Honda好きが堪能できる、Hondaスピリッツ溢れる情報誌
  1. TOP
  2. NEW CAR
  3. 【ACURA】青き衣を纏った高級SUV、金色の野に降り立つ!! アキュラRDX PMCエディションに2022年モデルが登場

【ACURA】青き衣を纏った高級SUV、金色の野に降り立つ!! アキュラRDX PMCエディションに2022年モデルが登場

ホンダが北米市場で展開する高級車ブランド、ACURA(アキュラ)。そのアキュラのラインナップで、コンパクトSUVに位置付けられるのがRDXである。

2022年モデルのRDX PMCエディションに新設定されたロングビーチ・ブルーパール。ロサンゼルス郊外の都市名を冠した鮮やかなブルーだ

先日に発表された2022年モデルでは、2021年モデルに引き続いてスペシャルモデルの「PMCエディション」が設定されることが明らかになった。NSXと同じロングビーチ・ブルーパールの外装色を採用したことがトピックだ。

2022年モデルのMDX Advanceと、ロングビーチブルー・パールの2021年モデルNSX

まずは日本市場には導入されていないアキュラ・ブランドのラインナップについて紹介しておくと、近年は末尾をXとするアルファベット3文字の車名を採用してきた。

2021年モデルではスーパースポーツのNSXを頂点に、プレミアム・スポーツセダンの「TLX」、同コンパクトの「ILX」。そしてSUVがミドルサイズの「MDX」、コンパクトサイズの「RDX」という計5車種のラインナップとなっている。

2022年に発売予定の新型インテグラ。写真はプロトタイプモデル

なお先日、日本国内でのオーダー受け付けが終了したレジェンドだが、兄弟車であるアキュラ・RLXは、ひと足早く北米市場での販売は終了している。そして2022年モデルからは「インテグラ」が復活することになる。

アキュラではRDXを「プレミアム・スポーツ・クロスオーバー」と位置付けており、車格的や価格帯的にはホンダCR-Vの兄貴分といった印象。とはいえ両車に共通する部分は少なく、RDXのパワーユニットは2リッターVTECターボのみでハイブリッドは設定されず、室内も2列シートのみ。いっぽうで10速ATや、SH-AWDの設定など、RDXはスポーツ性が高められている。

そんなRDXの最上位グレードとなるのが、NSX専用工場であるパフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)で生産されるPMCエディションだ。2022年モデルのPMCエディションは、パワーユニットほか装備内容についての変更点はアナウンスされておらず、外装色の追加のみとなる。

ロングビーチ・ブルーパールは、’21年モデルのNSXで追加されたボディカラー。共にPMCで生産されるRDX PMCエディションだからこそ、採用が実現した

PMCエディションのベースとなっているのは、ラグジュアリー装備が充実したA-SPECアドバンスパッケージ。RDXの生産拠点であるオハイオ州メアリズビル工場から、ホワイトボディの状態でPMCへ届けられ、熟練の職人が1台1台をハンドビルド。PMCエディションでは専用のボディカラーを採用するが、1台の塗装には職人の手作業で5日間を要するという。

職人の手による塗装クオリティの高さもPMCの特徴。フロントフェンダーにはベース車両であるA-SPECのエンブレムが装着される

外装では、ボディカラー同色仕上げのフロントグリルをはじめ専用エアロを装着するほか、ルーフ/ドアハンドル/サイドミラー、そして前後エンブレムはグロスブラックで塗装される。左右2本出しのエキゾーストフィニッシャーもブラッククロームメッキ処理され、精悍さをアピールする。

ホイールはPMCエディション専用デザインとなる20インチ×8Jで、表面はベルリナブラックで塗装される。タイヤはGOODYEAR EAGLE RSのオールシーズン、サイズは255/40R20を履く。

2022年モデルのRDXは6グレード展開。エンジンはすべて共通で2リッターVTECターボを搭載する

RDXが搭載するエンジンは、FK8型やFK2型シビック・タイプRと搭載されたK20C型2リッターVTECターボ。車両の性格にあわせて仕様変更が行われており、最高出力は272馬力/6500回転に抑えられている。トランスミッションはパドルシフト付きの10速ATで、駆動方式はFFのほか、電子制御式全輪駆動のSH-AWDも設定される。

ラグジュアリーさとスポーティさを両立させたPMCエディションのコックピット。ステアリングはボトム部分がフラットとなったDシェイプ形状を採用し、本革巻きのグリップ部分にはヒーター機能も備えられている。10速ATのセレクターはボタン式で、ステアリング背後にはパドルシフトも装備される。

車内を明るく彩ってくれるガラス状のムーンルーフは、RDXの全グレードに標準装備。後席の頭上まで広くガラス部分が設計されており、開放感は抜群だ。PMCエディションは16way電動サポート付きのフロントシートを標準装備。RDXは全車が2列シート仕様で、リアシートは60:40の分割可倒式となっている。

内装部品の組み付けなど、ほぼすべての生産工程がNSXと同じ方式やクオリティで行われるPMCエディション。職人がハンドビルドで生産を行う様子は、かつての「タイプR」を思わせる

こうして組み立てられたPMCエディションは、出荷前のチェック項目もNSXと同じ内容で行われるという。内外装の仕上がりはもちろん、ホイールアライメントやダイナモによる性能計測、さらに漏水テストなどが厳しく審査される。そして、すべての項目をクリアした車両は、PMCエディション専用の保護カバーがかけられ、全米各地の販売店に輸送される。

2022年モデルRDXの車両価格(MSRP)は、ベースグレードとなるRDX(FF)で3万9300ドルから。ただしユーザーが実際に支払うのは、工場からディーラーまでの輸送費などを含めた「Destination charge」を加えた価格となるため、4万345ドル(約456万円)からとなる。

最上位モデルとなるPMCエディションの車両価格(MSRP)は、Destination Chargeを含めて5万5295ドル(約625万円)。職人の手作業により生み出される200台限定車両と考えると、同セグメントのライバル車両と比較しても魅力的な価格設定といえるだろう。

残念ながら、現時点でアキュラ・ブランドの日本市場導入に関する可能性は高くないが、ホンダにはこうした魅力あふれるクルマを創り出す気概や土壌が、今なお受け継がれていることは喜ぶべき事実だ。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)