「S660は最高のスポーツカー!」レーシングドライバー・小林崇志選手が自身の愛車で鈴鹿サーキットを走行
2021年のSUPER GTシリーズ GT300クラスに、TEAM UPGARAGEから参戦したレーシングドライバー・小林崇志選手。プライベートでも大のクルマ好きとして知られており、愛車はFK8型シビック・タイプRに加えてS660をなんと2台、計3台のホンダ車を所有している。
そんな小林選手が、2021年12月15日に鈴鹿サーキットで開催された「HCM Sports Garage Run meeting」に愛車S660とともに参加。慣れ親しんだ鈴鹿サーキットでの走行を楽しむとともに、イベントを大いに盛り上げた。
今回、小林選手が鈴鹿サーキットの持ち込んだS660は、本人が「2号車」と呼ぶ車両。装備がシンプルなβの6MT車両をベースに、ロールケージやエアロ、脚まわり、タービン、そして吸排気系などひととおり手が入れられている。その内容を少しずつ紹介していこう。
まず注目したいのは室内で、以前にも紹介しているがサイトウロールケージにてワンオフ制作。フロントピラーに沿ったダッシュボード貫通式となっており、181cmという長身の小林選手でも乗り降りがスムーズに行える。追加オプションであるサイドバーや、頭上のラダーバープラスも装着されており、安全性確保を最優先とした仕様だ。
インテリアはMOMO製ステアリングにNSXタイプSの純正ホーンボタンを組み合わせるほか、シフトノブはFK8型シビック・タイプRの前期モデルから流用。シフトブーツはホンダアクセス製純正アクセサリーへと交換されるなど、ホンダ純正パーツをうまく組み合わせて統一感を演出している。小林選手の「クルマ好き」を強く感じさせるモディファイだ。
ボディ外観に目を向けると、フロントバンパーはModulo X純正に交換されているほか、無限製カーボンエアロボンネットを装着。ボンネット中央部に大型のエアアウトレットを備える同製品は、サーキット走行時には開口部を全開放とすることで優れた空力効果を発揮する。
フロントグリルの開口部から導入された走行風はラジエターを冷やし、そのままエアアウトレットから排出されることで整流効果を高め、フロントにダウンフォースを発生。フロントタイヤの接地性を高めるほか、軽量化とも相まってハンドリング性能を向上させてくれる。
ちなみにS660でサーキット走行をする際、気になるポイントのひとつが水温管理だ。2台のS660でサーキット走行を楽しんでいる小林選手に伺ったところ、エンジンまわりがノーマルであれば、純正ラジエターでも問題はないとのこと。とくに今回の走行会が行われた12月中旬の気温であれば、水温については心配は少ないそう。
ただし2号車はタービンを交換していることもあって、小林選手は走行時にナンバープレートのほか、ラジエターファンも外していた。もちろん走行していないときは水温が上がり続けてしまうため、走行会ビギナーが同様の行為をするのは注意が必要だが、エアロボンネットとの相乗効果で走行時の水温低下は明らかだそう。
そのほかボディまわりでは、無限製のサイドスポイラーおよびリアエアロフェンダーをセット装着。サイドスポイラーはPPE製、リアエアロフェンダーはFRP製となり軽量化に貢献。
なお現在のところリアウィングは装着されていないが、鈴鹿のような高速コースではリアのダウンフォースが足りなくなるようで、今後は装着を検討中とのこと。
ホイールはホンダアクセスの「MR-R01」で、フロントブレーキキャリパーはエンドレス製Super micro 6ライトをチョイス。小林選手いわく「裏ワザ」装着することで、スペーサーなど挟むことなく純正ホイールの装着も可能としている。ブレーキローターもエンドレス製ベンチレーテッドディスクで、ローター径は純正の260㎜から280㎜へと拡大されている。
テールエンド形状が特徴的なマフラーは、REAL SPORTS製を装着。TANABEとの共同開発により生み出され、独特の出口形状はGT500に参戦中のNSX-GTに装着される触媒からヒントを得たという。この「ST spec」はストリート〜サーキット走行まで対応しており、ノーマルエンジンでも7psアップを達成しているとのこと。
小林選手の2号車はタービンを交換しており、最高出力は約100PS。ストレートでも普通車と互角以上のスピードを誇り、じつに気持ちよさそうに走っていた。
なお鈴鹿サーキットでは、軽自動車が通常のスポーツ走行枠では走ることができないため、S660にとってショップ主催の走行会などは「ホンダ車の聖地」を走ることができる貴重な機会。走行後に小林選手へ話を伺うと、『国際レーシングコースを思いっきり走ることで、今後のチューニングの方向性やセッティングの見直しなど、多くの発見がありました』とのこと。
タービンや車高調など今回紹介しきれなかった部分についても、今後少しずつ紹介していくのでお楽しみに!
(photo:Yukio YOSHIMI 吉見幸夫/text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
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