【モデルカー】あの頃のホンダに世界がときめいている!日本が世界に誇るハイブランドがホンダの名車を続々製品化(3)

さて、これまで3回にわたってお届けしてきたメイクアップのS2000のレポートだが、最終回となる今回は、昨今のモデルカー事情について述べてみたい。
【モデルカー】あの頃のホンダに世界がときめいている!日本が世界に誇るハイブランドがホンダの名車を続々製品化(1)
【モデルカー】あの頃のホンダに世界がときめいている!日本が世界に誇るハイブランドがホンダの名車を続々製品化(2)

現在、コレクター向けの完成品モデルカーのフォーマットはいくつかあるが、まず材質に関してはレジン製とダイキャスト製に大別される。前者はレジン無垢の車体で、あくまで外観と目に見えるインテリア部分を再現していることからプロポーションモデルと呼ばれる。これは1/18も1/43も同様だ。
いっぽうのダイキャスト製は1/43に関しては開閉ギミックを持たないプロポーションモデルが主体だが、1/18はドアやボンネット、トラックリッドなどが開き、さらにフロントステア機構なども備えたものも多い。少数ながら1/18ダイキャスト製のプロポーションモデルも存在する。

レジン製モデルはシリコン型を使って複製・生産されるため、型の耐久性もあって生産性はあまり高くなく、多くても数百個が製造される程度にとどまる。ダイキャスト製モデルは金属製の型の中に溶かしたダイキャストを高圧で流し込むインジェクション成型で生産されるため、数千個という単位で製造される。
つまりレジン製モデルは少数多品種向け、ダイキャスト製は多数少品種向けということになり、価格もレジン製のほうが高めになるのが普通だ。レジン製モデルのメリットとしては、型自体が軟性のシリコン製であるがゆえ、多少入り組んだ複雑な部分でも成型がしやすい点が挙げられる。

ダイキャストは金属製の金型で成型されるため、型抜けが悪くなるような、例えばボディサイドのエアインテークなどは、彫りを浅くする、あるいは金型自体がバラバラに分かれて成型物を外せる高価なスライド金型などが必要となってくる。

レジン製モデルは、原型があればそれを基に雌雄反転させて生産用型を作れるため、例えばこのS2000のバリエーション展開などは対応が容易だ。しかしダイキャスト製モデルの場合は、前後バンパーなどを別部品化するなど、バリエーション展開を予想して設計しておかない限りは、ボディ用の金型を改修する必要が出てくるためにコストも嵩んでしまう。

過去に発売されたS2000のダイキャスト製モデルカーの多くが初期型AP1のみで、前後バンパー形状に変更を受けたAP1-130以降やAP2、最後に追加設定されたS2000タイプSなどがバリエーション展開されなかったのは、そうした事情によるところが大きいはずだ。

メイクアップでも、まず初期型のAP1を設計してS2000シリーズのデフォルトとなる原型を製作。その後、前後バンパーや前後灯火類など、AP1初期型と異なる部位のデータを実車から3Dスキャンで採取した上で原型に投影してAP1-130型以降やAP2へとアレンジ。さらにAP2後期型に設定されたS2000タイプSも、同様の手法で原型を製作している。

わざわざ部分的に改修するのは、実は原型をゼロから設計するよりも手間がかかるが、メイクアップのS2000の各タイプを並べた際に表現や解像度の整合性が取れ、また各仕様の差異が際立つということで基本を統一にしているのだと言う。

そう聞くと、現在ラインナップているAP1初期型、AP2、そしてタイプSの3台を、まるで私設S2000ミュージアムのごとく自身のホビールームに並べて楽しんでみたくなる。そしてメイクアップのホームページを覗くと、北米市場専用モデルであるS2000CRの1/43がリリース予定とアナウンスされており、こちらも楽しみだ。
■商品ページ:
https://www.makeupcoltd.co.jp/products/detail/1444
■取材協力:
ケーズアップ https://www.typer.jp/