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【ホンダアクセス】Honda eがベースのフルEVレースカー「e-DRAG」が、ツインリンクもてぎでドラッグレースに参戦

ホンダ車用純正アクセサリーの開発・販売を行うホンダアクセス。Moduloブランドの純正アクセサリーや、コンプリートカーブランドのModulo Xで知られる同社だが、これまでも市販向け製品だけでなく、クルマ好き・ホンダ好きにとってワクワクするような新しいチャレンジを行ってきた。

最近でいうと、もっとも印象的なのがN-ONE RS(6MT車)をベースにヒルクライムマシンへと仕立てあげた「K-CLIMB」や、ホンダ初の量産市販EVのHonda eのドラッグレース仕様「e-DRAG」だろう。この2台はホンダの青山ウェルカムプラザでも展示されたので、実際に現車を見た!という方も多いハズだ。

もっとも新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、当初に予定されていた展示期間から短縮されてしまったことは残念だったが…。

そんな「K-CLIMB」および「e-DRAG」だが、特筆すべきは外観展示だけを目的としたショーモデルではなく、実際に走行することを念頭において開発されていること。今回はHonda eをベースに開発されたe-DRAGが、2021年11月21日(日)にツインリンクもてぎで開催された「もてぎストリートシュートアウト Round 2」に参戦した。

この「もてぎストリートシュートアウト」とは、主にアメリカで高い人気を誇るドラッグレース形式のレースイベント。ツインリンクもてぎのスーパースピードウェイ上に直線コースを設定し、0〜1000フィート(約304.8メートル)の走行タイムを競うものだ。

ホンダアクセスではe-DRAGを開発するにあたり、モーターやバッテリーといったHonda eのパワートレイン系には手をつけず、ボディ内外装の軽量化や脚まわりの交換によりセットアップ。

…と書くと簡単に思えてしまうが、その内容は本格的。マシンの詳細は後ほどに譲るとして、その走りっぷりは想像以上。走り出しから最大トルクを発生させるというEVの特徴を活かし、驚くほどのパフォーマンスを見せてくれた。

e-DRAGのボディは、ドラッグレースのレギュレーションに合わせて6点式ロールケージなどの安全装備が追加されたほか、ボディ外板のほとんどをドライカーボン製へと交換。Honda eの特徴である丸目ヘッドライトは残される(ちゃんと点灯もする)ものの、フロントセクションはボンネット、バンパー、フェンダーを一体式の脱着式カウルとし、ルーフもドライカーボン製へと交換された。

そのほか左右ドア、テールゲート、リアバンパーもカーボン製へと交換。さらに前後ガラスおよびドアガラスは軽量化のためアクリル製へと交換された。そして内装部品はリアシートや助手席シートなどを外したことにより、車両重量は700kg台へと大幅に軽量化されている。ベース車両の重量が1510kgであるから、その徹底ぶりがわかるだろう。

内装もインパネは純正の姿を残すものの、リアシートはすべて撤去され、運転席にバケットシートが装着されるのみ。なおこのシートは、本場アメリカのドラッグレースではメジャーな存在のKIRKEY製。シートベルトはシンプソン製を採用するなど、とことんアメリカを意識した演出がなされている点が面白い。

サスペンションはHKSと共同開発されたワンオフの全長調整式車高調で、ホイールは前後ともにNSX-R(NA2)の純正品をブラックに塗装して装着する。

興味深いのは、Honda eでは前後のタイヤ&ホイールを異径サイズとしているが、e-DRAGではNSX-Rの純正ホイール(フロント用)を4輪に使用していること。もっともタイヤ銘柄とサイズはe-DRAGも前後で異なっており、フロントタイヤは185/55R17サイズのドラッグラジアル、リアタイヤは8.5/26.0-17サイズのドラッグレース専用スリックを履く。

今回、e-DRAGの走行タイム(E/T)は12秒前半を中心に、最速では11秒962をマーク。アメリカンV8や国産旧車が居並ぶなかで、堂々たる走りを見せてくれた。もっとも現時点におけるe-DRAGの存在意義は、速さというよりEVの可能性を示すこと。なにより、『ホンダアクセスがオモシロいことをやっている』というチャレンジングな姿勢を見せることが最大の目的だ。

ホンダアクセスでは、このe-DRAGやK-CLIMBの最新状況などを発信するWebサイト「オモスポ(オモシロスポーツ)プロジェクト」を開設しているほか、オモスポのTwitterアカウントも立ち上げて情報発信を積極的に行っていくとのこと。

本誌Twitterアカウントでもさっそくフォローしたうえ、今後の活動を注目していく予定だ。

(取材協力:ホンダアクセス、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)

ホンダアクセス「オモスポ」twitter
https://twitter.com/OMOSPO_hac
ホンダアクセス「オモスポプロジェクト」特設サイト
https://www.honda.co.jp/ACCESS/omospo/product/