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【S-Formula】前日とは天候が一転、雨のなか行われた第3戦決勝。TEAM MUGENの野尻智紀選手は2位表彰台を獲得!

2022 SUPER FORMULA 第3戦(鈴鹿サーキット)
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#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)
予選:1位
決勝:2位

#15 笹原右京(TEAM MUGEN)
予選:19位
決勝:14位
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2022年4月24日、全日本スーパーフォーミュラ選手権・第3戦の決勝レースが開催された。ポールポジションからスタートした1号車の野尻智紀選手(TEAM MUGEN)は、全31周のレースのうち29周をトップで走行する安定した速さを見せたものの、30周目に後方から猛烈な追い上げを見せていた松下信治選手に先行を許し、2位表彰台を獲得。開幕戦から2位-1位-2位と抜群の安定感を誇り、シリーズポイントを56点に伸ばしてトップを独走している。

また15号車をドライブする笹原右京選手(TEAM MUGEN)は、予選順位から5つポジションを上げて14位でチェッカーフラッグを受けた。

前日までの快晴とはうってかわり、決勝レース当日は朝から雨が降り続いた。雨脚は時間が進むにつれ強くなり、路面の各所には水溜りや川が見えるほど。スタート時点の気温は17度(予選時24度)、路面温度は20度(予選時36度)と、大きくコンディションが変わったなかでの決勝レースとなった。

19番グリッドから決勝レースに挑む笹原右京選手

通常どおりのスタンディング式スタートで全31周の決勝レースが始まると、ポールポジションの野尻智紀選手(TEAM MUGEN)は、アウト側スタートという「地の利」も活かしてホールショップを奪う。前方にマシンがおらず、クリアな視界という環境を生かして後続との差をどんどんと拡げていく。

レース序盤、トップを走行する野尻選手は1分55秒台のタイムを連続して記録し、5周目には10秒以上のリードを気付くなど完全なひとり旅。スーパーフォーミュラでは、通常のドライコンディションであれば1度のタイヤ交換が義務付けられるが、ウェット宣言下ではその限りではない。そのためレースを見ていた多くの観客も、この時点では野尻選手のポール・トゥ・ウィンを信じたことだろう。

いっぽうで2位以下は大混戦。毎週のように順位が入れ替わるなか、上位に進出してきたのがホンダエンジン・ユーザー勢で、レースが折り返しとなる16周目には野尻選手が依然としてトップ、2位は牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、3位には松下信治選手(B-Max Racing Team)が進出してくる。

このうちもっとも勢いがあったのは松下選手で、牧野選手を激しく攻め立てながら、トップの野尻選手との差も縮めてくる。そして27周目のシケインから最終コーナーにかけて牧野選手を攻略すると、コントロールラインを通過した時点で野尻選手との差は約3.1秒。モニター越しにも明らかに2台の距離は縮まっていた。

トップを走る野尻智紀選手(TEAM MUGEN)の背後につける、松下信治選手(B-Max Racing Team)

このころになると、雨脚はだいぶ弱まっており、コース上にもマシンが走行した軌跡がはっきりと見えるようになっていく。タイヤのヒートアップ(内圧上昇)を抑えるため、追い上げる松下選手はホームストレートやS字コーナーでわざと水たまり部分を走行する。いっぽう野尻選手は、松下選手とのマージンを拡げるべく、なるべく最短距離のラインを走行する。

レース序盤から快調に走っていたように見えた野尻選手だったが、タイヤの表面が荒れてしまうグレーニングの症状に悩まされており、思ったようにペースが上がらない。29周目には松下選手が一気に差をつめると、30周目の1コーナーでアウトから豪快にオーバーテイク。野尻選手も追撃を試みるが及ばず、2位でチェッカーフラッグを受けた。3位には牧野選手が今季初表彰台を獲得した。

残念ながら、終盤に逆転を許した野尻選手だったが、開幕戦から3戦連続の表彰台、それも2位-1位-2位と抜群の安定感を見せ、ドライバーズランキングでは56点とトップをキープしている。


野尻智紀選手 表彰台登壇ドライバー記者会見コメント
「レースを振り返ると、悔しいのひと言です。ただチャンピオンシップのことを考えれば、2位は悲観すべき結果ではないと思いますし、シーズンが終わった時に『転んでも2位だった』と言えるようなレースになるように、次のレースにこの悔しさをぶつけていきたいなと思います」

「レース序盤からタイヤにグレーニングの症状が出てしまい、ヒートアップに苦しんでいました。序盤で後続が離れる展開となりましたが、牧野選手が2位に浮上してから差を詰めてきていることは自分も把握していました。タイヤのこともあり、ペースを維持するのはなかなか大変でしたが、いろいろな工夫をしながら最後までやれることはやれたと思っています」

「最後の松下選手とのバトルでも、自分はオーバーテイクシステム(OTS)を余した形となりました。それはOTSを使う必要がないと自分では判断したからです。レース序盤では、OTSを使わなくても後続に対してリードを築けましたし、仮にストレートでOTSを使用してもブレーキングが厳しくなってしまうので、今回のような状況下では難しかったと思います。悔しいですけど、今回は松下選手に心から初優勝おめでとうと言いたいです」


笹原右京選手 レース後ミックスゾーンでのコメント
「後方からのスタートだったので積極的なレースをしようと決めていて、スタートから攻めたレースができたと思います。とくに序盤は前を走るマシンが作るウォータースクリーンで視界も悪かったのですが、良いペースで走れました。19番手スタートから、一時的とはいえ11位まで順位を上げることができました」

「ただ中盤以降はタイヤにグレーニングの症状が出てしまい、ペースを上げることが難しくなってしまいました。野尻選手のマシンとほぼ同じ症状ですが、ステアリング操作にまるで手応えがなくなってしまい、ほぼすべてのコーナーで探りながら走るような形でした」

「予選もあのような形で、全力で走りきったとは言えないので、ちょっと消化不良な印象でこの第3戦を終えてしまいました。いっぽうポジティブな面では、第1戦・第2戦で悩まされた駆動系トラブルはまったく症状はなく安心して走ることができ、チームには感謝しています。次戦のオートポリスも天候に翻弄されることが多いため、今回のウェットレースで見られた課題を克服して臨みたいと思います」

(text:Honda Style Web)