【ホンダアクセス】シビック用とタイプR用を専用開発! Modulo開発アドバイザー土屋圭市氏が語るスポイラーの魅力

ホンダ車向け純正アクセサリーの企画・開発・販売を手がけるホンダアクセス。そのカスタマイズブランドである”Modulo”といえば、『実効空力』と呼ばれるコンセプトに基づいて開発されたエアロパーツや、コンプリートカー「Modulo X」で多くのファンから高い支持を集めている。
現行シビックにおいても、FL5型シビック タイプR用テールゲートスポイラーに続き、シビックRSを含むFL型シビック全車に対応するスポイラーをそれぞれ開発。その両製品に、土屋さんは開発アドバイザーとして関わった。そのタイプR用テールゲートスポイラーは、最新の愛車であるシビック タイプRにも装着されている。

「もうホントに散々走ったんだから! シビック(FL1/FL4)用テールゲートスポイラーは、タイプR用のあとさらに2年間かけて開発したからね。合計でどれだけ走ったか、ちょっと考えたくないよ(笑)」
ホンダ車用純正アクセサリー”Modulo”の開発アドバイザーを務める土屋圭市さんに、シビック タイプR/シビック用テールゲートスポイラーの開発エピソードについて尋ねてみると、まず口にしたのは「いかに大変だったか」というものだった。

しかし嘆くような言葉とは裏腹に、その表情には満面の笑みが漂う。『良いものを作るためには妥協しない』という、職人の心意気が通じ合うホンダアクセスの開発メンバーと協業して開発したエアロパーツは、やはり想い入れがいっぱいなのだ。
「最初はシビック タイプR用のスポイラーをシビックのMT車に装着して走っみてたんだけど、やっぱり違うねと。じゃあ(専用に開発を)やるしかないよねって。気付いたら2年も経っちゃった」


ホンダアクセスが掲げる『実効空力』コンセプトを投影したテールゲートスポイラーは、シビック タイプR&シビックそれぞれに専用開発されたもの。シェブロン(鋸状)デバイスを備える点は共通だが、スポイラーの高さや厚み、そして素材のすべてが異なっている。
開発初期にシビック タイプR用テールゲートスポイラーをシビックに装着してみたところ、エンジン出力やボディ形状、車両重量の違いもあって思うような効果が得られなかった。そこからシビック用スポイラーとして専用開発がスタート。走りの質感だけでなく、スタイリング面や身近な価格帯の実現まで、タイプRとの差別化を目指した。


シビック タイプR用はリアルカーボン素材を採用しており、価格は36万3000円。いっぽうRSやe:HEVを含むシビック全車に装着可能なテールゲートスポイラーは樹脂素材を使用することでリーズナブルな価格を実現。こちらは6万8200円となっている。
「FL型シビックは、スポイラーレスのベースモデルや標準リアスポイラー装着車だと、雨量の多い日が怖いんだよね。もちろん、シビックの素性が良くないっていう話じゃないよ。むしろその反対で、現行シビックはフロントの接地感がすごく高いクルマだと思う」
「だからこそ、少々ウデに自信があるドライバーだと『いける』と思って突っ込んじゃうかもしれない。そんなときでも、リアがブレイクしないエアロパーツ。それがModuloリアスポイラーの役割だと思って開発したんだ」

Modulo開発アドバイザーである土屋さんのポリシーは、常にユーザー側の視点を崩さないこと。だからパーツ開発においても、公道であれば起こりうるかもしれないシチュエーションを想定してから走行テストに臨むという。そして開発段階では、スポイラーの形状、高さや角度、シェブロンデバイスの場所や数など様々な仕様違いをテスト。朝から日没、ときには夜間も走り込んだ。
「仕事なんだから当然と言いたいけど、それ以上に好きだからできるんだよね。クルマも人も。なにより『Moduloなら信頼できる』と思ってくれているファンのことは裏切れないし、絶対に応えたい。オレだけじゃなく開発に携わった皆が思っている。そんな気持ちで作り上げたスポイラーだから、これ以上のスポイラーはないと断言できるし、愛車のタイプRにも装着しているんだ」
(photo:Yoshiaki AOYAMA 青山義明、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)