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【ホンダアクセス】コンプリートカー「Modulo X」が10周年! 開発メンバーやオーナーが集うモーニングクルーズ(1)

ホンダ車向け純正アクセサリーの企画・開発・販売を手がけるホンダアクセスが、車両全体をトータルで開発するコンプリートカー・シリーズが「Modulo X(モデューロエックス)」だ。

そのModulo Xシリーズが2023年に発売10周年を迎えることを記念し、オーナーや開発メンバーが集うイベント「Modulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズ」が、2023年3月5日に東京・代官山T-SITEで開催された。

ホンダアクセスが開発するModulo Xシリーズの第一弾が発表されたのは、2012年12月24日のこと。先代モデルのN-BOXをベースに専用サスペンションやエアロパーツなどを装着し、上質な走りを実現した「N-BOX Modulo X」が2013年1月18日(金)に発売された。

N-BOX Modulo X以降も、同シリーズは「実効空力」というコンセプトのもと、スタイリングと機能性を両立させたエアロパーツや専用サスペンションの装着を軸として、N-ONE、ステップワゴン、フリード、ヴェゼル、S660、そしてフィットと7車種を開発。2023年現在も、フリード/フリードHYBRID Modulo Xが新車ラインナップに名を連ねている。

ホンダスタイル編集部もN-ONEオーナーズカップ参戦中のN-ONE Modulo Xで参加

今回、東京・代官山T-SITEにて開催された「Modulo X シリーズ10周年記念モーニングクルーズ」は、Modulo Xシリーズのオーナーが集うオフラインミーティング。会場スペースの都合から参加者(車)は約50台という「狭き門」となったが、抽選により選ばれた幸運なModulo Xシリーズのオーナーが集まった。

Modulo Xシリーズの開発メンバーからは、Modulo X開発アドバイザーを務める土屋圭市氏をはじめ、ホンダアクセスのModulo X開発統括である福田正剛氏、完成車性能担当の湯沢峰司氏などが参加。3名は会場内をまわりながらModulo Xオーナーに声をかけ、愛車を見ながらModulo Xシリーズの感想や今後への要望など、オーナーの「生の声」に耳を傾けていた。

右からModulo X開発統括 福田正剛氏、土屋圭市氏、完成車性能担当 湯沢峰司氏、そしてトークショーの司会を務めたまるも亜希子さん

そんなモーニングクルーズに続き、T-SITE内へと場所を移して開催されたのが「Modulo X シリーズ10周年記念スペシャルトークショー」だ。登壇者は前述の土屋圭市氏、福田正剛氏、湯沢峰司氏の3名で、カーライフジャーナリストのまるも亜希子氏が司会を担当した。

トークショーではModulo Xシリーズの10年間の歴史を振り返りながら、開発エピソードや3人にとって「もっとも印象に残るModulo Xは?」など、Modulo Xシリーズオーナーにとって非常に興味深く、内容の濃いテーマで進んでいった。

Modulo Xシリーズの開発は当然ながらホンダアクセスのメンバーが中心となって進められており、土屋圭市氏の役割は「冷静かつ第三者視点で車両評価をする」ことにある。専用エアロパーツや専用サスペンション、さらにはホイールも独自のものを採用して走りを磨きあげるのがModulo Xシリーズの特徴だが、かといってドライバーファーストを追求しすぎては本質を見失ってしまう。そのあたりのバランス役が土屋氏の役割といえる。

「土屋さんは、なによりお客様をよく見ていると感じます」

そう話していたのは、Modulo X開発統括を務める福田正剛氏だ。湯沢氏を筆頭とするホンダアクセスの開発メンバーが走行性能を追求しすぎる気配を感じると、土屋氏はオーナーの姿を思い浮かべ、ニーズを踏まえたセッティングを提案してくれるという。その象徴的なシーンとして、ステップワゴンModulo Xの開発においてこんなエピソードを披露してくれた。

