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【愛車日記】ラストチャンスと聞いて清水の舞台から飛び降りた! 念願のハードトップ装着で雨の日が待ち遠しい!?【無限】

2007年に1年オチで購入した、僕の2006年式S2000(AP2)。購入から16年目を迎えても機関は変わらず絶好調だけど、やはり経年劣化は避けられず、ソフトトップにはいくつかの破れが発生しています。

そのたびにパッチ修理してきたけれど、結局はイタチゴッコ。いずれはソフトトップ交換も考えないとなあ…でもお金ないしなぁ…。なんて思っていたところに届いたのが、「無限製ハードトップがまもなく販売終了」というニュースでした。

スイッチひとつで電動開閉可能なソフトトップは、S2000の大きな魅力。とはいえ普通の月極駐車場に青空駐車している身では、スタイリングだけでなくセキュリティ面においてなど、ハードトップを装着することで得られるメリットは数多くあります。

以前より「いつかお金が貯まったら欲しい」と思っていた無限製ハードトップですが、どうやら本当に購入できるラストチャンス。資金はまったく貯まっていないけれど、震える声で「ひひひひとつお願いします!」と、HCMスポーツガレージに注文してから待つこと約半年。ついに愛車S2000にハードトップがインストールされました!

人気なのは純正あるいは無限製だけど、純正はすでに販売終了

ホンダアクセス製の純正ハードトップは、アルミ素材を採用。リアガラスは熱線入りとなっている

S2000用ハードトップは海外メーカー製品を含めていくつかの製品が販売されていますが、実際にS2000オーナーが装着している数でいうと①アルミ製の純正ハードトップ、②無限のGFRP製、そして③無限のCFRP製の順と思われます(主観)。

この3つのうち、純正ハードトップはすでに販売終了して久しく、新品で購入することが可能だったのは無限製ハードトップのみ。その無限製ハードトップも、CFRP製に関しては2020年8月1日以降の受注分については価格改定(値上げ)がなされたうえ、『そう遠くないうちに生産終了するらしい』というウワサが囁かれていました。

CFRP製ハードトップはタテヨコ2畳分くらい?の巨大なハコに納められて到着しました

2020年代に入ってからというもの、ネオヒストリック世代の国産スポーツ車は中古車市場における相場価格が軒並み上がっており、S2000もすっかり高値安定。初期モデルのAP1であれば生産から20年以上が経過したクルマとあって、最近ではリフレッシュチューンに関する話が多くなっている気がします。

新車時からのソフトトップが劣化して悩んでいるオーナーは多そうだし、ソフトトップを買い換えるならいっそハードトップを装着してみようか…と考える場合も考えると、今後もまだまだハードトップの需要は多いと思うんです。しかし残念ながらウワサは現実となってしまい、無限製ハードトップは販売を終了してしまいました。

巨大なダンボールを開封していくと、効率よくパッケージされたハードトップが…

むしろこれから需要が高まりそうなのに、なぜ受注生産という形でもラインナップに残すことはできなかったのでしょう? その理由は、どうやらハードトップ本体の製造に関することだけではないっぽいです。

S2000にハードトップを装着する場合、純正・無限製どちらの場合でも車体側に「受け」の部品を交換・装着する必要があります。フロント側のストライカーや、シート背後に装着するブラケットといった部品たちです。

これらのホンダ純正部品は、無限製ハードトップを新品購入すると製品に同梱されているのですが、どうやらこの装着部品の確保が難しくなってきたというのも理由だそう。

S2000が販売開始されたのが1999年、そして終了となったのが2009年。AP2の最終モデルが生産されてからも13年以上の年月が経過しており、純正部品の統廃合や欠品という問題は徐々に現実的になっていますが、その影響が思わぬところにも波及していたといえそうです。

ハードトップ本体はプチプチでしっかり梱包されています。プチプチの正式名称は「気泡緩衝材」だとか

ちなみにインターネットオークションなどでは、純正/無限製をはじめS2000用ハードトップがチラホラと出品されています。このとき注意したいのは、装着用パーツもセットになっているかどうか、です。

もしハードトップ単体で販売されている場合、車両へ装着するには装着用部品を別途揃える必要がありますが、前述のようにすでに新品購入できないものも多いため、一式を用意するには時間も手間もかかりそうです。

ただハードトップが単体で売られているということは、考えを変えれば『装着部品が車両側に残されたままのS2000』が、中古車市場にちょこちょこ流通しているとも言えます。中古車で購入したというS2000オーナーは、愛車に装着用部品が付けられているかどうか、いちどチェックしてみると良いかもしれませんね。

