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【NC1.5】まだ使える車体後半を再利用! NSXタイプSがNSXのトレーラー(ただし1/2)を牽引して5000kmを走破

ホンダの現地法人であるアメリカン ホンダ モーターは、高級車ブランド「ACURA」のエンジニアを中心とした社内チームで2023年5月6〜13日に開催されたロードラリー「One Lap of America」に参戦した。

参戦車両がスーパースポーツのNSXタイプSというのは驚きだが、さらに驚くべきは1/2NSXともいうべき独特な形状のトレーラーを引っ張ってのチャレンジ。一見すると「もったいない…」と思ってしまうが、なんとトレーラー部分は廃棄予定のパーツを利用して製作したリサイクルなのだという。

そもそも「One Lap of America」とは、いったいどんなレースイベントなのかというと、文字どおり北米大陸をぐるっと大きく回るラリーイベントだ。今年で第38回を数える伝統ある大会で、インディアナ州サウスベンドを出発し、15の州を駆け抜けて争われる。

行程は全8日間で3200マイル(約5150km)におよび、コースには公道だけでなくジョージア州の「ロードアトランタ」やテネシー州の「ナッシュビル・スーパースピードウェイ」など、NASCARをはじめアメリカのモータースポーツではよく知られたサーキットでのタイム計測も含まれている。

リアウィンドウには製作に関わったメンバーの名前が記される。その奥にはスペアタイヤ2本が見える

ラリーイベントなので各参加車両はとうぜん自走。そのため不測の事態に備え、各参加車はスペアタイヤや工具、そのほか車両整備に必要なアイテムを多数持参する必要がある。しかしながらNSXタイプSのラゲッジルームには限りがあるため、ACURAのエンジニアチームは参加車両のNSXタイプSでトレーラーを引っ張ることを考案した。

そのトレーラーはごらんのとおり、NSXタイプSの車体リアセクションを改造したもの。NSXタイプSの車両価格2500万円超を考えると、思わず「もったいない」と声がでてしまうが、ベースとなっているのは開発過程における衝突試験で使用された車両だという。

搭載できるタイヤは2本のみなので、おそらくフロント用? リアタイヤが必要になったときはトレーラーから外すのだろうか

フロントまわりは破損してしまったが、比較的ダメージが少ないリアセクション部分を切断し、ミッドシップに搭載されるエンジンなどを降ろして新たに荷室を製作。なかにはスペアタイヤを2本と各種パーツが収納できるスペースが確保されており、出し入れしやすいようにトレーラー前方に開閉式ドアも新設された。

なおNSXタイプSが参戦するのは「ストックGTクラス」で、車両そのものはほぼノーマル。サスペンションにH&R製スプリングを装着し、ホイールはHRE製、タイヤはFALKEN製へと交換されているが、トレーラー部分のリアホイールも同じ仕様となっている。

トレーラーにもマフラーは備わっているが、当然ながら排気はしない

今回の「One Lap of America 2023」には、ストックGTクラスに参加したNSXタイプSのほか、ストックTouringクラスにTLXタイプSがエントリー。NSXタイプSにはジャスティン・ボビンスキー氏とチャド・ギルジンガー氏、TLXタイプSにはダン・クレイン氏とニック・アマト氏が乗り込んだ。4名ともにオハイオ州のアメリカン ホンダ モーターで働くアソシエート(従業員)である。

NSXタイプSとTLXタイプS、どちらの車体にも「HART(Honda of America Racing Team)のロゴが描かれているが、このHARTとはホンダの「レーシングスピリット」を体現するプログラム。モータースポーツ参戦を通じて様々な経験することで、現場で得られた知見を今後の新型車両開発や製造に活かすための自己啓発活動とのこと。

そしてNSXタイプS、TLXタイプSともに3200マイル(約5150km)の行程を無事に走破! NSXタイプSはストックGTクラス2位、総合でもハイパワーを誇るレース車両がひしめくなか10位に入る健闘を見せた。

またTLXタイプSもストックTouringクラスで5位に入賞し、アキュラの新世代スポーツセダンが秘める実力の高さを示した。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)