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【S-Formula】4戦連続ポールスタートの野尻選手は3位表彰台を獲得! 笹原選手はコース上で躍動し10位でチェッカー

2022 SUPER FORMULA 第5戦(スポーツランドSUGO)
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#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)
予選:1位
決勝:3位

#15 笹原右京(TEAM MUGEN)
予選:4位
決勝:14位
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2022年6月19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権・第5戦の決勝レースが開催された。4戦連続のポールポジションを獲得した、1号車・野尻智紀選手(TEAM MUGEN)はスタート直後の1コーナーでポジションを落としてしまうものの、その後はトップを走るライバルとの差をキープし、虎視淡々とチャンスを伺う。

序盤に2度のセーフティカー(SC)が導入されるなど、決勝レースは波乱の展開となったが、野尻選手はピットインのタイミングで大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)に先行を許し、3位へとポジションダウン。しかし野尻選手も2位奪還を目指して再三のアタックを試みるも、3位でチェッカーフラッグを受けた。

15号車をドライブする笹原右京選手(TEAM MUGEN)は、予選ではマシンのセッティングに苦しみ14番手からスタートとなったが、決勝レースでは躍動。すべてコース上のバトルで4つポジションを上げ、10位でフィニッシュ。貴重なポイントを獲得した。

決勝レースを迎えた6月19日は、前日の予選に続いて夏の到来を感じさせる陽射しと青空に恵まれた。午前中より気温はぐんぐんと上昇し、正午を迎えるころには気温は30度を超えた。やがてスーパーフォーミュラの決勝レース・スタート進行を迎えたとき、空からは突然の雨が降り出した。

大粒の雨はどんどんと路面を濡らしていったが、各マシンともドライ用スリックタイヤでコースイン。全21台の車両がグリッドに並んだ。一時は路面がフルウェットとなるほどの雨は約10分ほどで止み、その後は強烈な陽射しにより路面は再びドライへと戻った。

定刻どおり決勝レースのスタート時刻を迎えると、4戦連続のポールポジションスタートとなった1号車・野尻智紀選手は、ややクラッチミートにもたついて2番手の4号車・サッシャ・フェネストラズ選手(KONDO RACING)に先行を許してしまう。

後続でも何台か1コーナーで順位の変動があったなか、なんと3号車・山下健太選手(KONDO RACING)と、64号車・山本尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)が接触! 山下選手はマシンを止めてしまい、1周めからSCが導入される。

SC先導によりレースは進行し、7周めの終わりを迎えるころSCがコース外へ退出してレース再開! しかしリスタート直後の1コーナーで、またもライバル車両同士が接触するアクシデントが発生し、2度めのSCが導入される。

今回の第5戦は全53周が予定されており、前半スティントを最短とした場合のピットタイミングは10周めと見られていた。その10周めをSC先導のまま迎えたことで、チームごとの戦略が分かれる最初のポイントとなった。

2番手を走行していた野尻選手を含め、1位〜4位のマシンはみなピットインを選択。14番手スタートから順位を上げていた笹原選手も同時にピットインを行った。このピットインの作業時間において、野尻選手は65号車・大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)に先行を許してしまう。

いっぽう中段グループを中心に、ピットインのタイミングを遅らせる「ステイアウト」を選んだマシンはここで上位に進出。ピット作業を終えた野尻選手は10番手、笹原選手は17番手でSCの隊列に復帰する。

1号車をドライブする野尻智紀選手(TEAM MUGEN)は、大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)を猛追!

