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【名車図鑑】大型化された車体で高級感も向上した8代目アコード。セダンとツアラーにスポーティ仕様「Type S」を設定

K20A型エンジンを搭載した「ユーロR」が設定されたことでも知られる、7代目(CL型)アコードの後を受けて2008年に登場したのが8代目(CU型)モデルだ。アコードといえば欧州、日本、北米をはじめとする世界各市場で販売されているグローバルモデルだが、ほぼ欧州仕様と同じ内容のモデルが日本国内向けに販売された。

なお先代にあたるCL世代から、アコードはアキュラ・ブランドの兄弟車「TSX」として北米市場にて発売されており、その影響もあってCU型セダンの車体は全長4730mm×全幅1850mm×全高1440mmと、クラスを超えた迫力あるサイズとなっている。

そして北米市場にも「アコード」は存在したが、そちらはさらにひとまわり大きな車体を持つ別モデルであり、日本市場へは「インスパイア」として導入されたこともトピックといえる。

ユーロRとは異なる方向性のスポーティセダン/ワゴン

アコードツアラーType S

2008年に発売された8代目CU型アコードは、先代CL型と同様にセダンおよびステーションワゴンというふたつのボディが設定された。後者のステーションワゴンは、あらたに「ツアラー」の車名が与えられている。

グレード展開はセダン/ツアラーとも共通で、24E/24TL/24TL SPORTS STYLE/24iLの4種類。エンジンはK24型2.4リッター直列4気筒DOHC i-VTECで、5速ATが組み合わされた。駆動方式はFFのみ。



専用サスペンションが装着されるType Sだが、車高はベース車両から変更なし。ホイールは専用の18インチで、新車時はミシュランのプライマシーHPを装着

先代CL型で人気を集めた「ユーロR」だけでなく、MT車そのものが設定されなかった点はアコードオーナーにとって残念であったが、CU型アコードが従来のスポーティセダン/ワゴンからラグジュアリーセダン/ワゴンへと進化した証といえる。とはいえやはりスポーティグレードを求めるファンの声は大きく、3年後の2011年に行われたマイナーチェンジで「Type S(タイプS)」が設定された。

このマイナーチェンジにおいては、新たに2リッターエンジンを搭載する20TL/20TL・スマートスタイルパッケージが設定されたほか、2.4リッターエンジン搭載車は「Type S」のみとされ、より差別化が図られた。なお、セダンとツアラーでまったく同じグレード展開となる点については変わっていない。

Type S専用ヘッドライトは、従来ハイビームがあった位置にウィンカーランプが備わる。Type Sアドバンスパッケージでは、グリル内にCMBS(衝突軽減ブレーキ)のセンサーも装着される

Type Sは、専用デザインのフロントグリルやヘッドライトに加え、フロントアンダースポイラーやサイドシルガーニッシュを装備。リアまわりではマフラーが左右二本出しタイプとなり、リアアンダースポイラー部もマフラー出口に合わせた形状が採用されるなど、ロー&ワイドなイメージが強調された。

灯火類では、ライト内のシェードの角度を変えることにより、1つの光源でハイ/ロービームを切り替えられるプロジェクタータイプのディスチャージヘッドライトを採用。遠くにある物の情報を早く得ることで、ドライバーにとってゆとりある運転に貢献するとしている。

Type Sのステアリングはレザータイプで、そのほか本革ATセレクターやアルミ製スポーツペダルなどを標準装備

Type SのエンジンはK24型2.4リッターDOHC i-VTECで、最高出力は206PS。ヘッドカバーはベースモデルと同じブラック塗装ではあるが、DBW(ドライブバイワイヤ)の設定を変更するなど性能を向上。

CL7型アコード ユーロRの220PSから比べると寂しい数値ではあったが、「S」レンジを備えた5速ATにはパドルシフトも組み合わされており、ステアリング背後に備わるレバーを操作することでマニュアル的操作も可能となっていた。

メーターパネル内の文字色は赤を基調としたType S専用デザインに変更されている

さらにType S専用セッティングのサスペンションや、大径化されたフロントブレーキなどの組み合わせにより、上質なスポーティサルーンにふさわしい爽快な走りを実現していた。

インテリアはブラック×レッドで統一。シートはスポーツ性より質感や快適性を重視した仕様。シート表皮もレッドのステッチが施される

前述のように、Type Sはセダンだけでなくツアラーにも設定されており、この点でもユーロRとは異なる方向性である「大人のスポーティセダン」「大人のスポーティワゴン(ツアラー)」の姿を示していたといえる。

CU型アコードは2011年にType Sが追加設定された後、翌2012年にはType SにHondaインターナビ+プログレッシブコマンダー+ETC車載器を標準装備とするなど変更が加えられ、2013年3月まで生産が行われた。

ホイールはType S専用デザインの18インチ。タイヤサイズは235/45R18が組み合わされる

そして2013年6月には9代目となるCR5/6型が登場するが、ボディはセダンのみ。さらに日本仕様はハイブリッド/プラグインハイブリッドの2車種となるなど、スポーティセダンとしての色はほぼ無くなってしまった。

ツアラーType Sのテールゲートは、ボタン操作で電動開閉が可能だった

日本国内においては、1台限りのスポーティモデルとなってしまった「アコードType S」だが、スタイリッシュなフォルムや上質な内装、さらにツアラーにも設定されたことで利便性・実用性も高く、現在でも根強いファンに支えられるモデルとなっている。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎) 

ACCORD Type-S sedan
SPECIFICATION□ 全長×全幅×全高:4730×1850×1440mm□ホイールベース:2705mm□トレッド(F/R):1580/1580mm□車輌重量:1540kg□エンジン形式:直列4気筒DOHC VTEC□ボア×ストローク:87.0×99.0mm□総排気量:2354cc□圧縮比:11.0対1□最高出力:206PS/7000r.p.m.□最大トルク:23.7kg-m/4300r.p.m.□トランスミッション:5速AT□サスペンション形式(F&R):ダブルウィッシュボーン□ブレーキ形式(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク□タイヤサイズ(F&R):235/45R18□新車時車両価格:364万円