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【GT500】全車両がサクセスウェイト無しで挑む第8戦、Modulo NSX-GTはGT300車両と接触し無念のリタイア

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2023 SUPER GT 第8戦(モビリティリゾートもてぎ)
#64 Modulo NSX-GT
予選:7位
決勝:リタイア
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4月に岡山で開幕した2023年のSUPER GTも、いよいよ最終戦を迎えた。シーズン最後を飾るレースは、全車がサクセスウェイトを搭載せずに戦う「ガチンコレース」。舞台はホンダ勢にとっては地元であるモビリティリゾートもてぎ、また長らくSUPER GTのGT500クラスに参戦してきたNSX-GTのラストレースであるだけに、ぜひとも表彰台の中央に登りたいところ。

64号車Modulo NSX-GTを走らせるModulo Nakajima Racingは、第6戦(SUGO)そして第7戦(オートポリス)をともに11位で終えており、ポイント獲得まであと少しというレースが続いているだけに、最終戦こそは表彰台、そして今季最高の結果を勝ち取るべく、チーム一丸となって最終戦に臨んだ。

秋を迎えても、気温25度を超す夏日が数多く記録された今年を象徴するかのように、レースウィーク直前の金曜日は晩夏を思わせる陽気に包まれた。しかし公式練習および予選が行われる11月4日になると季節は急速に進み、朝には肌寒ささえ感じるほど。さらにモビリティリゾートもてぎ一帯には濃い霧が立ち込めるなど、最終戦も天候への対応が大きなカギを握ると予感させた。

土曜日の朝からコースを覆った霧は、太陽が登るとともに姿を消し、天候も回復。しかし午前9時25分から始まった公式練習では、気温15度・路面温度18度と、上着が手放せないコンディションとなった。

走行開始直後から好調さを感じさせたのは日産勢だったが、ホンダ勢も負けじとタイムを伸ばし、64号車Modulo NSX-GTは10番手タイムとなる1分37秒795を記録。全車ともサクセスウェイトを搭載しない最終戦ながら、公式練習の2番手から10番手までの車両が1分37秒台と1秒以内にひしめきあっており、あらためてSUPER GT GT500クラスの厳しさを感じさせる。

そして午後を迎え、定刻の14時53分にGT500の予選Q1がスタート。気温は23度、路面温度は29度まで上昇したコンディションのなか、64号車Modulo NSX-GTは他マシンに先駆けて1番手でコースイン。ステアリングを握る太田格之進選手は入念にタイヤを温めてタイムアタックを開始する。

最初にコースインしていた太田選手は1分36秒640をマークするも、計測の最終周で再びタイムアタックを敢行。1分36秒609とベストタイムを更新して8番手に飛び込んだ。ピットからも笑顔がこぼれるなか、64号車Modulo NSX-GTにとっては第5戦以来となるQ1突破を決めた。

続くQ2は15時31分からスタート。64号車Modulo NSX-GTに乗り込んだ伊沢拓也選手は、ピット出口のグリーンランプが点灯すると同時に、こちらも1番最初にコースへと飛び出していく。伊沢選手もタイヤのウォームアップを念入りに行い、1分36秒879を記録。7番グリッドを獲得した。

そして迎えた日曜日の朝は晴れ。今回の決勝レースは300km、63周で争われる。しかし決勝レースのスタート時刻が近づくにつれ、徐々に上空には雲が広がっていく。スターティンググリッドに並べられたマシンの周りでは、もしかすると雨があるかも…という雰囲気のなか、メカニックが慌ただしく準備を進める。

午後1時、栃木県警によるパレードラップの後にフォーメーションラップが進められ、いよいよ決勝レースがスタートした。64号車Modulo NSX-GTのスタートドライバーを務めるのは、伊沢拓也選手。予選ではQ1/Q2ともに誰よりもはやくコースインし、念入りにタイヤを温めていただけに序盤の走りが注目されたが、オープニングラップを7位で終えると、ポジションをキープしたまま周回を重ねていく。

すると5周が終わるころ、ホームストレート上にパラパラと雨が降り出してしまう。両ドライバーの義務周回数の関係で、この時点ではまだタイヤ交換を行うチームはいなかったが、64号車Modulo NSX-GTにとっては厳しい路面状況となってしまい、伊沢選手は大きく順位を落としてしまう。

やがて雨は徐々に落ち着いてきたものの、15周を過ぎるころには13番手まで順位を下げてしまった。そんな苦しい状況ながらも伊沢選手は懸命に周回を続け、25周目にピットインを行って太田選手へとドライバー交代を行った。

マシンを受け取った太田選手は、ペースを上げて懸命に前を追いかけようとするものの、タイヤの発熱が良くないのかグリップ不足に苦しむような走りとなってしまう。そして40周めの終わりに、2度目のタイヤ交換を行うためピットインを行った。

そしてコースに戻って再びタイヤを温めながら周回していたところ、トップの車両が45周目に突入したターン2で64号車Modulo NSX-GTはGT300クラスの車両と接触、Modulo NSX-GTは右リヤが大破するほどのダメージを負ってしまう。残念ながら今後の走行は不可という状況で、レースはフルコースイエロー(FCY)が発動された。

2023シーズンの最終戦、64号車Modulo NSX-GTはリタイアという残念な結末となったが、第4戦(富士)ではシーズン最上位の2位を記録するなど、浮き沈みの大きな1年となった。参戦車両がシビック TYPE R-GTへと一新される来季、Modulo Nakajima Racingの雪辱に期待したい。

中嶋 悟 総監督コメント

「残念です。計画通りに進まず苦しい展開の中、リタイアとなってしまいました。1年間ご声援をいただいた皆様に結果でお返ししたかったのですが、叶わずシーズン終了となってしまいました。今後も引き続き、我々のやるべきことを続けていきます。たくさんのご声援をありがとうございました」

伊沢拓也選手 コメント

「タイヤのウォームアップに少し懸念があったので順位をキープするのは難しいかと思ったのですが、スタートから序盤はそれをやり遂げることができて、フィーリングも良かったです。ただ、途中からピックアップの症状が出て、さらには雨が降ってきたタイミングで感触も悪くなってしまいました」

「そのような状況でも、なんとか自分たちにできることをと、左フロントタイヤだけ交換して太田選手に走ってもらいましたが、やはりペースはきつく、きちんとレースをさせてあげられませんでした。最後はタイミングも悪く、リタイアとなってしまい、シーズン最後のレースをいい形で終えられなかったのは残念です。1年間応援ありがとうございました」

太田格之進選手 コメント

「タイヤを交換した後、ウォームアップに苦労しましたが、そのなかでタイミング悪くGT300クラスの車両と交錯してしまいました。今年1番、苦しいレースでした。しっかりクルマをチェッカーまで運ぶことができず、非常に残念な終わり方になってしまい悔しいです。今シーズンはここで終わってしまいましたが、次につなげるために今日のレースもしっかり分析したいと思います。応援ありがとうございました」

(text:Honda Style Web)