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【新型FCEV】2024年、CR-Vが日本国内に復活! 次世代燃料電池システムを搭載したFCEVは、NSX専用工場で生産!

2023年2月上旬、ホンダは水素事業に関する説明会を実施し、米ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発している次世代燃料電池システム「e:FUEL CELL」のコンセプトモデルを公開するとともに、アメリカ市場向けに生産がスタートした新型CR-Vの燃料電池車「CR-V FCEV」を、2024年に日本国内へ導入すると発表した。

ホンダが公式Twitterで公開したイラストによると、新型CR-Vをベースに開発されたCR-V FCEVは水素充填での走行が可能であると同時に、プラグインシステムを装備。燃料電池に電気を充電し、モーターによるEV走行も可能であるという。

北米市場では年間38万台以上を販売したこともあるベストセラーSUV

2023年モデルのCR-V(北米仕様)グレードはSport Touring

2023年現在、日本国内の新車ラインナップからは姿を消しているものの、CR-Vは世界各国・各地域で生産・販売が行われているグローバル車種だ。なかでも最大のマーケットが、アメリカおよびカナダの北米市場である。

日本国内市場に初代CR-Vが導入されたのは1995年のことで、まもなく北米市場へも輸出を開始。すると年々人気が上昇し、販売増に対応するため2007年にはアメリカおよびメキシコの工場にて現地生産もスタートした。その後もSUV人気を牽引し、2013〜2022年は9年連続して年間30万台以上のセールスを記録している。

2019年には単年における歴代最高台数となる38万4168台を販売し、2022年もモデルチェンジを迎えた年とはいえ、23万8155台を販売している。

ちなみに、同じ2022年暦年(1~12月)における日本国内の販売台数トップは、N-BOXの20万2197台。日本国内におけるN-BOX以上の販売台数を毎年記録していると考えると、アメリカにおけるCR-Vの人気の高さが伝わるだろう。

ボディは大型化したものの、今のところ3列シートの設定は無し

2023 CR-V(北米仕様)EX-L

そんなCR-Vは、2023年モデルにおいてフルモデルチェンジを受け6代目に進化した。ボディシルエットはキープコンセプトながら、兄貴分であるパイロットに近いデザインとなり、全長は約70mm延長され、全幅も約10mmワイド化となった。ホイールベースは約40mm延びており、室内空間の拡大に貢献している。

新型CR-Vのリアスタイル。テールレンズの形状など5代目との関連性を感じさせる

パワーユニットは1.5リッターVTECターボと、2リッター4気筒エンジンと2モーターを組み合わせたハイブリッドの2種類。グレード展開は4種類で、EXおよびEX-Lには1.5リッターVTECターボが、SportおよびSport Touringにはハイブリッドが搭載される。

注目はやはり新世代となったハイブリッドだ。従来のi-MMDに代わり、最新となる第4世代の2モーターハイブリッドシステムを採用。145HP/6100rpmを発生する2リッターの直噴4気筒エンジンに、181HP/5000-8000rpmを誇るふたつのモーターを組み合わせる。

トランスミッションはCVTで、駆動方式は各グレードともFFとAWDが用意されているが、最上位グレードのSport TouringはAWDのみとなる。

1.5リッターVTECターボを搭載するEX-Lのインパネ。シフトセレクターの位置は一般的なフロア式に変更された

そして、この最新モデルのCR-Vに追加されるのが燃料電池車のFCEVだ。ホンダは1998年からFCEVのプロトタイプを作り始め、FCX、FCXクラリティ、クラリティFUEL CELLと量産車開発の実績を重ねてきたが、近年はアメリカ・ゼネラルモータースと次世代燃料電池システム「e:FUEL CELL」を共同開発した。

ホンダとGMが共同開発した「e:FUEL CELL」のコンセプトモデル

この次世代燃料電池システム「e:FUEL CELL」は、クラリティFUEL CELLの燃料電池と比べてコストは1/3に抑えられており、それでいて耐久性は2倍、耐低温性も大幅に向上しているとのこと。その次世代燃料電池システム「e:FUEL CELL」を搭載した新型CR-V FCEVが、2024年に日本市場へも導入される。

NSX専用工場「PMC」の腕利き職人たちがCR-V FCEVの生産を担当

アメリカ・オハイオ州に存在する「PERFORMANCE MANUFACTURING CENTER(PMC)」

そしてもうひとつ注目は、このCR-V FCEVは専用工場にて生産が行われるという点だ。新型CR-Vは、カナダ・オンタリオ州アリストン工場、そしてアメリカ・オハイオ州メアリズビル、そして同州イーストリバティの計3拠点で生産されるが、CR-V FCEVだけは、オハイオ州のPERFORMANCE MANUFACTURING CENTER(PMC)が生産を担当するという。

PMCといえば、惜しまれつつもすでに生産を終了した第二世代NSXの専用工場。最新の設備と腕利きの職人が集うファクトリーとして誕生し、NSX以外にもACURAのハイパフォーマンスラインであるPMCエディションの生産を行っている。そして新型CR-V FCEVも、このPMCにて生産が行われる。

都市型SUVというジャンルの先駆けとなったCR-Vだが、前述のようにメインマーケットである北米市場の要望に応えるべく、モデルチェンジのたびにボディサイズが大型化しているため、日本市場においてはよりコンパクトなヴェゼルやZR-Vへ人気が移行してしまうのは仕方のないところ。

それだけに、2024年に日本市場へ導入されることが明らかになったのはCR-V FCEVのみで、ガソリンエンジン車やハイブリッド車が導入される可能性は低い。しかしながら次世代のパワーユニットである燃料電池システムを搭載する初のSUVとして、CR-V FCEVがどのような走りや存在価値を見せてくれるのか、大いに注目だ。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)