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【現地レポート】ポコノのレースは200周が126周に短縮され、ウィル・パワーが今季初勝利を飾る

ペンシルベニア州にあるポコノレースウェイは、全長2.5マイルのスーパースピードウェイ。しかし通常の楕円形をしたオーバルコースとは違い、三角形をしている。ストレートとコーナーが3つずつ存在するが、いずれも長さやバンク角は異なっており、その独特なレイアウトから”トリッキー・トライアングル”とも呼ばれる。

インディ500と同じ超高速コースで、インディ500と同じ500マイルのレースが戦われるはずだったが、1周目に多重アクシデントが発生して45分間の赤旗中断になった。レースが夕方にずれ込んだうえ、さらに雨も降ったことから、200周の予定が128周でチェッカーフラッグが振られた。

優勝したのは、2014年のシリーズ・チャンピオンで現在はランキング5番手につけるウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。彼は14戦目にして今季初勝利を挙げ、インディカー・シリーズにおける連続優勝を13年間に伸ばした。

“トリッキー・トライアングル”でのインディカー・レースは、2013年に再開されてから今年で7回目となるが、パワーは2016年、2017年に続く3勝目をマークした。しかし残念ながら、ここでのレースはもう来年からは行われない可能性が強いと見られている。

1ラップ目のアクシデントで他車の破片を踏んだのかタイヤにダメージを受けたパワーは、ピットに向かったために13番手まで後退。そこからトップ争いに挽回したものの、今度はタイミングの悪いフルコースコーションで7番手に後退してしまう。

ツキに恵まれていなかったが、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、セバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)と言った猛者たちを次々とパス。

ピットストップでサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)も抜いて2番手に浮上すると、トップを行くスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)も115周目のターン1で抜き去った。

「ピットから”20分後ぐらいに雨が降る”と言われた。その後は燃料セッティングをフルリッチにしてアタック。タイヤの状況も良かったからディクソンをパスできた。優勝できて嬉しいよ。今年はスピードがありながら勝てないってレースばかりだったから。自分のミスもあったが、勝てる力を備えているのに勝てなくてフラストレーションが溜まっていた。残り3レースで更に勝ち星を増やしたい」と、パワーは喜んでいた。

ディクソンは4勝利目前、ミッドオハイオからの連勝が確実と見えていたが、ハンドリングが突然悪化し、パワーに逆転された。「ピットストップでフロントウィングを立て、リヤのタイヤプレッシャーも上げたのにアンダーステアが大きくなった」と首を傾げていた。

それでも、第11戦トロントで2位、第12戦アイオワも2位、第13戦ミッドオハイオが優勝だったディクソン。今回のポコノでも2位という驚くべき好成績を続けることで、ディクソンは第10戦ロードアメリカ終了時点で94点もあったニューガーデンとの差を52点に縮めている。ランキングは4番手だが、逆転タイトルが可能な位置につけている。

3位はインディ500ウィナーでランキング3番手にいるパジェノー。フェルッチは惜しくも表彰台を逃した。テキサスと同じで、自己ベストの4位。初表彰台を今シーズン中に達成したいところだ。

ポイントリーダーのニューガーデンは5位。ポイント2番手のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は1周目にクラッシュした5台に含まれたが、マシンを修理してレースに戻り、18位。ニューガーデンのポイント差は16点から35点へと広がった。パジェノーとニューガーデンのポイント差は47点から40点に縮まった。

佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、1周目のターン2手前でクラッシュ。0周リタイアを喫した。ロッシをアウト側からパス……と見えた直後に接触があり、ロッシの内側にいたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)ともどもスピンし、後続のジェイムズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、フェリックス・ローゼンクビスト(チップ・ガナッシ・レーシング)もクラッシュした。琢磨のマシンは裏返って止まったが、無事救出され、怪我もなかった。

昨年に続いて2年連続で発生してしまった多重クラッシュは、琢磨のドライビングにより引き起こされたという批判が、ロッシや解説者のポール・トレイシーらから出された。

テレビのライブ中継で流れたロッシのオンボード映像だと、琢磨がインに降りて行っているように見えるからだが、琢磨のオンボード映像だと彼がアウト側にラインをまっすぐに保持していたとわかる。

(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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