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【現地レポート】インディカー第11戦、パジェノーが今季3勝目!!

今年のインディ500ウィナー、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)がトロントで優勝した。マシンのカラーリングが白と黒のツートーンで、インディ500優勝時の蛍光イエローとは違う配色なので、”あのインディ・ウィナーと同じカラーリングの”とは記せないのが少々残念だが……。

パジェノーは、インディ500の前戦であるインディカー・グランプリでも優勝しているので、これで3勝目。チームメイトでポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデンとともに、今シーズンの第11戦まででの最多勝利ドライバーとなった。

ランキング3番手につけていたパジェノーが優勝した上に、ランキング2番手のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が3位、ランキング4番手のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が2位とポイントリーダーより上位でフィニッシュしたため、4人のポイント差はギュッと縮まった。ニューガーデンとロッシの差は僅か4点に! パジェノーはランキング3番手のままトップとの差を39点として、ディクソンも86点差の4番手につけることとなった。

2019年のチャンピオン争いは上記4人に絞られた。ポイント5番手でトロント入りしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、またしても今季初勝利を記録できなかった上、ゴール前2周でクラッシュして18位。

第3戦バーバーで優勝してポイント6番手につけている佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、10位スタートから5位まで順位を上げる素晴らしい戦いぶりを見せたが、メカニカルトラブルでリタイアを余儀なくされて最下位の22位。どちらもランキングは維持したものの、ポイントリーダーとの差は大きく広がってしまった。残るは6戦だ。

エンジントラブルが発生してしまった佐藤琢磨選手のマシン

それにしても、今回のパジェノーの強さは飛び抜けていた。デトロイトのダブルヘッダーでは、インディ500祝勝ツアーの疲れがあったにせよ、予選順位が13位と14位に低迷。第10戦ロードアメリカでも予選16位と散々だった彼が、トロントではプラクティス2、プラクティス3、予選で最速。決勝は85周のうちの80周をリードしての圧勝を飾った。シリーズチャンピオンを獲得した2016年の強さが、トロントでは見られた。

5度のタイトル獲得経験を持ち、トロントでも3勝の実績を持つディクソンがレース終盤に猛追したが、パジェノーはそれを跳ね除けて優勝を果たした。去年のトロントではディクソンが勝ち、パジェノーは2位だった。そのリベンジも今回果たされたということだ。

「マシンが最高で、最高の週末になった。今年はインディ500で勝ち、7月14日というフランス国民にとって重要な祝日に日にも優勝を飾れ、最高の気分だ。ゴール前の5周くらいでイエローが出てリスタートがあったとしても、僕は絶対に勝てたと思う。そう自信を持って言えるほどマシンは素晴らしい仕上がりだった」

「今回は入念な準備をしてレースを迎えられた。そうできた時の僕は実績を残して来ている。今週末はマシンを常にハードに走らせることができ、ライバルたちの一歩前を進み続けていた」

「インディカーで何度もチャンピオン争いをしてきた、という自負が私にはある。最強チームが私の背中を支えてくれてもいる。シーズン終盤のコースは僕が得意なものばかり。トロントと同じようにキッチリ自分の仕事をすれば、チャンピオン争いで更なる勢いを掴むこともできるはずだ」とパジェノーは満足顔だった。

いっぽう今年6回目の表彰台となったロッシはこう話した。

「今日の自分たちはマシンを優勝できるレベルまで仕上げられていなかった。勝つには運に味方をしてもらう必要があった。フロントローからスタートした2人が見事なレースを戦い切ったのだから、予選4位からひとつ順位を上げた3位で表彰台に上ることができたこと、ポイントリーダーよりひとつ前の順位でゴールし、彼より多くのポイントを稼げたことは良かった。クルーたちのピットストップも最高だった。作戦もベストだったから、このような結果を手にすることができたのだと思う」

表彰台でシャンパンファイトを楽しむ優勝したシモン・パジェノー(右)と、2位のアレクサンダー・ロッシ(右)

ニューガーデン(2017年)、パジェノー(2016年)、ディクソン(2003、2008、2013、2015、2018年)と、ロッシ以外のコンテンダーたちはタイトル獲得経験者ばかり。厳しい戦いになるが、ロッシが2019年チャンピオンとなる可能性は十分にある。

シーズンも残すところあと6戦。ショートオーバル2戦、スーパースピードウェイ1戦、そしてロードコース2戦だ。

(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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