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【動画】世界初の楕円ピストンを採用

ホンダらしいオートバイを1台挙げろと言われたら、このモデルこそ「ホンダらしさ」をもっともよく表した1台かもしれない。世界で初めて、楕円ピストンを採用したV4エンジンを搭載したドリームバイクが、このNRだ。

そもそもNRが誕生した経緯からしてホンダらしい。ホンダがオートバイレースの最高峰である、ロードレース世界選手権に復帰したのは1978年のこと。2ストローク・エンジンが圧倒的に有利だった当時、あえて4ストロークで勝負を挑んだホンダが、NR500に採用した技術が楕円ピストンだった。その技術を発展させ、ついに市販化に漕ぎ着けたのが1992年に登場したNRだ。

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エンジンはV型4気筒747ccながら、ボアは101.2(長径)×50.6(短径)mmという楕円形状のピストンを採用。1つのピストンあたり吸排気それぞれ4つずつのバルブが備わり、42.0mmというショートストローク設計。チタンコンロッドと点火プラグを各2本装備する。レッドゾーンは1万5000回転からという高回転ユニットだった。

ショートストローク設計ながら、低速域から高速域までワイドでフラットなトルク特性を発揮したV型4気筒32バルブユニット

ショートストローク設計ながら、低速域から高速域までワイドでフラットなトルク特性を発揮したV型4気筒32バルブユニット

エンジンだけでなく車体も専用装備のカタマリで、極太のメインチューブを採用したアルムフレームに片持ち式スイングアーム・プロアームを採用。フロントフォークは倒立式とされた。前後ホイールは軽量なマグネシウム素材とされ、マフラーはテールカウルから排出する2本出しタイプである。

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独特のスタイリングを構成するカウル類はそのほとんどがカーボン製で、ボディカラーは新開発の赤色・高彩度塗装が施された。ウインドスクリーンは、多層蒸着法によるチタン/シリコン・ハードコートを採用するなど、高価なパーツを惜しみなく投入。車両価格は520万円で、300台の限定で販売された。

(text:Yoshiaki AOYAMA 青山義明、Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)