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【2019PPIHC】2台のNSXは完走、ホンダエンジンを搭載したシュート選手が「山の男」に輝く

現地時間2019年6月30日(日)、「第97回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」が決勝日を迎えた。ホンダエンジンを搭載したオープンホイールマシンを持ち込んだのロビン・シュート選手が総合優勝を果たしたほか、アキュラNSXを駆るロビンソン兄弟は13位と17位となった。

アメリカ・コロラド州にある標高4302mを誇るパイクスピーク山を舞台に1916年から開催されている「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」は、パイクスピーク頂上に向かう山岳道路「パイクスピーク・ハイウェイ」の一部を使用し、その役20kmの区間をいかに速く駆け上がるかを競うレースである。

今年のパイクスピークへは、オハイオにあるホンダR&Dの社員により結成されている社内チームから、アキュラNSXが2台、そしてMDXとRDXの計4台が参戦。さらにピレリ・ワールドチャレンジに出場しているピーター・カニンガム選手が、#42号車の2019年式アキュラTLX GTを持ち込んだ。

そのほか今年2月に、53秒071という筑波サーキットのFFレコード記録を樹立したシビックのタイムアタッカー、カナダのウイリアム・オゥ-ヤン選手(2012年式 Vibrant Civic)、そして昨年に引き続いてホンダエンジンを搭載したオープンホイールマシンを持ち込んだ、アンリミテッド・ディビジョンのロビン・シュート選手(#49 2018年式 Wolf TSC-Honda)が参戦している。

今年のパイクスピークでは、例年、走行の最終盤に出走する選手が悪天候下での走行を強いられていることから、これまでよりもレーススタート時間を30分早めて午前7時半からスタートさせた。

パイクスピークで6度のタイトルを獲得したことのあるデイビッド・ドナー氏が、ペースカーのアキュラNSXに乗り込んで頂上まで駆け上がってくるまでは順調だったものの、初めに走行する2輪部門で赤旗中断が相次いだ。そのため4輪の出走は午前11時を過ぎてようやくスタート。4輪は予選タイムの速い順でスタートした。

まず好天の下、トップで駆け上がってきたのはシュート選手だった。そのタイムは9分12秒476。2番手以降、そのタイムを上回る選手はなく、優勝を飾った。2018年にロマン・デュマ選手(#94 VW I.D.Rパイクスピーク)が出した7分57秒148には遠く及ばなかったものの、「山の男」の称号を得た。

3位にはパイクスピーク・オープンクラスのカニンガム選手が9分24秒433のタイムで入賞した。カニングハム選手のTLX GTは、ピレリ・ワールドチャレンジ・シリーズに参戦している4輪駆動のTLXそのもので、J35型ツインターボ V6エンジンを搭載。昨年の参戦時より、リアディフューザーを中心にエアロパーツを進化させている。

そして、過去6年パイクスピークへ参戦を続けているホンダR&Dのメンバーを中心とした社内チームから参戦したジェームズ・ロビンソン選手(#902 2019年式 Acura NSX)は、「タイムアタックNSX」と名付けられた車両をドライブ。

ダウンフォースを得るためリアウイングを大型化し、フロントアンダースポイラーを装着。それでいてベース車よりも90kgほど軽量化が施された。パワートレイン全体では625馬力まで出力を引き上げているが、タイムは昨年より5秒遅い10分7秒940。総合13位(タイム・アタック・クラス4位)という結果となった。

ジェームズの実兄であるニック・ロビンソン選手(#173 2017年式 Acura NSX)は、昨年はアキュラTLX Aスペックで参戦したが、今回は2016年以来再びNSXで参戦。こちらのNSXは、パイクスピークに参戦するためのロールケージや消火器の搭載といったレギュレーションに合致させただけの市販車仕様。総合17位・クラス5位(10分25秒556)でフィニッシュした。

昨年、RDXでパイクスピークに初参戦を果たしたジョーダン・ギター選手(#735 2019年式 Acura MDX)は、今回は初登場となるMDXハイブリッドをドライブ。ベース車両のパワートレインは3リッターSOHC V6+2モーターだが、これをガソリンエンジン車の3.5リッターV6に換装したうえ、3.7リッターまで排気量を拡大。スポーツハイブリッドSH-AWDシステムと7速DCTを組み合わせ、最高出力400馬力/最大トルク350 lb.-ftを発生させる。しかし出走順が遅かったため、コース短縮での決勝となってしまった。

昨年に登場したRDX Aスペックは、4世代目のSH-AWDと2.0L VTECターボエンジンを搭載するが、そのタービン径を小さくし、エキゾーストのサイド出しといった変更を施している(最高出力350馬力/最大トルク330 lb.-ft)。2017年からこのチームに参加し、今回初めてドライバーとして参戦するスティーブン・オロナ選手(#722 2019年式 Acura RDX)が搭乗したが、こちらもコース短縮のため、スタートからグレンコーブまでのセクションで走行。

また、オーストラリアでのワールドタイムアタックや筑波でのアタック記録を持っている2012年モデルのシビックを使用したタイムアタックマシンで、このパイクスピークにルーキーとして参戦したウイリアム・オゥ-ヤン選手は、「スムーズに走ることができなかった」と悔しさを残しながらも、11分3秒988のタイムで、アンリミテッドクラス3位(総合24位)で走り終えている。

(text:Yoshiaki AOYAMA 青山義明 編集:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)