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Prince of Songkla University(プリンス・オブ・ソンクラー大学)の学生フォーミュラ、タイ国内大会へ向けて走行テストを消化

学生たちが自らマシンを設計・製作し、運転技術やマシン製作技術だけでなく、コスト管理やビジュアル面も含めて競い合うのが「学生フォーミュラ」だ。

もともとは1981年にアメリカでスタートし、現在はFormula SAE(フォーミュラSAE)というレギュレーションのもと、世界各地で大会が行われている。日本国内では「学生フォーミュラ」の名称が広く知られているが、この学生フォーミュラは、学生の自作によるフォーミュラマシンで争われる競技会。

競技会といっても単にクルマを作って速く走らせればいいというものではなく、年間1000台の生産を想定したビジネスモデルとしてのプレゼンテーションを行い、企画・設計・製作・走行までを一貫して評価される。

その学生フォーミュラに挑戦し続けているタイのチームが、「Prince of Songkla University(プリンス・オブ・ソンクラー大学)」チームだ。タイ南部のハジャイ(ハートヤイ)という都市にキャンパスを構える同大学のチームには、初代NSXの元テストドライバーであり、その後はホンダアクセスにてModuloブランドの走りを磨き上げた、玉村 誠氏が技術的アドバイザーとして協力している。

本誌ホンダスタイルも注目しているプリンス・オブ・ソンクラー大学チーム。2020年のタイ国内における学生フォーミュラ大会「TSAE Auto Challenge 2020 Student Formula」は、2020年2月7日〜9日にタイ・バンコク北部にあるパトゥムターニー・スピードウェイにて開催される。

そしてタイ国内大会の開催を2ヶ月後に控えた12月上旬、大会が行なわれるパトゥムターニー・スピードウェイにてセッティングテストを行った。

タイ国内とはいえ、南部のハジャイ(ハートヤイ)とバンコクは飛行機でも約1時間30分の距離。マシンを陸送するとなると、さらに多くの時間がかかる。それだけに2020年2月の大会に懸けるチームの意気込みの強さが感じられる。

プリンス・オブ・ソンクラー大学チームは、2019年8月に日本で行われた学生フォーミュラ大会に参戦していたが、帰国後にリアダンパーのレイアウトを変更。今回はその確認および煮詰めのための走行テストとなった。

また学生フォーミュラは2名のドライバーが走行を担当するため、ドライバー両名のスキルアップも重要となる。そのため今回はドライバーの訓練も兼ねており、ドライバーには走行前にセッティングの内容を説明し、走行後にはチーム全員の前でドライバーが走行フィーリングを説明することをルーティンとし、チーム内での情報共有が図られたという。

テストの結果は上々で、当初は柔らかめのスプリングレートで走行していたが、走行ペースが上がるにつれハードめのスプリングへと交換。それだけ締められた脚まわりに対してもしっかると受け止めるフレーム剛性も確認できたとのこと。

「昨年までは、乗り心地仕様のModuloサス仕様でしたが、今回はスポーツ使用のModuloサス仕様に仕上がっています。5年を費やして、戦えるレーシングカーに仕上がってきました」

アドバイザーとしてテストにも帯同した玉村さんは、このように教えてくれた。次世代の若者、未来のエンジニアたちが創意工夫を重ねながらマシンを作り上げていく学生フォーミュラ。Moduloの走りのDNAを受け継ぐ、プリンス・オブ・ソンクラー大学の活躍に期待したい。

テストには玉村さんはじめ、現地タイ在住のホンダOBの姿も。みんな現場が大好きなのだ

(photo:Makoto TAMAMURA 玉村 誠、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)