その後、15周を終えるところで再びSCはコースから外れ、レースが再開。ピットインを済ませていない、ステイアウト組のマシンがペースを上げていくなか、残り周回数の関係でタイヤを消耗させたくないピットイン組も各所でバトルが展開される。野尻選手は前を走る大湯選手に再三アタックを試みるも、決定的な場面は作り出せずにいた。

2度めの再開以降は大きなアクシデントもなくレースは進行していくが、序盤のSC期間が長引いたことで、予定されていた周回数の53周を走り切ることが難しくなってきた。スーパーフォーミュラでは、決勝レースに周回数のほか「最大時間」が設定されており、今回は53周あるいは70分のどちらか先に到達した時点でチェッカーとなる。

レース時間が55分を過ぎると、ステイアウトを選択していたマシンたちが次々とピット作業に向い、順位がようやく整理されてくる。47周めにはコース上を走る全車のピット作業が終了し、この時点で野尻選手は3位。笹原選手はリアタイヤのスライドを巧みなコントロールで押さえ込み、10番手まで順位を上げていた。

野尻選手は、レース終盤には2位の大湯選手、4位の牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)との3台によるバトルを展開。牧野選手は「ステイアウト」作戦を採っており、野尻選手より状態の良いタイヤを武器に後方から猛烈なアタックを仕掛けてくる。

しかし野尻選手はベテランらしいドライビングでチャンスを与えず、3位でチェッカー。2戦ぶりとなる表彰台を獲得した。優勝はサッシャ・フェネストラズ選手で、大湯都史樹選手が2位。笹原選手は10位でフィニッシュしている。

野尻智紀選手 レース後 記者会見でのコメント

「またしてもポールポジションからは勝てなかった……という感じです。ただシリーズチャンピオンを考えると3位は悪くない結果と捉えています。ここ最近はポールを獲得しながらも勝てないっていうレースが続いていますが、何度でも挑戦をして、このジンクスみたいなものを打ち破れたときに、スポーツ選手としてレベルが上げられるのかなと思っています」

「スタートについては、クラッチのバイトポイントの詰めが少し甘かったかもしれません。スタートの動き出しの部分で、ベストなクラッチミートができなかったかなと思います。その後はピット作業で順位を下げてしまう部分もあったようですが、いつもチームには助けてもらっていますし、そこから挽回するのが僕の仕事です。それができなかったのは非常に悔しいし、残念です」

「その後もポジションを奪い返そうとチャンスを狙っていたのですが、コースレイアウト的にも難しかったかなと思います。こじ開けたかったし、こじ開けていかないと先は見えてこないと思ってるんで、今回の反省点であり、今後の課題です。てもらえることができるのかなと思いますので、また必死にがんばっていこうと思います。次のレースまでは約1か月ぐらい日程が空くので、ゆっくり休息を取りながら、しっかり戦える自分を作っていきます」 

笹原右京選手 レース後ミックスゾーンでのコメント

「予選ではまるで手応えがなく、走りだしからマシンがフワフワしているような印象でした。野尻選手は『意のままに動く』と話していたのですが、その正反対になってしまいました。原因と対策を、予選のあとチームといろいろ話しあい、今日は思い切ってセットアップを変更してみました」

「正直なところ、ぶっつけ本番のような形になりましたが、レース直前のウォームアップではすごく良い感覚がありました。具体的に表現するのが難しいのですが、ピットレーンを走り出した段階で、ステアリングを握っていても手応えを感じました。とはいえ、まだタイヤには優しくない状態ではあり、ピット作業後の後半スティントは、長いなと思いながら走っていました」

「とはいえ決勝レースは考えていた以上に強いペースで走ることができましたし、リアタイヤがルーズな傾向はありましたがコントロールはしやすく、実際にすべてコース上で順位を上げることができました。10位という結果に満足はまったくしていませんが、最低限1ポイント獲れたことは少しホッとしています」

全10戦で争われる、2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。この第5戦でちょうど前半が終了したことになるが、第5戦終了時点でTEAM MUGENの野尻智紀選手は計81ポイントを獲得しており、シリーズランキングでトップを快走する。チームメイトの笹原右京選手は計10ポイントで12位となっている。

次戦となる第6戦は、約1ヶ月のインターバルを挟んで7月16〜17日に静岡県・富士スピードウェイにて開催される。その後、第7戦&第8戦はモビリティリゾートもてぎ、第9戦&第10戦は鈴鹿サーキットと続いていく。悲願の2年連続シリーズチャンピオン獲得に向け、TEAM MUGENの戦いぶりに注目したい!

(photo:TEAM MUGEN、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)