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タイのソンクラー大学が「学生フォーミュラ」に挑む(2)

静岡県にあるエコパ(小笠山総合運動公園)で開催されている「全日本学生フォーミュラ大会」。通称・学生フォーミュラと呼ばれるこの大会に、タイ王国から参戦しているのがプリンス・オブ・ソンクラー大学だ。

昨年に引き続いて通算4度目の参戦となる同チームには、初代NSXの元テストドライバーで、その後はホンダアクセスのModuloブランドを磨き上げてきた玉村 誠氏(上写真右端)が技術的アドバイザーとして協力しており、本誌ホンダスタイルが注目しているチームである。

前日の静的審査では、車検の技術検査を通すところまでは終えたものの、そのほかの審査を終えていない状態だったため、6日は、朝から車検の残りのブレーキテストなどをこなした。

車検をすべて終えれば動的審査に移ることができるが、その車検の最後の項目であるブレーキテストで、4輪全輪がロックしないという症状が出て(急制動時に4輪ともにロックする必要がある)、3度ブレーキテストを受けなおす羽目になり、予定よりも少し遅れたものの、チームは無事に車検を通過。

また最後の静的審査であるデザイン(設計)審査は、この日の午前中に予定されていた。ここには、チームリーダーのジェスラコンさんが自ら出向いて(写真左端)、審査員に解説。昨年のモデルに対してどのような設計意図があり、実際に作ってみてどのように変化したのかをきちんと解説してある、ということで、前日のプレゼンに続き、こちらも審査員から高評価であった。そして静的審査は無事に終了。

車検を通過したチームは、午後から次の動的審査に進む。0→75mの加速性能を競う「アクセラレーション」、8の字コースのコーナリング性能を競う「スキッドパッド」、そして、直線・ターン・スラロームのコース走行性能を競う「オートクロス」の3種目がこの6日と7日に予定されている。

しかし、この日は夕方から雨の予報で、さらに翌日も雨の予報が出されているため、ドライ路面のコンディションの良いタイミングで動的審査を早く進め、好ポイントを獲得しておきたいところ。

チームは、早々にアクセラレーションとスキッドパッドをクリア。そしてこの日の最後の審査となるオートクロスにコマを進めた。このオートクロスは、その成績順でエンデュランス(約20Km走行し、走行性能、耐久性を競う競技)の出走順が決まるということで、7日及び8日に開催となるエンデュランスの予選というイメージだ。

エンデュランスはオートクロス下位から出走となり、上位通過者は8日の枠に組み込まれることとなる。ということで、各チームともに、このドライ路面でのアタックにエースドライバーを投入してきていた。

もちろんソンクラー大学もエースドライバーを投入し、出走待ちの列に並んだ。並んでいる間にも、上空にある雲は徐々に黒雲に変わっていきドライ路面でのアタックが危ぶまれたものの、何とか雨が降り出す前にオートクロスの2周のアタックを終えることができた。

夕方5時半の競技終了直前、午後5時12分には、それまで持っていた天気が一気に崩れた。上空から大粒の雨が降ってきて、路面は完全にウェットに変わった。オートクロス出走を待っていたチームはスリックタイヤからウェットタイヤに履き替えて再度出走待ちの列に並んだが、結局時間切れでこの日の競技は終了した。

7日は朝から雨の予報で、ほぼウェットとなるはずだ。つまりこの日ドライでオートクロスを走ったチームは、上位タイムであることはほぼ間違いなく、エンデュランスは8日の走行枠になるだろう。そのため明日7日の走行の必要はなくなるので(ドライバー2名までオートクロスを走らせることは可能だが)、メンテナンスなどに充てることができる。

ソンクラー大学チームは、8日のエンデュランスに向けたウェットのセッティングを進め、セカンドドライバーでオートクロスに出走し、セッティングチェックを行う予定だ。

(photo&text:Yoshiaki AOYAMA 青山義明)