【船外機】ホンダから市販V8エンジンが登場! 5リッターSOHCで最高出力350馬力、DOHC VTEC化にも大期待!!
2023年9月21日(現地時間)、イタリア北部リグーリア州ジェノバで開催されている「ジェノバ国際ボートショー2023」において、ホンダ初となるV型8気筒船外機(マリンエンジン)「BF350」を世界初公開した。
このBF350は、新たに専用開発されたV型8気筒SOHCエンジンを採用。ボア×ストロークは89×99.5mmで、排気量は4952cc。最大出力はホンダ船外機としては最大となる350馬力を発生する。
ホンダ船外機にとって最大のマーケットである欧州市場をはじめ、北米や日本ほか全世界で順次販売される予定とのこと。
「水上を走るもの、水を汚すべからず」
オートバイや自動車、また汎用エンジンの開発・製造で知られるホンダだが、船外機(マリンエンジン)の歴史は長い。初代モデルである「GB30」が発売されたのは1964年7月のこと。
ホンダ初の四輪車であるT360の発売が1963年8月、オープンスポーツのS500が同年10月、そしてS600が1964年1月発売だから、ホンダの船外機は四輪自動車とほぼ同じ歴史を持っているといえる。
そして1964年に船外機の市場へ参入した際、ホンダは4ストロークエンジンを採用した。これは創業者である本田宗一郎氏の「水上を走るもの、水を汚すべからず」という信念のもと、環境問題を考慮して当時の主流であった2ストロークではなく、4ストロークエンジンに拘ったため。そして現在、4ストロークエンジンの船外機は世界的な主流であり、ホンダ製船外機の優れた燃費性能と耐久性、信頼性は多くのユーザーに評価されている。
そして近年、北米・欧州地域を中心に大型艇でのマリンレジャーのニーズが拡大していることから、これらの強みにさらに磨きをかけて進化させた大型船外機「BF350」が登場した。
BF350は、Hondaの新たなフラッグシップモデルとして高級感と高い走破性を両立し、操縦する人はもちろん、乗船する人すべてにクルージングの喜びを提供するとしている。
スタイリングは、Honda船外機共通のコンセプトである人や自然との一体感や、どんな舟艇のデザインにもマッチするシンプルかつクリーンなイメージを継承しながら、フラッグシップモデルにふさわしい上質感のあるフォルムに仕上げられた。カラーはアクアマリンシルバーと、グランプリホワイトの2色が設定される。
ホンダにとっては四輪を含めても初の市販V8エンジンとなるBF350が、残念ながらSOHCヘッドでありVTEC機構は搭載されていない。それゆえエンジンカバーのサイドに備わるHONDAロゴもシルバー加飾となっているが、ぜひこのエンジンをもとにしたDOHC VTECエンジンの開発、そして搭載した四輪スポーツモデルの登場を期待したいと思うのは、きっと世界中のホンダファンが感じるところだろう。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)