【GT500】地元 鈴鹿での450kmレースはアクシデントなど波乱の展開。64号車Modulo NSX-GTは14位でチェッカー
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2023 SUPER GT 第3戦(鈴鹿サーキット)
#64 Modulo NSX-GT
予選:9位
決勝:14位
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ゴールデンウィークに開催された第2戦からちょうど1ヶ月間のインターバルをはさみ、2023年SUPER GT第3戦が鈴鹿サーキットで開催された。開幕戦では予選3位、決勝レースでもポイントを獲得した64号車Modulo NSX-GTだが、前戦の第2戦では予選・決勝とも厳しい展開となってしまった。
鈴鹿サーキットはホンダ勢にとって地元でもあり、Nakajima Racingとしても過去には鈴鹿1000kmレースで優勝を飾るなど、得意としているサーキット。今回も第2戦に続いて450kmのレース距離で争われるが、サクセスウェイトの軽さも活かしてぜひ好成績を残したいところ。
2023 SUPER GT第3戦(鈴鹿)は、波乱の幕開けとなった。レースが開催される週末に備えて、通常は前日の金曜日にチームはマシンなどをサーキットに搬入するが、台風2号や梅雨前線が影響したことで、金曜搬入日は本州のほぼ全域で豪雨となるような状況。金曜日には公共交通機関にも大きな影響があった。
そんな前日の天気が信じられないほど、土曜日は午前中から好天に恵まれ、鈴鹿の上空に広がる青空は夏の到来を思わせるほど。コースコンディションは申し分ないものの、まだ公共交通機関は通常運行とはなっておらず、そのためレースクイーンが登壇するステージイベントなどが中止や内容変更を余儀なくされてしまった。
開幕戦ではポイント獲得したものの、第2戦では苦しいレースとなってしまった64号車Modulo NSX-GTは、サクセスウェイト2kgを積んで第3戦に臨む。この数値は16号車とならんで参戦車両のうちもっとも少ないため、軽量な車体を活かしてラップタイムや燃費性能を伸ばしたいところ。
しかしながら事前の予想より上昇した気温や路面温度に対応しきれなかったか、6月3日午前中に行われた公式練習では、64号車のタイムは伸びず1分46秒302で12番手。午後の予選を迎えても陽射しは変化を見せず、ただ風が強まったことで体感温度はやや低くなった。
公式予選Q1を担当するのは、伊沢拓也選手。伊沢選手は予選開始早々にコースインして、タイヤを入念に暖めてからアタックラップに入る。公式練習からコンマ8秒近くを更新し、1分45秒441をマークするも結果は10位。残念ながらQ2進出は果たせなかった。
なお予選Q2終了後にタイム抹消となったライバル車両があったため、64号車は予選結果がひとつ繰り上がって9位となり、9番グリッドから決勝レースに臨むこととなった。
迎えた6月5日、血sy方レースが開催される日曜日も青空が広がり、初夏を思わせる陽気となった。今回の第3戦は前戦と同様に450kmのレース距離で争われ、周回数は77周。途中2度のピットインおよび給油作業が義務付けられる。
つまり3スティントが標準の作戦となるが、ドライバーは2つのスティントを連続して走行することも可能。ただし2名のドライバーどちらも、決勝レース周回数の1/3以上を走行しなければならない。
9番手からスタートする64号車Modulo NSX-GTは、第1戦・第2戦とは異なり太田格之進選手がスタートドライバーを担当。太田選手にとってGT500でのローリングスタートは初だったが、とくにアクシデントもなくポジションをキープしたままオープニングラップを終える。
序盤から思うようにペースが上がらず我慢の展開となるが、5周目にひとつポジションを落としてしまい、10番手へ。その後は8周目にトラブル車両が発生したためFCY(フルコースイエロー)が出され、そのまま翌周にはSC(セーフティカー)が導入される。このSCで各マシンのタイム差がいったんリセットされ、13周目にレースが再開、太田選手は周回を続けていく。
その後、21周目に64号車Modulo NSX-GTは最初のピットイン。給油作業とタイヤ交換を行い、ドライバーは後退せずにコースに復帰。ダブルスティントを敢行した太田選手は、アウトラップの翌周に前走車をオーバーテイクしようと仕掛けるが、なんと接触してスピン!
