ「鈴鹿1000km」は、モータースポーツファンの間でも夏の風物詩であるビッグレースです。

現在はSUPER GTのシリーズ戦の一戦に組み込まれている「鈴鹿1000km」は、今年をもって同形式での開催は最後となり、来年からは10時間耐久レースへと変化することに。参戦マシンもGT3規格をメインとしたものとなるため、GT500車両は参戦ができません。

SUPER GTシリーズの鈴鹿ラウンドとしては、初夏の時期に300kmレースとして開催される予定となっており、そのため今年の「鈴鹿1000km」が開催された2017年8月26〜27日は、多くのファンが伝統レースの最後を見届けようと鈴鹿サーキットを訪れました。

連日の雨や台風の接近などで、夏らしからぬ肌寒い天候が続いた日本列島でしたが「最後の1000kmは暑く締めくくりたい!」というファンの願いが届いたのか、レースウィークの鈴鹿市の予報は晴れ。しかし、そんなレースも最後まで面白くしようというレースの神様の計らいか(?)予選日の朝は予想外の雨となりました。

予選が行われる予定の午後には好天候が予報されていたものの、予選前の練習走行はウェットコンディションのなかスタートすることとなり、予選シミュレーションをしたい各チームにとって厳しい1日の始まりとなりました。Moduloサポートチームである64号車EPSON Modulo NSX-GTも、ウェットタイヤでベルトラン・バゲット選手が走行を開始。トップタイムをマークし好調な滑り出しを見せます。

走行時間が進むとともに路面のレコードラインは乾き、ドライ路面用のスリックタイヤに履き替えたチームがタイムを更新し始めます。シーズン後半戦に入り、ランキング上位のチームがウェイトハンデに苦しむなかで速さを見せたのは、ウェイトが軽いチーム以外ではミシュランやヨコハマタイヤ勢が好調を感じさせました。

とはいえレースウィークにトラブルはつきもの。練習走行残り45分、GT300の車両がクラッシュしたため赤旗となり、セッションは一時中断となります。再開後のGT300・GT500それぞれの専有走行時間では、もうひとつのModuloサポートチームである100号車RAYBRIG NSX-GTがトップタイムをマーク。64号車EPSON Modulo NSX-GTは9番手と、両チームが好調な滑り出しを見せました。

予選前に行われたピットウォークは、土曜日の予選日とは思えないほどのファンの来場によりピットレーンは満員。同じホンダチームの16号車MOTUL MUGEN NSX-GTに、元F1チャンピオンのジェンソン・バトン選手が第三ドライバーとして起用されたこともあり、ホンダ陣営のエリアは大盛り上がり。いつもより多くのSUPER GTファンが、土曜日のピットウォークを賑わせました。

 

そして午後14時35分。まずはGT300クラスの一回目の予選Q1が開始され、GT500のQ1が後に続き開始。15分間設けられたQ1は残り10分まで動き出しがなく、24号車のGT-Rが先陣を切り、各車がコースイン。残り7分を切ったところで、64号車EPSON Modulo NSX-GT、100号車RAYBRIG NSX-GTが共にコースイン、予選アタックを開始しました。

そしてセッション終了間近に100号車がトップタイムを更新すると、64号車のバゲット選手は6番手のタイムを出し、64号車EPSON Modulo NSX-GTにとって、今シーズン初めてとなるQ2進出を決めました。

チームが興奮と期待で盛り上がる中、Q2が間もなく開始。Q1の上位8チームで競われるQ2は、ホンダ3チーム・トヨタ3チーム・日産2チームと各メーカーが入り混じる展開。まずは好調の24号車GT-Rがコースレコードを更新しトップへ浮上。64号車EPSON Modulo NSX-GTは松浦選手がステアリングを握り、今季最高位である4番手グリッドを獲得しました。

 

100号車RAYBRIG NSX-GTの伊沢選手は、惜しくもアタック中にコースアウトしてしまうシーンもありながら、6番手グリッドを獲得。さらには17号車KEIHIN NSX-GTが3番手グリッドを獲得するなど、ホンダファンの期待が高まる予選結果となりました。

朝の練習走行では、あまり思ったような感触がマシンが得られずにいた64号車EPSON Modulo NSX-GTでしたが、「練習走行時の問題を、予選までの短い時間の中解決してくれたチームクルーに本当に感謝している。」と、Q1を担当し見事Q2に進出したバゲット選手も満足のいく予選走行となった様でした。

そして昨年のタイ大会以来のQ2走行となった松浦選手。「決勝グリッドを決める予選をアタックできた事もとても嬉しいし、なによりチームを今季最高位からスタートさせる事が出来るのがなにより嬉しいです」と、決勝へ向けてのいつもより強い期待と意欲を感じました。

 

1000kmという長いレースは、いつ何が起こるかわからない。だから予選結果だけで安心してはいけない。鈴鹿1000kmでいつも思わされる事ですが、予期せぬトラブルにも迅速に対応できる一致団結したチーム力、そしてチーム全体の雰囲気から、翌日に待ち受ける「一年で一番長く予想のつかないSUPER GTのレース」をきっとチーム一丸となって乗り越えられるという自信を感じる事ができる予選日の締めくくりを迎えました。

伝統のレース、最後の伝統ある勝者は一体誰なのか。歓喜の涙で迎えるチームはどこなのか。翌日のロングレースで見られる数々のドラマを夢に見ながら、鈴鹿サーキットの夜は前夜祭と共に更けていきました。

2017 SUPER GT 第6戦(鈴鹿サーキット)予選結果
1位 #24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R 佐々木大樹/J.P.デ・オリベイラ
2位 #19 WedsSport ADVAN LC500 関口雄飛/国本雄資/小林可夢偉
3位 #17 KEIHIN NSX-GT 塚越広大/小暮卓史
4位 #64 Epson Modulo NSX-GT ベルトラン・バゲット/松浦孝亮
5位 #46 S Road CRAFTSPORTS GT-R 本山哲/千代勝正
6位 #100 RAYBRIG NSX-GT 山本尚貴/伊沢拓也
9位 #16 MOTUL MUGEN NSX-GT 武藤英紀/中嶋大祐/ジェンソン・バトン
15位 #8 ARTA NSX-GT 野尻智紀/小林崇志

(TEXT:Leah MIZUMURA 水村リア)