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【名車図鑑】2023年モデルはホンダ史上最強のSUV!! ミドルサイズSUV「パイロット」の歴代モデルを振り返る

ホンダの北米部門であるアメリカン ホンダ モーターは、ミッドサイズSUVの「パイロット」をフルモデルチェンジし、2023年モデルとして2022年秋より販売している。

新型パイロットは通算4世代めにあたるが、最大の特徴はオフロードテイストを強めた「トレイルスポーツ」が設定されたこと。近年、北米市場で販売されている各メーカーのSUVやピックアップトラックには、オフロードパッケージのオプションが設定されている車種も多いが、この「トレイルスポーツ」も同様だ。

競合他車と同じようにオールテレーンタイヤ、スチール製スキッドプレート、オフロード仕様サス、強化されたAWDシステムなどが設定され、タフ&ワイルドなイメージが強調されている。

そんなパイロットだが、これまで歴代モデルはいずれも日本市場へ導入されていない。ごく稀に並行輸入というかたちで日本国内へ持ち込まれた個体が存在するものの、日本のホンダファンにとっては実車を見る機会がほとんどない”稀少車”だ。というわけで、ホンダ・パイロットの歴代モデルを紹介していこう。

CR-Vの兄貴分! 3列シート8名乗員のミドルサイズSUV

2003年モデルのパイロット。FF乗用車シャシーを発展させた3列シートを持つ都市型SUVだ

ホンダ・パイロットの初代モデルがデビューしたのは2002年6月のこと。日本でも発売されたCR-Vよりひとまわり大きなサイズを持つSUVで、2列目&3列目シートはいずれも3名乗車が可能となっていた。

そのレイアウトから連想できるように、シャシーの基本設計は北米仕様オデッセイ(日本名ラグレイト)がベースとなっており、パイロットより1年早く発売されたアキュラ・MDXとは姉妹車の関係にあたる。

2006年モデルではフェイスリフトを実施。同時にFFモデルも追加された。写真はEX-L 4WD

エンジンはJ35A型3.5リッターV型6気筒SOHCを横置きに搭載し、最高出力は244hp/5600rpmを発生。トランスミッションは5速ATが組み合わされた。駆動方式はVTM-4と名づけられた4WDとなっていた。

パイロットの特徴は、CR-Vと同様に乗用車のシャシーを発展させたSUVであったこと。そのためハンドリング性や車内空間など、一般ユースにおける実用性能はピックアップから派生した従来の本格系SUVに比べて優れており、多くの支持を集めた。2006年モデルではフロントまわりの外観が変更されるビッグマイナーチェンジを受け、より市街地使用を重視したFFモデルも追加された。

キープコンセプトの2代目が登場。FFモデルの設定が拡大

フルモデルチェンジを受けて登場した2009年モデル。全グレードでFFと4WDが用意された

北米市場におけるSUVは、ピックアップ系シャシーにV8エンジンを組み合わせた「フルサイズ」と呼ばれるカテゴリーが長らく人気の中心となっていたが、パイロットはひとまわり小さなボディながら3列シートを備える広い室内空間や優れた走行性能により人気を集めた。

そして2008年夏に発売された2009年モデルから、パイロットは第二世代へと移行。8人定員の3列シートを備えるミドルサイズSUVという構成は変わらず、エンジンもJ35A型3.5リッターV6 SOHCを継続して搭載する。ただし最高出力・最大トルクはいずれも高められ、さらに気筒休止システムの改良により燃費性能も向上された。

2012年モデルのパイロット。グレードはTouringの4WD車だが、駆動方式の違いは外観からはわからない

外観は「インテリジェント アドベンチャー ビークル」を掲げたデザインを採用し、よりSUVらしく頑強なイメージが強調された。いっぽう、この二代目パイロットでは全グレードでFFと4WDが設定された点は、都市型SUVが従来のミニバンに変わる存在となっていったことの証といえる。

スタイリッシュなフォルムを得た3世代目。2列目シートはキャプテンタイプも

フルモデルチェンジを受け、第三世代となった2016年モデル。リアサスはマルチリンク式に変更された

約7年間の販売期間を経て、リッジラインは第三世代へとフルモデルチェンジ。北米市場における通例だが、前年の2015年夏より「2016年モデル」として発売が開始された。

