Honda好きが堪能できる、Hondaスピリッツ溢れる情報誌
  1. TOP
  2. NEW CAR
  3. Honda Access
  4. 【ホンダアクセス】シビック用とタイプR用を専用開発! Modulo開発アドバイザー土屋圭市氏が語るスポイラーの魅力

【ホンダアクセス】シビック用とタイプR用を専用開発! Modulo開発アドバイザー土屋圭市氏が語るスポイラーの魅力

ホンダ車向け純正アクセサリーの企画・開発・販売を手がけるホンダアクセス。そのカスタマイズブランドである”Modulo”といえば、『実効空力』と呼ばれるコンセプトに基づいて開発されたエアロパーツや、コンプリートカー「Modulo X」で多くのファンから高い支持を集めている。

現行シビックにおいても、FL5型シビック タイプR用テールゲートスポイラーに続き、シビックRSを含むFL型シビック全車に対応するスポイラーをそれぞれ開発。その両製品に、土屋さんは開発アドバイザーとして関わった。そのタイプR用テールゲートスポイラーは、最新の愛車であるシビック タイプRにも装着されている。

「もうホントに散々走ったんだから! シビック(FL1/FL4)用テールゲートスポイラーは、タイプR用のあとさらに2年間かけて開発したからね。合計でどれだけ走ったか、ちょっと考えたくないよ(笑)」

ホンダ車用純正アクセサリー”Modulo”の開発アドバイザーを務める土屋圭市さんに、シビック タイプR/シビック用テールゲートスポイラーの開発エピソードについて尋ねてみると、まず口にしたのは「いかに大変だったか」というものだった。

しかし嘆くような言葉とは裏腹に、その表情には満面の笑みが漂う。『良いものを作るためには妥協しない』という、職人の心意気が通じ合うホンダアクセスの開発メンバーと協業して開発したエアロパーツは、やはり想い入れがいっぱいなのだ。

「最初はシビック タイプR用のスポイラーをシビックのMT車に装着して走っみてたんだけど、やっぱり違うねと。じゃあ(専用に開発を)やるしかないよねって。気付いたら2年も経っちゃった」

ホンダアクセスが掲げる『実効空力』コンセプトを投影したテールゲートスポイラーは、シビック タイプR&シビックそれぞれに専用開発されたもの。シェブロン(鋸状)デバイスを備える点は共通だが、スポイラーの高さや厚み、そして素材のすべてが異なっている。

開発初期にシビック タイプR用テールゲートスポイラーをシビックに装着してみたところ、エンジン出力やボディ形状、車両重量の違いもあって思うような効果が得られなかった。そこからシビック用スポイラーとして専用開発がスタート。走りの質感だけでなく、スタイリング面や身近な価格帯の実現まで、タイプRとの差別化を目指した。

シビック タイプR用はリアルカーボン素材を採用しており、価格は36万3000円。いっぽうRSやe:HEVを含むシビック全車に装着可能なテールゲートスポイラーは樹脂素材を使用することでリーズナブルな価格を実現。こちらは6万8200円となっている。

「FL型シビックは、スポイラーレスのベースモデルや標準リアスポイラー装着車だと、雨量の多い日が怖いんだよね。もちろん、シビックの素性が良くないっていう話じゃないよ。むしろその反対で、現行シビックはフロントの接地感がすごく高いクルマだと思う」

「だからこそ、少々ウデに自信があるドライバーだと『いける』と思って突っ込んじゃうかもしれない。そんなときでも、リアがブレイクしないエアロパーツ。それがModuloリアスポイラーの役割だと思って開発したんだ」

ディーラー店頭でも放映されている走行テスト風景をみると、テールゲートスポイラーの効果でリアが安定し、大きな起伏を越える際もタイヤが路面を捉えて離さない様子がよくわかる。製品はシビック全車に対応するが、シビックRSがもっとも体感できるとのこと。

Modulo開発アドバイザーである土屋さんのポリシーは、常にユーザー側の視点を崩さないこと。だからパーツ開発においても、公道であれば起こりうるかもしれないシチュエーションを想定してから走行テストに臨むという。そして開発段階では、スポイラーの形状、高さや角度、シェブロンデバイスの場所や数など様々な仕様違いをテスト。朝から日没、ときには夜間も走り込んだ。

「仕事なんだから当然と言いたいけど、それ以上に好きだからできるんだよね。クルマも人も。なにより『Moduloなら信頼できる』と思ってくれているファンのことは裏切れないし、絶対に応えたい。オレだけじゃなく開発に携わった皆が思っている。そんな気持ちで作り上げたスポイラーだから、これ以上のスポイラーはないと断言できるし、愛車のタイプRにも装着しているんだ」

(photo:Yoshiaki AOYAMA 青山義明、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)