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【現地レポート】インディカー・シリーズ第16戦、ウィル・パワーが今シーズン2勝目を飾る

ウィル・パワーがシーズン2勝目も時すでに遅し
チャンピオン争いはニューガーデン、ロッシ、パジェノーの3人に絞られる

2019年のシリーズ・チャンピオン争いも、いよいよ佳境を迎えている。そのプレッシャーだけが理由ではないが、オレゴン州ポートランドに舞台を移しての予選では、ポイント上位陣が苦しんでいた。

ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が予選13位、ランキング2位のシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は予選18位と、最強チームで戦う二人が予選第一セグメント(Q1)を通過できなかった。ポイント3番手のアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)も、ファイナル進出をギリギリでミスる予選7位だった。

こういう時でもしぶといからこそ5回もチャンピオンになり、今年も2年連続チャンピオンの可能性を残している、それがスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だ。ポイント4番手からの大逆転を狙う彼だけがファイナルに駒を進め、予選3位となった。一気にポイント差を縮める大きなチャンスが到来したというわけだ。

今シーズンのディクソンはまだ2勝しかしておらず、ポールポジションはゼロ。しかし、全レース、全コースで安定した速さを発揮するという面では、彼らチップ・ガナッシ・レーシングがベストだった印象がある。

そして決勝レースがスタート。ディクソンは予選2位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)をあっさりとパスし、ポールからスタートした驚異の新人コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)へも30周以上に渡ってプレッシャーをかけ続け、彼の前に出た。

ポールポジションを獲得したコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)

グリッド上位からスタートしたこの3人が、ソフトコンパウンドのレッドタイヤ装着でスタートしていたが、その使い方の巧さが光るベテランらしい戦いぶりだった。

こうなるともう完全にディクソンのシナリオ通りで、彼は優勝に向かって淡々とラップを重ねて行った。タイヤを労わり、燃費もセーブしながら、2番手以下に3秒以上の差をつけて見せたのだ。

ところが、6回目のタイトルの可能性は、突然の電気系トラブルで突然萎んでしまった。チップ・ガナッシ・レーシングらしくないメカニカルトラブルだった。

ディクソンという強敵が姿を消し、トップの座はパワーの元へと転がり込んだ。2レース前のポコノで今シーズン初優勝。しかし、その時点でもう2度目のタイトル獲得はもう難しくなっており、今回のシーズン2勝目も彼をタイトル争いへと復活させることはできなかった。キャリア37勝目は、セバスチャン・ブルデイと並ぶインディカー歴代6位タイとなるものだが……。

2位はルーキーのフェリックス・ローゼンクビスト(チップ・ガナッシ・レーシング)。予選5位から自己ベストに並ぶ成績を残した。2回目の2位フィニッシュで、ルーキーポイントのトップをサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)から取り戻した。ポイントスタンディングもふたつアップして8番手。ルーキーシーズンにランキングトップ10に入る可能性も見えてきた。

今年もポートランドではスタート直後に多重クラッシュが発生した。ドラッグレースで使われる長いストレートの先のターン1が直角・右コーナーで、コース幅も一気に狭まる。そこにマシンが殺到するからだ。

グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とザック・ビーチ(アンドレッティ・オートスポート)が接触し、コントロールを失った彼らのマシンはジェイムズ・ヒンチクリフとコナー・デイリー(ともにアロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)らを巻き込んだ。

予選17位だった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)と、予選18位だったシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)も被害を被った。琢磨はクラッシュしたデイリーのマシンを避けきれず、マシンの右サイドにダメージを負い、2周遅れに陥り、それを挽回できぬまま15位でフィニッシュした。

シリーズランキングのトップで最終戦を迎えるジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)

いっぽう多重アクシデントをうまく切り抜けたことで、後方スタートの不利を跳ね返したニューガーデンは、5位でフィニッシュすることに成功。アクシデント直後にストップしたが、マシンにダメージがなかったパジェノーは最後尾から11ポジション挽回して7位でゴールした。

ロッシはディクソンの次にポイントを大きく縮めるチャンスだったが、7番手スタートからの3位では、期待していたほどのポイント獲得はできず。ポイントトップのニューガーデンが、2つしか違わないポジションでレースを走り切ったからだ。

ポートランドを終え、ついに2019年シーズンは残り1戦となった。チャンピオン争いの権利を持つのは4人。トップのニューガーデンのリードは41点に広がった。ランキング2番手はパジェノーからロッシに変わっている。パジェノーもニューガーデンとは42点。逆転の可能性が非常に小さくなったディクソンは85点差だ。

決着は今から3週間後。舞台はカリフォルニア州モントレーにある『ウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカ』。名物コークスクリューを持つコースだ。同地でのアメリカン・トップオープンホイールのレースは2003年以来となる。

各チームともデータがほとんどない中での戦いとなるため、インディカー・シリーズの『誰が勝つかわからない』という度合いはさらに高まり、エキサイティングなレースが期待できそうだ。

(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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