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【GT500】天候も魔物も味方につけ、64号車Modulo Epson NSX-GTが今季ベストの2位表彰台を獲得!

9月のSUPER GTは2レース開催。第6戦オートポリスから2週間のインターバルを挟み、第7戦がスポーツランドSUGOにて行われた。9月21日に行われた予選は、2週間前の第6戦の汗ばむような陽気から一転して肌寒さを感じるほど。時おり吹く風は冷たく、半袖の上に羽織るものが欲しくなるほどだった。

SUPER GTシリーズの特徴であるウェイトハンデ制は、獲得ポイントに応じて搭載重量が決められる仕組みだが、シーズン後半の2戦は重量が軽減される。第7戦は全車とも規定の半分、そして第8戦は全車がウェイトハンデ無しのガチンコレースとなるため、スピード感あふれる迫力たっぷりのレースが期待される。

64号車Modulo Epson NSX-GTは、第6戦オートポリスにおいて今シーズンのベスト順位となる7位に入賞。その流れの良さを保ちつつ、予選Q1で牧野任祐選手が躍動を見せる。ほかのホンダNSX-GT勢も好調な走りを見せるなか、1分10秒508をマーク。Q1の2番手タイムでQ2進出を決めた。

GT300の予選Q2を挟み、いよいよGT500の予選Q2が始まる。やや気温も路面温度も下がるなか、ナレイン・カーティケヤン選手がコースイン。計測4周目に1分10秒799を記録し、6番グリッドから決勝に挑むこととなった。なおポールポジションを獲得したのは17号車で、2番手に1号車とフロントローをNSX-GTが独占し、相性の良さを感じさせた。

迎えた決勝レースの日曜日、朝のうちは曇り空だったが、天気予報では正午過ぎから高い確率での降雨という情報。ピットウォークまでは天候も持ちこたえていたが、スタート進行が始まるころからコース上に雨が降り始め、各チームともタイヤ選択に悩むこととなった。

レースはセーフティカー(SC)先導でのスタートに変更されたが、GT500ではポールポジションスタートの17号車をはじめ、数台がスリックタイヤのままを選択。64号車は「チョイ濡れ」路面のグリップに定評のあるDUNLOPレインタイヤの性能に賭け、グリッド上でタイヤ交換を行なった。

14時ちょうどにSC先導で81周のレースがスタート。64号車Modulo Epson NSX-GTはナレイン・カーティケヤン選手が第1スティントを担当した。SCは3周でコースから外れ、4周目からいよいよ本格的にレースが始まった。

このSC先導中にも雨は強くなり、スリックタイヤを選択したライバル車両はコース内に留まるのがやっと。64号車は順調にポジションを上げ、一時は4番手を走行する。しかしスタート前に装着したミディアムコンパウンドのレインタイヤは、雨量が多くなるにつれベストの作動域から外れていき、苦しい展開となってしまう。

カーティケヤン選手は29周目にピットイン。牧野任祐選手へとドライバー交代を行う。タイヤ交換は4輪とも行い、後半はレインタイヤのソフトコンパウンドを装着。牧野選手は9番手でコースに復帰すると、低温域から高いグリップを発揮するタイヤ性能を活かしてライバル車両を追いかけていく。

その後は39周目から43周目に再びSCが導入されるも、牧野選手は混戦をうまく利用してポジションをアップ。52周目には3番手争いを攻略すると、そのまま追撃のペースを緩めず、55周目にはいよいよ2番手まで登りつめた。

その後も初優勝を目指して果敢にアタックを続けた牧野選手だったが、惜しくもトップには届かず。それでも今シーズンの初表彰台である2位入賞を果たした。終始、天候に翻弄されるレースとなったが、ここまで全戦で完走を続けている安定感の高さと、レインタイヤの性能という自身の強みを活かせたことが、2位という結果につながったといえる。

表彰台に登壇したナレイン・カーティケヤン選手、牧野任祐選手はともに笑顔を見せ、チーム関係者に手を振って応える姿も見せた。シーズン後半になって着実に競争力アップを見せている64号車Modulo Epson NSX-GTだが、次戦はいよいよ最終戦。11月2日〜3日に、ツインリンクもてぎで開催される。


中嶋 悟 総監督コメント
「ドライバーふたりが非常にいいレースをしてくれました。そして急な天候変化に合わせたマシンを仕上げてくれた、メカニックたちの頑張った結果だと思います。前半を担当したナレイン選手は、ミディアムのレインタイヤを装着していたこともあって難しいドライビングだったと思うけど、よく頑張ってくれました。次戦は最終戦なので、いい締めくくりとなるレースをしたいです」


ナレイン・カーティケヤン選手コメント
「最初のうちは路面が乾いている部分があったので、比較的安心して走ることができました。その後、雨が強く降り出してからは思うようなグリップが得られず、とくにアンダーステア傾向が強くなりました。しかし牧野選手の頑張りもあり、我々にとってもダンロップにとっても素晴らしい結果で嬉しく思います。さらにギャップを埋めていきたいです」


牧野任祐選手コメント
「最初のうちは大変でした。僕たちにとっては雨量が多いほうがアドバンテージはあったので、天候が味方をしてくれたことで思いきりプッシュしていけました。難しい状況のなかで2位表彰台に上がれたことは、素直に嬉しいです。自分たちに出来ることはすべて出来たからこその結果だと思います。最終戦も引き続き頑張ります」

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)