さてそれでは、僕が(幸運にも)購入できた無限製ハードトップを紹介していきましょう。「開封の儀」の様子はそれぞれ写真を見ていただくとして、購入したのはCFRP(カーボン)製のハードトップ です。

ご存知のように、無限製S2000用ハードトップにはGFRP(グラスファイバー)製とCFRP(カーボン)製の2種類が用意されており、両者は素材が異なるだけで形状は同じ。ただしGFRP製とCFRP製では重量が異なる(もちろんCFRP製のほうが軽い)ほか、表面の仕上げがGFRP製は未塗装、CFRP製はUVカットクリア塗装済みという違いがあります。

風洞実験を重ねて形状が決められたというハードトップは、中央部分が凹んだ独特のフォルムでいかにも空力性能が高そう。価格についてはCFRP製のほうがずっとお高くて69万3000円、GFRP製は31万9000円。そのため販売数としてはGFRP製のほうが多く流通しています。

ただGFRP製は装着前に塗装する必要があり、いっぽうCFRP製はUVクリア塗装済みでそのまま装着できることを考えると、トータル費用で考えると製品価格ほどの差はありません。もちろんCFRP製は稀少価値が高く、将来的にクルマを手放すときが来たとしたら、CFRP製のほうが高値となることはまず間違いないでしょう。

それなら答えがひとつしかないですよね! 支払い額(+工賃)を考えるとアタマがクラクラとしてきますが、装着用部品すべてが同梱された新品ハードトップを購入できる機会はもうないのだから、もう決断するしかありません。

そんなわけで、無限オフィシャルファクトリーである「HCM Sports Garage」でオーダーしてから数ヶ月、ついにハードトップが到着! 継続車検とあわせて装着作業を行いました。

ピットエリアに置かれた箱は、まるで巨大な壁のよう。ひとつずつ箱を分解していくと、丁寧に緩衝剤で梱包されたハードトップが現れます。金属製のモールやゴム製のウェザーストリップ、リアのアクリルウィンドウなどハードトップの構成部品に加え、車体側の装着部品も同梱されています。

ハードトップ本体はモール類や装着部品を取り付け、さらにウェザーストリップはリアウィンドウを装着して組み上げていきます。詳細な説明書が付属しているので、装着作業自体はDIYでもできないことはなさそう。

ただ装着車両のコンディションによって微調整は必要ですし、万が一にも雨漏りなどしたら困るので、実際には信頼のおけるショップにお願いするほうが良さそうです。

しばらくは無塗装のままカーボン素材を見せびらかしてやろうと思います

ハードトップ本体に必要な部品を組み付けたあと、実際に車両へ装着して細かなフィッティング作業を行います。ウィンドウの調整や高圧洗浄機で水をかけて雨漏りのチェックなどを行い、すべての作業が終了! 

定番中の定番製品なので、見慣れたフォルムではあるのですが、やはりカッコイイ。心配していたModulo製トランクスポイラーとの相性も良さそうです。

すっかり大満足で帰路につこうと愛車に乗り込み、ドアを閉めるとまず「音」で違いを感じます。閉まるときの音、ボディの反響音や振動が明らかに違うのです。以前は「バアァァン!」だったものが、「バスン」という音に変化しました。

そしてなんといっても頭上空間が広い! 数値的にはわずかな変化だと思いますが、ソフトトップのように横方向のフレームがないぶん、身長181センチの胴長体型である僕にとっては快適性が大幅アップ。これなら段差を乗り越えるたびに身構える必要はなさそうです。

ネガティブな面でいうと、やはり多少のキシミ音が発生してしまうのは仕方のないこと。これの対応方法は先人たちが様々な方法を試されているので、まずはテフロンテープを貼るなどしてみようと思います。

ハードトップ装着から3日後、ついに待望(!?)の雨が! 車内で聴く雨音もソフトトップより軽やかでした

これから春そして新緑の季節を迎え、これまでのようにボタンひとつで気軽にオープンエアを楽しめなくなるのが最大のデメリットといえばデメリットですが、とはいえ誰か手伝いをお願いできる人がいればハードトップ の脱着はそう難しくはありません。

従来のソフトトップも装着したままになっているので、天候や気分にあわせて着けたり外したりしてみようと思っています。とはいえ僕の場合、まずは気持ちよく外出できるようにスギ花粉の飛散がおさまる日を待たないといけないですけどね…。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)

HCMスポーツガレージ
https://www.hcm-sportsgarage.com