幸い車両のダメージはなかったものの、この影響でGT500の最後尾まで順位を落としてしまう。単独走となった64号車Modulo NSX-GTは、ペースは悪くないもののバックマーカーの存在などもあり、なかなか安定した走りができない苦しい展開が続いた。
そしてレースの折り返しを過ぎた42周目に、太田選手は2回目のピットイン。給油とタイヤ交換、さらに伊沢選手へとドライバーチェンジを行って64号車Modulo NSX-GTは14番手でコースに復帰した。
ドライブする伊沢選手はペースを上げ、前をいくライバル車両を追い上げるべく周回を重ねるが、58周目の130R〜シケインにおいてGT500クラスのライバルである23号車MOTUL GT-Rと、2台のGT300車両による計3台の大きなクラッシュが発生してしまう。
23号車MOTUL GT-Rは宙に舞い、マシンはモノコックのみを残して大破してしまうほどの激しいクラッシュとなった。すぐにセーフティカーが導入されたのち、赤旗が掲示されてレースは中断。23号車をドライブしていた松田次生選手はドクターヘリで病院へ搬送された。
幸いにも松田選手に大きな外傷はなく意識もしっかりしていると発表され、またGT300車両のドライバーも無事が確認されたことで、あらためてSUPER GT車両の優れた安全性を示すこととなった。
しかしながらクラッシュによる影響でタイヤバリアやガードレールなどのコース設備は大きく破損し、安全性を回復させるまでの修復には時間を要することから、決勝レースは赤旗の掲示をもって終了すると発表された。
なお決勝レースのリザルトについては、暫定結果は発表されたものの協議事項があり、JAF日本自動車連盟のモータースポーツ審査委員会にて審議されることになった。
(追記)2023年6月12日、SUPER GT第3戦『SUZUKA GT 450km RACE』が行われた鈴鹿サーキットは決勝レースに関する正式結果表を発表。19号車WedsSport ADVAN GR Supraが優勝、36号車au TOM’S GR Supraが2位、1号車MARELLI IMPUL Zが3位となった。
決勝レースが中断された58周目時点で、トップを走っていたのは3号車のNiterra MOTUL Zであったが、3号車はこのレースで義務づけられていた決勝レース中の2回の給油を伴うピットインを作戦上まだ行っていなかった。決勝レースが赤旗中断・中止となったため結果的に2回の給油義務が行えなかったことで、ピットイン+給油相当時間に相当する「60秒」が3号車には加算され、正式結果4位となった。
思いがけない結末を迎えることとなったSUPER GT第3戦であったが、ホンダ勢の最上位は100号車STANLEY NSX-GTの5位で、7位に8号車ARTA MUGEN NSX-GT、9位に17号車Astemo NSX-GT、12位に8号車ARTA MUGEN NSX-GT。64号車Modulo NSX-GTは14位という結果となった。
次戦のSUPER GT第4戦は、約2ヶ月のインターバルを経て8月5-6日に静岡県・富士スピードウェイで行われる。
中嶋 悟 総監督 コメント
「レースペースが思っていたほど安定せず、苦しい展開でした。途中でレースが終わることになりましたが、アクシデント車両のドライバーたちが無事で何よりだったと思います。次戦まで2ヵ月近くのインターバルがあるので、もう一度立ち返って、足らない部分をしっかりと補えるような準備をしたいと思います。今大会もたくさんのご声援をありがとうございました」
伊沢拓也選手 コメント
「今回は初めて太田選手がスタートを担当しました。しっかり走ってくれていましたがペースがなく、途中で接触はありましたが、それがなかったとしても結構厳しい戦いになると感じていました。僕のスティントではタイヤを別のものに変えてみましたが症状は同じで、ペースが上がらないままレースを終えることになりました。次戦まではインターバルが長いので、何とか立て直してシーズン中盤戦に入りたいと思います」
太田格之進選手 コメント
「初めてスタートドライバーを担当しました。今までと違ってバトルも激しかったし、前のマシンに仕掛けに行くような場面もあって楽しかった半面、コンディションとのマッチングがあまり良くなくてペースが悪く、全体的には追い上げというより我慢のセッションになってしまったことは苦しかったです。ここまで悔しいレースが続いていますが、次戦は予選から前の位置にいて、そこで戦えるようにしたいです」
(text:Honda Style Web)