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【新型EV】航続距離は482km! ホンダが新型電動SUV「プロローグ」発表、ジャパンモビリティショーにて実車を展示

2023年9月28日(現地時間)、ホンダの北米法人であるアメリカン ホンダ モーターは、2024年年初に発売を予定している新型EV「PROLOGUE(プロローグ)」を発表した。

リアにはHマークが存在せず、「Honda」表記のエンブレムが装着される

ホンダは、2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%とする目標を掲げ、各地域の市場特性にあわせたEVの投入を進めている。このプロローグは、アメリカ・ゼネラルモーターズ(GM)との共同開発により誕生したモデルで、「Ultium(アルティウム)」バッテリーを搭載する。

プロローグは北米におけるEV本格展開の先駆けとなるモデルであり、今後は高級車ブランドであるACURA(アキュラ)からも、兄弟車として新型ZDXが登場予定となっている。

デザインコンセプトは「ネオ ラギッド」

新型プロローグのデザインは、アメリカ西海岸ロサンゼルスのホンダデザインスタジオが中心となって開発が進められた。 「Neo-Rugged(ネオ ラギッド)」をコンセプトとし、シンプルで洗練されたデザインでありながら、たくましさを感じられるアウトドアスタイルを表現している。

ロー&ワイドで流麗なシルエットが特長で、ボディサイズは全長4877×全幅1989×全高1643mm。ホンダが北米市場で展開する2列シートSUVのパスポートとほぼ同じで、ホイールベースは3094mmという堂々たるもの。まもなく日本市場にも導入される新型CR-Vに比べると、プロローグの全長は約203mm長く、全幅は約127mm拡げられている。

グレードはEX/TOURING/ELITEの3モデル展開で、最上位グレードのELITEでは21インチホイールを標準装備し、SUVらしい力強さと高級感を両立している。

インテリアは上質な素材を用い、シンプルながらラグジュアリー感を漂わせるもの。インパネは水平基調とされ、中央部には11.3インチのタッチスクリーンを全車に標準装備。車両に関する様々なセッティングを直感的に操作できる。

ドライバーの目前には11インチのデジタルメーターパネルが配置されるほか、最上位グレードのELITEでは7×3インチのヘッドアップディスプレーを採用し、運転中もスムーズな視線移動で、運転支援などのさまざまな情報を確認することができる。

シートレイアウトは2列で、リアシートは60:40の分割可倒式を採用。背もたれ部分を前方に倒すと、リアのカーゴルームからフラットな空間とすることができる。そしてTOURINGおよびELITEには、後席の頭上まで開放的な空間としてくれる電動サンルーフも用意される。

シート素材はグレードによって異なっており、ベースモデルのEXは、アクセントカラーのステッチが入ったブラック×チャコール、またはチャコール×ライトグレーでいずれもファブリックシートとなる。TOURINGは、アクセントカラーのステッチが施されたブラック×チャコール、またはチャコール×ライトグレーのレザーシートが標準装備。

そして最上位グレードのELITEでは、座面にパンチングレーザーを用いたブラック×チャコール、ブラウン×ブラック、またはチャコール×ライトグレーのレザーシートを採用。さらにアクセントカラーのステッチが施されるほか、ヒーター付きステアリングホイールやなどが標準装備となる。

折り畳み時で全長741×全幅93.9×全高536mmとなる「モトコンパクト」もご覧のとおり

フロア下にバッテリーなどを収めるプロローグだが、ラゲッジスペースは十分以上の広さを確保。ベースモデルのEXでは、リアシートを通常どおり使用した状態で25.2立方フィートのスペースを誇る。アメリカ式表記のためわかりづらいが、ゴルフバッグ3つを荷台に平置きできるほど。

そして60:40で分割可倒が可能なリアシートをフラットに折りたたむと、荷室スペースは 最大で57.7 立方フィートまで拡大する。また、ラゲッジスペースのフロア部分は二重構造になっており、フロア下には0.5 立方フィートの隠れスペースも用意されている。

テールゲートはEXのみ手動式で、TOURINGおよびELITEには、ハンズフリーアクセスを備えたパワーテールゲートが標準装備される。

コネクティビティー

コネクティビティにおいては、車内においてシームレスなデジタルサービスの提供を目指した。車載向けコネクテッドサービス「Google built-in」が標準装備され、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Playなどが車内で使用できる。ソフトウェアはOTA(Over the Air)により一部機能や性能のアップデートができ、常に最新化されたサービスが提供される。

先進安全運転支援システム・衝突安全性能

プロローグは、予防安全・衝突安全においても高い性能を実現。先進安全運転支援技術の「Honda SENSING(ホンダ センシング)」が標準装備され、アメリカ道路安全保険協会(IIHS:Insurance Institute for Highway Safety)の最高評価であるトップセーフティーピック+、アメリカ高速道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)の最高評価である5つ星の獲得を目標に開発された。

ダイナミクス・航続距離・充電性能

電動パワートレーンは、全グレードでシングルモーター(FWD)とデュアルモーター(AWD)の両仕様を設定。デュアルモーター仕様では、最高出力288hp、最大トルク333lb.-ft.を発生。脚まわりでは、前後ともプロローグのために最適化したマルチリンク式のサスペンションを採用する。

シングルモーター(FWD)のスペックについては未発表だが、ホンダが培ってきたダイナミクス技術によりEVであってもパワフルな加速と意のままのハンドリングを中心としたホンダらしい走りを実現しているとのこと。

最大航続距離は300マイル(約480km)を実現か

航続距離は、85kWhのバッテリーを搭載し、EPA(米国環境保護庁)が定める基準で300マイル(約482km)以上を目指すとしている。またDC急速充電では150kW以上の高出力充電にも対応し、約10分で航続距離65マイル(約104km)相当の充電ができるなど、外出先での充電を素早く行うことができるという。

北米において、ホンダは信頼性の高い充電インフラの整備を目的として、自動車メーカー7社でEV用高出力充電網を構築する合弁会社の設立に合意している。さらに2025年からは、北米で販売するEVの充電ポートに北米充電規格(North American Charging Standard/NACS)を採用することを、NACSを展開するTesla, Inc.と合意している。

プロローグはCCS(Combined Charging System)用充電ポートを採用しているが、2025年以降、充電アダプターを用いることでNACSにも対応できるよう開発を進めている。ホンダはEV投入の拡大とともに、充電環境の整備にも取り組むことで、EV普及に向けた取り組みも加速していくとのこと。

JAPAN MOBILITY SHOW 2023で実車を展示予定

プロローグは2024年初めにアメリカおよびカナダの北米市場にて発売される。ホンダとGMによる共同開発車だが、車体設計の基本部分やバッテリーがGM製となるため、生産はGMの工場にて行われる。

車両価格は4万ドル(約600万円)台の後半からが予定されており、購入時には最大7500ドル(約110万円)の税額控除が受けられるインフレ抑制法の対象になると見込まれている。

残念なのは、現時点で日本市場への導入は予定されていないこと。しかし、今秋に東京ビッグサイトにて開催される『JAPAN MOBILITY SHOW 2023』(一般公開日:10月28日~11月5日)のホンダブースにて、プロローグの展示が予定されている。こちらでの反響次第では、ひょっとするとひょっとする、かも!?

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)