ボディサイズは全長が延長され、ラゲッジスペースや前後シート間の距離が拡大されて実用性と快適性を向上。いっぽう全高は低められ、よりスタイリッシュさが強調された印象となった。シート配置は変わらず2-3-3の8名乗員だが、最上位グレードにあたるEliteでは2列目シートがキャプテンタイプとなり7名乗員仕様も設定された。

前後バンパー形状や灯火類に変更を受けた、2019年モデルのパイロット

エンジンは引き続きJ35A型が搭載されたが、直噴化されるなどしてパワーアップが図られ、最高出力は280hp/6000rpmまで引き上げられた。

トランスミッションは6速ATが標準で、上位モデルのTouringおよびEliteでは、パドルシフト付き9速ATが組み合わされる。駆動方式はEliteはAWDのみ、他グレードではFF/AWDの2種類が用意された。

パイロットの姉妹車(その1)は独創的なセダンピックアップ

2017年モデルのリッジライン。エンジンは3.5リッターV6で6速ATが組み合わされた

第三世代のパイロットにおける特徴のひとつは、姉妹車のピックアップ「リッジライン」との近似性がさらに高められた点だろう。リッジラインとは2006年モデルから発売が開始されたホンダ初のピックアップトラックで、第二世代のパイロットとシャシーの基本設計を共有している。

そしてリッジラインは、第三世代パイロットの発売から1年遅れとなる2016年夏にフルモデルチェンジ。リッジラインとして第二世代となる2017年モデルは、フロントマスク一式やフェンダーからフロントドアまでがパイロットと共通化された。

ホイールベースはパイロットの111インチ(約2819.4mm)から125.2インチ(約3180mm)へと延長され、初代モデルに比べて”古典的なピックアップらしさ”を感じさせるスタイリングとなったが、キャビンから荷台まで一体となったユニボディ構造は変わらず。グレードは7種類で、上位のRTL-Eおよびブラックエディションの駆動方式はAWDのみ、それ以外のグレードはFF/AWDの両方が用意された。

オフロードイメージを強めた「トレイルスポーツ」はパスポートに初設定

また2019年モデルから、パイロットにはもうひとつの姉妹車が登場している。それが2019年モデルから登場した「パスポート」だ。こちらはパイロットのシャシーをベースに、2列シート5名乗員仕様としたモデル。

ホイールベースはパイロットと変わらないが、全長を190.5インチ(約4839mm)へと短縮し、また最低地上高を高く設計することでより悪路走破性を高めている。エンジンは3.5リッターV6 SOHCで、全車ともパドルシフト付き9速ATが組み合わされている。

より”王道”を感じさせるスタイリングを手に入れた最新モデル

そして冒頭にも記したように、2023年モデルのパイロットは第四世代として完全刷新されて登場した。ボディは全長およびホイールベースが延長され、全長は199.9インチ(約5077mm)、ホイールベースが113.8インチ(約2890mm)となった。となった。全幅78.5インチ(約1994mm)、および全高71.0インチ(約1803mm)については、先代モデルとほぼ変わらない。

外観では同じく2023年モデルで新型へと進化したCR-Vともイメージを共有するフロントマスクが与えられ、cピラー部を独立して見せることで骨太かつタフな印象を強めている。室内は従来と同様に3列シートを備えるが、ホイールベースの延長により2&3列目乗員の快適性が向上した。

搭載されるエンジンは3.5リッターV型6気筒だが、2023年モデルはオールアルミ製の新開発ユニットで、新たに直噴DOHCヘッドを持つ。最高出力は285hp/6100rpmで、全グレードでパドルシフト付き10速ATが組み合わされる。

グレードはベースモデルから順に、LX/Sport/EX-L/EX-L(7人乗り)/Trail Sport/Touring/Eliteの7モデル展開。エンジンやトランスミッションなどの機関系は全モデルに共通で、Trail SportとEliteはAWDモデルのみ。それ以外の5グレードには、FFおよびAWDの両駆動方式が用意される。

日本国内市場では、ミニバンや軽自動車の存在が目立つホンダだが、北米市場ではこのパイロットを筆頭にCR-VやHR-V(日本名ZR-V)、パスポート、そしてピックアップトラックだがリッジラインをラインナップ。高級車ブランド・ACURAから発売されているRDXとMDXを加えれば、なんと6車種のSUVを市場投入していることになる。

これまでのホンダ車では見られなかった、「タフ」さを前面に押し出して登場した新型パイロット。北米市場における車両価格(MSRP)は、1345ドルのDestination Chargeを含めても3万7645ドル(約508万2075円)から、5万3725ドル(約725万2875円)となっている。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)