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【学生フォーミュラ2023】タイ大会を優勝したプリンス・オブ・ソンクラー大学、海外勢でトップとなる10位を記録!

今回21回目を数える学生フォーミュラ日本大会2023が、2023年8月28日(月)から9月2日(土)にかけて、静岡県袋井市と掛川市にまたがるエコパ(小笠山総合運動公園)で開催されました。

学生が自ら設計した車両を製作し、その出来を競う学生フォーミュラは、「ものづくりによる実践的な学生教育プログラム」として行われており、実際に車両の製作、そして走行の場での性能評価はもちろん、その車両の設計から、その車両の使用を想定したプレゼンテーションまでを行っています。

学生フォーミュラは、1981年にアメリカで開催された「Formula SAE」が起源となっている教育競技会で、現在ではFormula SAEシリーズとして世界8か国10大会が開催されています。

日本大会は2003年からスタートし、当初は17チームが参加しました。以後、回を重ねるごとに参加チーム数は増えていき、近年は最大98チームで出場制限が課せられるほどの盛り上がりを見せています。

しかし、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて第18回大会(2020年)は中止、第19回大会(2021年)はオンラインの静的審査のみ。第20回大会(2022年)は日本国内チームのみの限定で、オンラインの静的審査と現地での動的審査というハイブリッド開催となりました。そして今大会からは、ようやく再び海外からの参戦が受け入れられることとなりました。

2019年の第17回大会以来、4年振りに参戦が可能となった海外勢は11チームがエントリー。内訳は中国1チーム、インドネシア2チーム、タイ1チーム、 台湾1チーム、バングラディシュ1チームが参戦し、そのうち4チームがこのエコパ会場にマシンを持ち込みました。日本大会なので当然ながら日本チームに「地の利」があるのですが、過去に2度、海外チームが総合優勝をさらっていったという歴史があります。

タイ王国からエントリーしたプリンス・オブ・ソンクラー大学(Prince of Songkla University)の「LookPraBida」チームは、今年のタイでの学生フォーミュラ大会『17th TSAE Auto Challenge Student Formula』で優勝したチームです。

ホンダスタイルWebでも過去に取材していますが、プリンス・オブ・ソンクラー大学はタイ王国南部において最も古い歴史をもつ国立大学であり、学生フォーミュラ・チームにはかつてホンダやホンダアクセスで脚まわり開発に従事した玉村 誠さんがアドバイザーとして参画。ホンダアクセスのスポーツブランド「Modulo」の祖でもある玉村さんのサポートもあり、タイ国内ではいまや敵なしという強さを誇っています。

これまでも何度か日本大会に参戦をしている名門チームですが、今回はタイ大会で総合優勝した車両をそのまま日本大会へと持ち込み、その実力を測るとのこと。しかしチームにとっては久しぶりの日本大会。以前に参戦したときからは、FA(ファカルティアドバイザー)や、まだ大学に残っている1名を除いてメンバーが入れ替わっており、ほぼ全員が初めてとなる日本での戦いに挑みました。

実車とは別に、事前に行われる静的審査では、タイ国内大会で「プレゼンテーション」審査3位、「デザイン」審査1位、「コスト」審査で2位を獲得。日本大会でも好成績が期待されましたが、残念ながら各項目とも成績は伸び悩み、日本大会での「プレゼンテーション」審査38位、「デザイン」審査21位、「コスト」審査34位と、成績は伸び悩んでしまいました。

それでもチームは動的審査での巻き返しを図り、日本にやってきました。大会期間スタートに合わせ会場に入り、準備を進めます。持ち込んだ車両は、同一レギュレーションで制作された車両だけにそのまま車検が通るはずでしたが、車検担当者からいくつか修正指示が出されてしまいました。

世界共通となるF-SAEのレギュレーションで運営をされているのですが、レギュレーションの解釈の違いによって若干ローカライズされている部分もあるのか、それを目の当たりにした感じです。一部特に大きな修正が必要な部分があり、その加工に時間を取られつつも、それでも無事に事なきを得、車検を通過しました。

本来順調にいけば大会3日目にはマシンのセッティングに時間がかけられたものの、ここでタイムロスが発生したことで、プラクティスの時間を取ることができませんでした。特に2名のドライバーは、日本大会における動的審査の経験がないため、残念ながらぶっつけ本番で動的審査に進むこととなりました。

それでもほかのチームと比較して順調にコマを進めてきた「LookPraBida」チーム。大会4日目に開催された「アクセラレーション(75mの加速タイムを競います)」で2位、「スキッドパッド(左旋回と右旋回の周回タイムを競います)」15位、「オートクロス(直線、ターン、スラロームやシケインを組み合わせた1周800mの複合コースの走行タイムを競います)」では9位と、好成績を連発!

動的最終審査となる「エンデュランス」審査は2日間に渡って開催されますが、「オートクロス」審査の上位半分となるGr.Aは、大会最終日の9月2日(土)に審査が行われます。そのため、大会5日目の金曜日は実質的には休みとなりますが、この日も「LookPraBida」チームは全員が会場にやってきて、プラクティスエリアで車両の最終調整を行っていました。

そして迎えた最終日。早朝からEVクラスのエンデュランスがスタートし、午前10時を過ぎ、「LookPraBida」の車両はエンデュランスコースとなるP9駐車場にマシンを運び、Gr.A4組目としてエンデュランスで出走を開始しました。

車両は淡々と走行を重ね、ドライバー交代をした後も、無事にエンジンがかかり、設定された20周を走り切った。タイムペナルティがあったものの、この「エンデュランス」審査を7位で通過し、さらに走行後の「効率」審査は14位を獲得しました。

そしてプリンス・オブ・ソンクラー大学の「LookPraBida」チームは、今年の日本大会で過去最高順位となる10位という結果を残しました。

想定外のトラブルにもさすがの対応力を見せた「LookPraBida」チームは、このあと東京・浅草に移動し、日本観光を楽しんでからタイへ帰国する予定とのことでした。

(photo&text:Yoshiaki AOYAMA 青山義明)