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憧れのサンマル、Force V4が蘇る。VFR750R(RC30)のリフレッシュプランがいよいよスタート!

ホンダは、1987年に限定販売された高性能スーパースポーツモデル「VFR750R(RC30)」を対象としたリフレッシュプランを、2020年夏よりスタートさせると発表しました。

リフレッシュプランの希望するVFR750R(RC30)オーナーは、下記全国7店舗の「RC30リフレッシュプラン受付店」にて相談および申し込みを行い、実作業は熊本製作所内に設置される「モーターサイクルリフレッシュセンター」にて行われるとのこと。

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VFR750R(RC30)リフレッシュプラン受付店
Honda Dream 酒田(山形県酒田市)
Honda Dream 高崎(群馬県高崎市)
Honda Dream 王子(東京都北区)
Honda Dream 足立(東京都足立区)
Honda Dream 杉並(東京都杉並区)
Honda Dream 名古屋西(愛知県海部郡蟹江町)
Honda Dream 北九州(福岡県北九州市)
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VFR750Rという車名より、RC30という型式名で呼ぶほうがしっくりするこのオートバイが発売されたのは、1987年のこと。前年の’86年には初代NSR250R(MC16)が発売となるなど、時代はまさにレーサーレプリカ・ブーム華やかりしころ、です。

といっても、このRC30をレーサーレプリカに分類するのはやや違和感を憶えます。開発にあたっては、鈴鹿8時間耐久ロードレースをはじめとする各種レースに参戦するプライベーターが勝てるマシンというコンセプトが掲げられ、当時のワークスマシンであるRVF750をバラして各種技術がフィードバックされたなど、数々の伝説が語られています。

ピストンやバルブ、コンロッドといったVFR750R(RC30)の純正部品も再販売される

「保安部品を外すだけでレースに出場できる」とも言われたRC30は、片持ち式スイングアーム「プロアーム」をはじめ、チタンコンロッドやマグネシウムヘッドカバー、FRPカウルなど、当時はレーシングマシンにしか用いられなかったパーツを多く装着していました。

日本国内の販売台数は1000台となっていましたが、当時としては高額な148万円という車両価格に関わらず購入希望者が殺到。そして発売後は多くのプライベーターが実際にレースに投入しました。つまりレーサーレプリカではなくレーシングマシンそのものを市販してしまった、それがRC30こと、VFR750Rというオートバイなのです。

そんなRC30ですが、ホンダによると国内販売台総数の約7割にあたる700台程度が現在でも稼働状態にあるそう。ホンダでは、以前よりCB750FOURやCB750Fといった歴史的名車の純正部品再販売を推進しており、2020年6月からVFR750Rの純正部品も再販売がスタートしました。

RC30の全構成部品のうち、約65%の部品が入手可能ということで、オーナーにとっては愛車を安心して長く乗り続けられる可能性が高まりました。そして新たに、メーカー自らが作業を行うVFR750R(RC30)リフレッシュプランも今夏よりスタートとなります。

ホンダの「リフレッシュプラン」と聞いて思い浮かぶのは、四輪車のNSXで行われているプロジェクトですが、RC30におけるリフレッシュプランも基本的には同様の内容。販売店を窓口として依頼を受け付け、車両はホンダ社内のリフレッシュプラン専用作業場に入庫し、徹底的な整備やレストアを行うというもの。

作業「モーターサイクルリフレッシュセンター」が熊本製作所内に新設され、RC30に精通したベテランエンジニアによるハンドメイドの整備、そして作業終了後には実走テストも行われ、RC30本来の走りが取り戻されたことを確認してからオーナーの元へ納車されます。

熊本製作所内に新設される「モーターサイクルリフレッシュセンター」は、施設名のとおり将来的にはRC30以外の車両も手掛けていく予定

RC30のリフレッシュプランは、「基本メニュー」「プランメニュー」「オプションメニュー」という3段階のメニューが用意されており、車両のコンディションやオーナーの要望をもとに、1台1台に最適な整備内容が提案されます。

いずれも生産から30年以上が経過した車両だけに、まず基本メニュー(54万9000円)は全車に必須の工程となり、加えて、エンジンや脚まわりなど機能領域ごとにまとめて実施すべき整備項目のプランメニュー、そしてオーナーの要望次第ではさらにオプションメニューを追加することも可能です。

特徴的なFRP製カウルも再生産。美しいカラーリングはデカールではなく塗装である

1980年代後半〜1990年代前半は、まさにホンダV4がもっとも輝いていた時代。V型4気筒独特の排気音と、プロアームならではのコーナリング時に逆回転しているように見えるリアホイールは、多くのライダーの憧れでした。そして1989年には、VFR750R(RC30)の弟分ともいうべきVFR400R(NC30)も登場し、大ヒットのロングセラーモデルとなりました。

現代に続く、レース参戦を前提としたレースホモロゲーションモデルの先駆けであり、ホンダのオートバイの歴史を語る上で欠かすことのできない名車VFR750R(RC30)。その希少価値ゆえ中古車市場では超高値物件となっていますが、いつまでも長くその乗り味を楽しめるリフレッシュプランが新設定されたことは、オーナーにとって心強い支えとなってくれるでしょう。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)