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【名車図鑑】バブル時代を象徴するスポーティクーペ。4代目プレリュードはリトラクタブルライトと決別して新路線へ

ホンダ・プレリュードといえば、リトラクタブルヘッドライトの印象が強いというファンも少なくないだろう。2代目モデルでは、フロントのダブルウィッシュボーン式サスペンションとの相乗効果により、FFとは思えないほどの低いノーズを実現。そのスタイリッシュなフォルムは元祖デートカーとして社会現象となった。

続く3代目もキープコンセプトで登場してヒット作となったが、一転して意欲的なフルモデルチェンジを行ったのが4代目プレリュードである。

1991年に登場した4代目プレリュードでは、独立したトランクを持つ2ドア・クーペというボディ形式は従来から不変。FFとは思えないほど低く設定されたボンネットといったディティールもそのままだ。しかし2代目&3代目プレリュードの象徴ともいえた、リトラクタブル式ヘッドライトと決別したことが、外観における最大の変化である。

FFとは思えないほど低いボンネットがプレリュードの伝統。そのスタイリングはまさにスポーティクーペだ

「生体感エアロフォルム」を謳った4代目プレリュードのスタイリングは、生物の走る姿や曲面の表情をイメージして設計された。ボディは全幅が1765mmまでワイド化され、初めて3ナンバーサイズとなった。前述のようにヘッドライトは固定タイプに変更された。

リアまわりでは、テールレンズが三角形の「おにぎり形状」に変更。上段にブレーキランプ、下段にウインカーとバックランプを並べたレイアウトは、初代プレリュードを思わせる。当時のスペシャリティカーに必須装備であったサンルーフは、アウタースライド式に変更された。

初代プレリュードからの伝統装備であるサンルーフは、車体外側にせりだすアウタースライド式に変更された

サスペンション形式は先代モデルと同様に4輪ダブルウィッシュボーン式で、FFながらステアリングに連動してリアタイヤに舵角を与える4WS機構を採用。7つのセンサーと専用のECU、リアステアリング・アクチュエーターで構成される、電気式「ハイパー4WS」を備えていた。

トランクリッドはバンパー部分から開くもので、リアシートの背もたれを前方へ倒すことでトランクスルーにも対応。スポーティクーペながら、長尺物などの積載性にも配慮していた。

エンジンは全車が2.2リッター4気筒を搭載。上位グレードにはDOHC VTECのH22Aユニットが搭載された

エンジンは全グレードで2.2リッター4気筒となり、上級グレードにはVTECヘッドを持つ「H22A」が搭載された。H22Aの最高出力は200PSを誇り、当時のN1耐久(現在のスーパー耐久)レースでも活躍するなど、デートカーのイメージは残しつつもスポーツ性も大幅に向上した。

また独創的なコックピットまわりも、4代目プレリュードの特徴のひとつ。後席を備える2+2ではあるものの、開発コンセプトには「ふたりのためのファンタジックなインテリア空間」を掲げ、2シーター感覚のキャビンが構築された。左右を連結したメーターパネル、そして周り込むようなラウンド形状のダッシュボードが印象的だ。

シートはヘッドレスト一体式で、サイドサポート部は先代モデルに比べさらに大きく張り出し、スポーティさを強調。トランスミッションは4速ATと5速MTが用意された。

ロングノーズをはじめとする美しいクーペフォルム、上位グレードでは200PSを発揮したH22Aを搭載、そして電気式に進化した4WSなど、歴代プレリュードの正常進化型である4代目プレリュードだが、残念ながら2代目&3代目モデルほどのヒット作とはならなかった。

全車3ナンバー化に代表される車格のアップや、リトラクタブルヘッドライトの不採用なども理由として考えられるが、もっとも大きな要因はスペシャリティカーをとりまく環境といえるだろう。

4代目プレリュードがデビューした1991年9月は、日本中を喧騒に巻き込んだ株価はすでにピークを越えていたし、地価も下がり始めていた。いわゆる「バブル崩壊」が実感できるようになったのは、おそらく1992~’93年頃だろう。しかし「デートカー」としてスペシャリティクーペを欲していた若年層にとって、新車を購入できるような時代は終わりに向かっていた。


その後は毎年のように特別仕様車の設定やマイナーチェンジが行われた。最初のマイナーチェンジは’92年9月で、デビュー当初は標準装備だったサンルーフがオプションとなった。’93年9月には2度目のマイナーチェンジが実施されている。


4代目プレリュード最後のマイナーチェンジは’94年9月で、ステアリングホイールの形状が変更された。このとき設定された特別仕様車「スポーツステージ」は、ホワイトのボディカラーが印象的。

言い換えるなら、ヒット作とならなかった要因を外部に求めるくらい、4代目プレリュードはスタイリングや走行性能ともに魅力あふれるモデルでもある。

2022年3月現在、中古車市場に流通している車両数が少なく相場を形成するほどではないが、およそ80〜150万円といったところ。とはいえ、すでに3代目プレリュードはプレミア価格になっており、4代目モデルにおいても今後はさらなる高騰が予想される。

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1991 PRELUDE Si VTEC
SPECIFICATION
□全長×全幅×全高:4440×1765×1290mm
□ホイールベース:2550mm
□トレッド(F/R):1525/1515mm
□車両重量:1240kg(5MT)
□乗車定員:4名
□エンジン形式:H22A型直列4気筒DOHC
□総排気量:2156cc
□ボア×ストローク:87.0×90.7mm
□最高出力:200PS/6800r.p.m.
□最大トルク:22.3kg-m/5500r.p.m.
□サスペンション型式(F&R):ダブルウィッシュボーン式
□ブレーキ型式(F/R):ディスク/ディスク
□タイヤサイズ(F&R):205/55R15
□新車時車両価格:220万5000円
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(text:Shinya YAMAMOTO 山本晋也)