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Ace110、シンプル・イズ・ベストは永遠に


ホンダの新型オートバイ「Ace110」と言っても、ほとんどの人はその車種が頭に浮かばないだろう。オーソドックスな丸型ヘッドライトに前後ドラム式ブレーキ、2本サス、大柄なシート、そして空冷単気筒エンジン…。そのフォルムはまるで1970年代からタイムスリップしてきたかのようだが、れっきとした2017年の”新型車”である。

このAce110は、ホンダのナイジェリアにおける二輪車生産販売子会社「ホンダ・マニュファクチュアリング・ナイジェリア」が2017年11月より同国内で販売を開始したモデル。販売台数は1年目は8万台、2年目は11万台を計画している。

エンジンはかつて日本国内でも販売されていたエイプ100にルーツを持つ110ccの4ストローク単気筒で、耐久性や燃費に優れるほか、先代モデルにあたるCG110から燃料タンク容量を45%も拡大したことで、一度の給油で長距離走行を可能とした。さらに快適性を向上したシートや、耐久性に優れた前後サスペンションを採用することで、ユーザーの満足感と利便性を向上しているという。

ナイジェリアはアフリカ大陸における最大のマーケットで、国内の二輪車市場全体は2015年には100万台規模に達したそう。しかし外貨調達の影響で、2017年は50万台を下回るなど急速に縮小。2018年は外貨流動性の改善により市場の回復が見込まれており、ホンダは自社で10万台の販売を計画しているとのこと。

つまり同国の二輪車市場を再建する切り札的な存在の「Ace110」だが、その最大の魅力はコストにある。ホンダらしい品質を保ちつつも徹底したコスト削減を図ることで、車両価格は22万ナイラ。なんと約7万円!

二輪車市場が急速に縮小したのは日本国内も同様で、かつてのレーサーレプリカ・ブームやネイキッド・ブームに沸いた時代は今や幻のよう。販売台数が見込めないから国内市場を意識した製品作りができず、車両価格も高くなる。車両価格が高いから若い層にとっては購入対象とならず、販売台数が伸び悩む…という悪循環に陥っている。

2000年に”復活”したFTR。車両価格は32万9000円〜だった

どんなに高性能であっても、どんなにスタイリッシュであっても、やっぱりまずは車両価格が身近な設定でないとユーザーにとっては現実感がない。カワサキのゼファー、ヤマハのTW、ホンダのFTRなど、一時期に社会現象と言えるブームを作った各メーカーのバイクは、いずれもシンプルなフォルムや装備と身近な車両価格が与えられていた。

ノーマルでは決してカッコ良くない。特段速くもない。けれどココのパーツを交換したらすごく見栄えが変わるだろう。マフラーを替えたら… ハンドルを替えたら… そう思わせる「好素材」なオートバイが、最近はほとんど見られない。

現在、日本国内の排ガス規制は世界一厳しいとも言われ、特に2017年は「平成28年排出ガス規制」により多くのモデルが生産終了となった。さらに2018年からはABSの装着が義務化されるなど、シンプルなオートバイが誕生する可能性はどんどん下がっている。

けれどいつか、かつてのように皆が自車に手を加えて楽しみ、オートバイで集まって楽しむような時代が来るといいなあ。そんなことを「Ace110」の発表に思った。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)