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タイのソンクラー大学が「学生フォーミュラ」に挑む(4)

今年で16回目を数えるものづくり・デザインコンペティション「全日本学生フォーミュラ大会」が、静岡県の袋井市と掛川市にまたがるところに位置する小笠山総合運動公園で、2018年9月4日(火)〜8日(土)までの5日間にわたって開催された。

今大会は、過去に例がないほど雨に悩まされる一戦となった。台風通過後も居座った前線の影響で期間中最終日まで雨が影響し、何度かスケジュールの変更を余儀なくされることとなっただけでなく、走行時間の枠を確保するため、最終日に予定されていた表彰式や交流会自体も取りやめとなるなど、例年にない大会となった。

ホンダアクセス・Moduloのサポートを受けて参戦している、タイ王国のプリンス・オブ・ソンクラー大学(Prince of Songkla University/ゼッケン44)もレースウィークを通して雨に振り回される形となったが、動的審査のオートクロスでの好タイムによって、この最終日のエンデュランス審査まで、きっちりと駒を進めることができた。

エンデュランス審査はオートクロスにおける下位タイムのマシンから順に出走。スケジュールとしては金曜日の午後と土曜日に組み込まれていたが、前日の金曜日のエンデュランス審査時間に夕立があり、結果、37台のうち9台が出走できずとなってしまった。そこで、翌土曜日に走行予定だった32台に追加するかたちで出走することとなった。

その最終日は、早朝午前7時半から、まずは走行音の小さなEVクラスのエンデュランス走行(5台)がスタート。続いて前日のエンデュランス審査を出走できなかった9台がアタックをし、その後、当初の予定の27台が出走することとなる。ソンクラー大学の出走順は当初11番手だったものの、20番手となり、午前11時過ぎの出走となった。

この最終日も天候は安定しておらず、午前7時半のEVの走行がスタートするころには雨は上がっていたものの、コース上はウェットパッチが残る状態。そこから陽も差し始め、路面コンディションはよくなっていったものの、午前10時前後に再び雨が落ち始め、路面はウェットに変わってしまう。

プリンス・オブ・ソンクラー大学の44号車が出走するタイミングまでには、雨は上がったものの、ところどころに水たまりが残る状況の中での走行となってしまう。また、そのエンデュランス審査中にも幾度か雨粒が落ちてくるという厳しい状況の中でのアタックとなってしまった。

それでも2人のドライバーは果敢に攻め、いくつかパイロンタッチを取られる結果となってしまったが、しっかり走り切った。最初の走行を担当し、昨年に引き続いて2回目の挑戦となったアンノ・パッディーワンイくん(写真左)は「完走できてうれしい。ただ、目標とするところまでは行けていないので、悔しい」とコメント。

今回日本大会で3回目の走行となったエースドライバーのタナワット・サッチャクンくんは、「まずは完走できたことは単純にうれしい。今回は天候も悪く、事前の車検や練習走行などで時間をロスしてしまったことが残念ですが、最後のエンデュランスまで来ることができ、それも完走できたことをうれしく思ってます。昨日は時間があったため、サスペンションセットを見直したりもしたのですが、天気が変わってしまって、レインタイヤ、そして雨での走行を練習してこなかったのでタイムを縮めることができませんでした。雨がなければと悔やまれまれます」とコメントしてくれた。

エンデュランスを完走し、チームの大半が涙ぐみ大喜びであったが、指導教員のワチャリン先生はまだまだ目指すところまで達していない、と厳しい表情だった。しかし5日間にわたる学生たちの熱い戦い、プリンス・オブ・ソンクラー大学の今大会の結果は、前年よりも13ポジションもアップして31位となった。

このチームは、2019年1月に開催予定のタイ国内での大会にも参戦を予定しているということで、帰国後も忙しい日々を過ごすこととなるだろう。年々実力をつけてきているチームに期待したい。

(text:Yoshiaki AOYAMA 青山義明)