【ヴィンテージホンダ】北米仕様シビックワゴンは「生活のパートナー」。相棒と楽しむソロキャンプは最高の時間
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昨今、幅広い年齢層に人気となっているオートキャンプ。SUVや軽自動車など様々な車種のオーナーが愛車と過ごす時間を楽しんでいるが、なんと2代目シビックワゴンで楽しんでいるエンスージァストがいるという。それが左ハンドルの北米仕様1983年式シビックワゴンを所有する、大谷清純さんだ。
(ホンダスタイル シビック50周年記念号に掲載)
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オーナーの大谷さんは、生産されてからまもなく40周年を迎える愛車のシビックワゴンを”普通のクルマ”として接しているため、通勤や日常生活に使っている。近年のコロナ禍がきっかけとなり、愛車でソロキャンプに行ってみたら、すっかりその魅力にハマってしまったそうだ。
国産ヒストリックカーで自然体でオートキャンプを楽しむ。そんなカーライフはおおいにアリかも知れない。
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今やオートキャンプ場でワゴン車を見掛けたとしても、それは驚くような風景ではないだろう。しかしそのワゴン車が、約40年も前に生産されたシビックワゴンだったなら……? 年式で言えば文句なしにヒストリックカーの領域となるが、完調な車両であれば何も問題なく活躍してくれるのだ。
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今回紹介する1983年式シビックワゴンのオーナー、大谷清純さんが愛車を手に入れたのは5年ほど前のこと。2代目シビックに設定された「シビック カントリー」のスタイルが好きでずっと探していたところ、あるとき新潟のショップで販売車両を発見。北米仕様の左ハンドル車であることに戸惑いはしたそうだが、関東から実際にクルマを見に行き、ほぼ即決。憧れのワゴンボディ・シビックのオーナーとなった。
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ボディサイドのウッド調デカールが特徴のシビック カントリーに対し、北米市場で発売された「シビックワゴン」は、プレーンな外装が特徴。現車は当然ながら左ハンドルのほか、大型バンパーやサイドマーカー、オリジナルだという外装色も日本仕様には設定されていなかったベージュなど、数々の専用装備を誇る。
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内装のトリムカラーも日本車なのに国産車っぽくはない、各所に漂うアメリカの匂いがシビック ワゴンの魅力だと、大谷さんは教えてくれた。
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ノーマルのスタイリングが好きだったこともあって、外観へのこだわりは強く、購入時には社外品に交換されていたホイールは数年間かけて純正品を探して入手した。現在はセンターキャップも含めてオリジナルの姿を取り戻しているが、揃えるまではかなりの苦労が伴ったらしい。
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大谷さんは、このシビックを普段のアシとして使っている。日々の通勤に使い、駐車場も屋外。希少なヒストリックカーだからといってガレージに閉じ込めることもなく、シビックらしい普通の使い方をしている。もちろん現代の交通事情において不便と感じる点は少なくない。
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現代車では当たり前な安全運転支援装備は付いていないし、出掛ける前にしっかり暖気する必要がある。純正部品は消耗品も含めて入手するのは一苦労で、むしろ海外から探すほうがスムーズだという。
しかし、大谷さんは不満に感じることはないと笑う。「面倒に感じる点もあるけれど、不便さを楽しむのがヒストリックカー趣味」だからだ。
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そんな大谷さんが最近楽しんでいるという趣味に、オートソロキャンプがある。コロナ禍でも楽しめる屋外レジャーとして興味を持ったことが始まりだったそうで、始めてからの日はまだそれほど長くはないものの、すっかりハマっている様子だ。
大谷さんがのめり込むことになったキッカケは、キャンプ用品の数々。つまりモノだという。『もしかしたらキャンプよりもアウトドアの道具が好きなのかも』と話すほどの「ギア好き」だけに、アウトドア用品の持つ機能性やデザイン性に深く惹かれているらしい。
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テントを中心に配置されたクーラーボックスやランタンなどは、いずれもヴィンテージなデザインのものが並んでいる。『クルマに合わせたデザインのものを選んでいます』とのことで、シビック ワゴンと同時代の世界観にこだわっている。
それらはクルマと同様に、デザインだけでなく実際に旧い年代のものであることから、場合によっては現代の新しい製品の方が機能性に優れているというケースもあるだろう。
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そこで思い起こされるのが「不便さを楽しむのがヒストリックカー趣味」という大谷さんの言葉だ。そもそも、キャンプ自体が多少の不便さと引き換えに、非日常を楽しむレジャーである。その楽しさには、ヒストリックカーと通じる部分があるのかもしれない。
大谷さんはその非日常な瞬間を、自分の好きな形で囲むことで、さらに特別なものとしている。そこでも大きな役割を果たしているのがシビック ワゴンだ。キャンプのために買ったものではないが、お気に入りのアウトドアギアを運ぶだけでなく、キャンプを盛り上げるツールのひとつとして、特別な非日常を演出するのに大いに活躍しているようだ。
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現代のクルマに比べればはるかに小柄なシビック ワゴンだが、ソロキャンプには十分以上な積載量を持っており、実際にはリアシートを倒すことも、ルーフキャリアにボックスを載せる必要もなく収納できるという。
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今回の取材場所となった群馬の「グリーンパークふきわれ」キャンプ場は、すぐそばを流れる川の音だけが聞こえてくるとても静かな環境。その中で愛車シビック ワゴンを中心としたお気に入りのアイテムに囲まれ、その機能性を存分に味わえるひとりだけの時間。取材していて心から羨ましさを感じるくらい、濃密で贅沢な時間を楽しんでいる。
(photo:Kiyoshi WADA 和田清志、text:Masamichi OKUTSU 奥津匡倫)