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【GT300】タイヤグリップに苦しみ、34号車は最終戦を24位で終える

GT300クラスに参戦する34号車Modulo KENWOOD NSX GT3は、前戦の第7戦スポーツランドSUGOで13位という悔しい結果となっただけに、第5戦の富士に続く2度目の表彰台獲得を目指してレースウィークに臨んだ。

しかし11月2日、予選日の午前中に行われたフリー走行から34号車はタイヤのマッチングに苦しむこととなってしまう。ロングランを行うとタイヤの表面に「グレイニング(ささくれ)」と呼ばれる現象がでるほか、タイヤカスがこびりついて剥がれない「ピックアップ」に悩まされた。

これらの発生によりタイヤの接地面積が少なくなり、グリップの低下や振動に悩まされ、ラップタイムを長く維持することが難しくなる。道上 龍選手、大津弘樹選手いずれも同じ症状を訴えており、走行時間の短い予選レースはともかく、決勝レースに向けて苦しい戦いが予想された。

そのためチームは予選順位より決勝でのペースをいかに速く保つかを重視してマシンのセットアップを進めていく。それでも予選Q1は道上 龍選手が1分47秒111、Q2では大津弘樹選手が1分46秒646を記録し、12番グリッドから決勝レースに挑むこととなった。

そして迎えた決勝レース。前日の予選と気温や路面温度はほぼ変わらずで、34号車Modulo KENWOOD NSX GT3はタイヤの状況が心配されたが、やはり前日から予想されていたタイヤのピックアップに苦しむレースとなってしまった。

チームの作戦としては、スタートドライバーを務める道上選手が最低義務周回数である15周を走り切り、後半の大津選手はハードめのタイヤをチョイスしロングランを走りきるというもの。しかしスタートしてみると、想定していたよりもタイヤ摩耗はさらに早く、ペースが上がらない道上選手は7周目終わりという早いタイミングでピットイン。タイヤを前後とも4輪交換を行った。

しかしまだ道上選手の走行周回数が少ないため、この時点で大津選手へのドライバー交代は行うことができず、そのままピットアウト。この時点でライバルたちよりピットストップが1回多くなってしまい、順位を大きく落としてしまう。

その後に大津選手へとドライバー交代を行ったが、レースが中盤を迎えるころから気温および路面温度は急速に下がっていき、タイヤグリップが発動する温度帯まで暖めることができず苦しいレースとなってしまった。安定感あるとはいえないマシンの仕上がりながら、大津選手は粘りの走りを見せゴールまで運び、24位でチェッカーフラッグを受けた。

参戦2年目のシーズンを終えた34号車Modulo KENWOOD NSX GT3は、目標であった初優勝は成し遂げられなかったものの、一度の3位表彰台を獲得。今シーズンからEvoキットを装着し、2018年シーズンの懸念材料だったリアの安定性が高まったマシンの戦闘力には大きな期待を抱いていただけに、レース後のインタビューでは悔しさを見せていた。

そして今回の最終戦で、GT300クラスはARTA NSX GT3がシリーズチャンピオンを獲得。同じNSX GT3を走らせるチームの戴冠は、喜び半分・悔しさ半分といったところか。一部を除き、シーズンを通じてグリップ不足に悩むレースが目立っただけに『タイヤだけの問題ではなく、マシンのセットアップも考え直す必要がある』と、チーム代表も兼任する道上選手やチョン監督は語っていた。

レースにおいては、SUPER GTのGT300に参戦するチームのなかでも随一と言っていい多くのファンがピットウォークを訪れるModulo Drago CORSE。チームの雰囲気も素晴らしいと多くのメディアが口を揃えている。2年目は悔しいシーンがあった一方、注目度はさらに高まったシーズンといえるだろう。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)