ステップワゴンModulo Xの開発過程において実走テストを依頼した際、土屋氏は運転席には座らずに2列目シートへ乗り込んだそう。てっきり運転席に座るものと思っていた開発陣は困惑しつつ、2列目シートに土屋氏を乗せたままテストコースを走行。土屋氏は同様に3列目シートの乗り心地を確認したあと、ようやく運転席に座ったという。

「レーシングカーならラップタイムこそが正義。数字だけを見てセッティングすればいいからカンタンなんだ。でも市販車は違うんだよね。とくにミニバンは後席に乗る人がメインで、しかも乗員は大人とは限らない。運転席に座るドライバーだけが満足するクルマでは、Modulo Xとしてはダメなんだよ」

ステップワゴンModulo Xのような車両は、運転する人間が楽しいだけでなく、後席乗員も快適に過ごせることが重要というのが土屋さんのポリシーだ。いっぽう同じミニバンとはいえ、全長の短いフリード/フリードHYBRID Modulo Xの場合は、スポーツカーからの乗り換え需要も見込んでステップワゴンModulo Xよりもハンドリング志向を強めるなど、車種によって個性の違いも盛り込まれている。

「俺たちはModulo XをタイプRにしたいんじゃない。開発メンバーには何度もそう言ったよ」(土屋氏)

ホンダアクセスがModuloブランドに掲げる「実効空力」とは、スタイリングのカッコよさだけでなく、走りの良さに貢献する空力性能を兼ね備える開発コンセプトだ。

その実効空力コンセプトが息づく専用エアロに加え、専用開発されたサスペンション、そしてホイールも剛性の異なる仕様をいくつも履き替え、様々なシチュエーションを想定してテストコースを走りこんで開発が重ねられる。

実走テストでは、テストドライバーだけでなくデザイン担当やモデラーも開発車両のステアリングを握り、自身が手がけるエアロパーツが運動性能にどのような影響を与えるのか、実際に身体で体感することでも知られている。

個人ではなくチーム全体で掲げた理想の具現化を目指すという開発過程は、トークショーでの内容を聞くにセイシュンそのものだ。テストドライバーがダメ出しをしたエアロパーツに対して『モデラーは泣きながらパーツを削って(土屋氏)』、徹底的に実走テストを繰り返す。そのため開発開始から発売までは数年かかってしまうケースが多いものの、それだけ「妥協しないモノづくり」の結晶がModulo Xシリーズなのである。

2023年1月に発売から10周年を迎えたModulo Xシリーズだが、同年3月現在、新車ラインナップにはフリード/フリードHYBRID Modulo Xが存在するのみ。第二世代のVEZELをベースとしたVEZEL Modulo Xは、世界的な半導体不足に起因する標準モデルの納期遅れの影響もあり、発売直前になって一転し販売中止が決定されたことも記憶に新しい。

そのためModulo Xシリーズの今後についてはファンならずとも心配になってしまうが、どうやら心配しなくても大丈夫そうだ。開発統括である福田正剛氏そして湯沢峰司氏は、この日に集まったModulo Xシリーズ車オーナーから寄せられた意見が、今後のModulo Xシリーズ開発における極めて貴重なフィードバックになると教えてくれた。

10周年を迎えたModulo Xシリーズは、質感の高い「ホンモノの走り」を求めるオーナーから多くの支持を集めている。この日のモーニングクルーズイベントにも、残念ながら抽選に漏れてしまい参加が叶わなかったオーナーが少なくないという。イベントに参加したオーナーの声は別記事にて詳しく紹介するが、皆さんModulo Xのコンセプトや車両の仕上がりについては大満足という印象だった。

そしてイベントの最後には、Modulo X開発アドバイザーである土屋圭市氏から『次回は抽選ではなく、すべてのModulo XオーナーやModulo Xファンが気軽に集まれるようなイベントをやりたいよね!」という提案もあり、大きな拍手が巻き起こった。

Modulo Xシリーズの今後ますますの発展に期待しつつ、初の試みとなったモーニングクルーズイベントは大盛り上がりののちに散会となった。

(photo&text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)

ホンダアクセス 情報サイト
https://www.honda.co.jp/ACCESS/