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2022年は大型二輪免許にチャレンジ!! AT限定で乗れるDCT車も設定された新世代スポーツツアラー『NT1100』が登場

ホンダは、快適性や多用途性を高次元でバランスさせることで、日常の扱いやすさと長距離走行の快適さを両立した新型スポーツツアラー「NT1100」を、2022年3月17日(木)より発売する。

欧州仕様に続いて日本国内向けモデルも発表されたNT1100。写真の車体色はマットイリジウムグレーメタリック

近年、快適なライディングポジションと大型カウル、豊富な積載性などを備え、長距離ツーリングに最適なアドベンチャー/クロスオーバー系モデルが人気を集めている。ホンダでも2012年に「NC700X」が発売され、その後は2014年に後継モデルの「NC750X」が登場。現行モデルは2021年にフルモデルチェンジを受け登場した2世代目である。

2021年に登場したNC750Xの現行モデル。745ccの並列2気筒を搭載し、最高出力58ps/6750rpmを発揮する

世界市場はもちろん、日本国内でもすっかり人気カテゴリーとなったアドベンチャー/クロスオーバー系モデルだが、ホンダはNC750Xの「上」にあたるモデルを設定していなかった。

このカテゴリーにおいては、特に欧州メーカーを中心には各社ともリッタークラスのモデルが主力となっていたため、ホンダからもさらなる大排気量モデルの登場が期待されていた。そこに登場したのが、この「NT1100」というわけだ。

日本国内よりひと足早く、2021年11月に開催されたEICMAにて発表された欧州仕様NT1100。日本仕様ではオプション扱いとなる左右のバニティケースは標準装備となる

その車名からも想像できるように、NT1100は1100ccの並列2気筒エンジンを搭載したアドベンチャーバイクだ。もっとも熱烈なホンダファンであれば、かつて欧州で生産された「NT700ドゥービル」を思い出す人もいるかもしれない。

NT700ドゥービルは、750ccのV型2気筒を搭載した旧世代アフリカツインと同系のエンジンを搭載した高級ツアラーだったが、NT1100も生い立ちはほぼ同じ。CRF1100Lアフリカツインをベースに、徹底的にオンロード適性を高めた兄弟車といえる。

ヘッドライトは薄型のLED4灯式を採用。前後タイヤは17インチで、最低地上高はアフリカツインの210mmから173mmにダウン。アンダーガードを備えるなどオフロード走行にも配慮した装備が与えられている

そんなNT1100だが、外観においてまず特徴的なのは、いかにも防風性能の高そうな大型カウルだ。ウインドスクリーンはライダーの好みにあわせ、高さと角度を5段階に手動で調整可能となっている。ハンドルグリップと、ステップの前部に配置したディフレクターとの組み合わせで高い防風性能を持たせ、クルージング時の快適性を高めている。

ライディングポジションは長距離走行にも快適なアップライト姿勢で、さらにシート各部の厚さを最適化してライダーの快適性能を向上。シート高は820mmとそれなりだが、シート幅のスリム化を図ることで、優れた足つき性を確保している。

エンジンはCRF1100Lアフリカツインと基本設計を共有する並列2気筒。排気量も同じ1082ccで、270度の位相クランクを採用する点も同様だ。NT1100では吸排気系が専用設計され、低中速域での力強さや鼓動感を高めたほか、よりスムーズな出力特性を実現した。

最高出力は102PS/7500rpmで、走行状況に応じて出力特性を変更できる「ライディングモード」を搭載している。モードはタンデム走行などでの快適な加速感を重視した「TOUR」、オールラウンドな特性の「URBAN」、雨天時などの走行に適した「RAIN」、そしてオーナー好みの設定が可能な「USER」の4種類だ。トランスミッションはDCTが標準となる。

コックピットまわりは非常にスッキリとした印象で、トランスミッションがDCTであるため左手レバーも存在しない。完全に機械まかせのオートマチックのほか、左手の手元にある+/-ボタンでマニュアル変速も可能だ。

ボリュームのあるガソリンタンクは20リッターの容量を持つ。燃料消費率はWMTCモード値で19.3km/リッターを達成しており、航続距離は約380kmを誇る。ツーリング用途の多いアドベンチャーとして十分な性能といえる。

CRF1100Lアフリカツインと同様、6.5インチのタッチパネル式ディスプレイを採用。表示される情報は任意で選択が可能

そしてカウル内側には、上下2段構成のモニターが搭載される。上段に位置するのが6.5インチの大型カラーTFT液晶ディスプレイで、下段はモノクロ液晶。スピードメーターや現在のギアポジション、各種警告灯などが表示される。

上段のTFT液晶ディスプレイはAppleカープレイやAndroidオートに対応しており、それぞれのスマートフォンをUSBケーブルで接続することで、ディスプレイ上にてアプリの操作が可能。またBluetoothによる、スマートフォンやインカムとの接続機能も備えている。

メーターは6.5インチのタッチパネル式ディスプレイに表示される。画面はTFTフルカラー液晶で、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応

そのほか長距離ツーリングに便利なETC2.0車載器も装備するほか、高速道路などで重宝するクルーズコントロールを搭載。また別売の純正アクセサリーに、トップボックスやパニアケース、タンクバッグといった豊富なラインナップを用意。オーナーの好みや使用用途に合わせ、最適なスタイルを作り出すことが可能になっている。

CRF1100Lアフリカツインのトルクフルな並列2気筒エンジンや、シフト操作から開放されるDCTは魅力だけれど、もうちょっと航続距離が伸びたり、オンロード寄りの性格だったらな…と考えている人には最適のバイクではないだろうか。

NT1100のカラーリングは、マットな仕上げでモダンな印象の「マットイリジウムグレーメタリック」と、エレガントな色合いで洗練された印象の「パールグレアホワイト」の2色。あえて派手めなグラフィックは使用せず、ホンダのウイングマークも控えめに配置することで、落ち着きのある上質なツーリングバイクといった佇まいが魅力だ。価格は168万3000円。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)