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【GT500】前戦のアクシデントから復活した64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT、最後まで諦めない走りで今季初の2位🥈

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2025 SUPER GT 第7戦(オートポリス)
#64 Modulo CIVIC TYPE R-GT
予選:8位
決勝:2位
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2025年シーズンのSUPER GTもいよいよクライマックス! 2025シーズンも残すところ2戦となり、Modulo Nakajima Racingをはじめホンダ系チームで長らく活躍してきた、伊沢拓也選手のGT500におけるレース活動もあと2レースとなった。

さらに2026年から、ホンダはGT500クラスにプレリュードGTを導入することを発表。昨シーズンより投入されたシビック タイプR-GTは、わずか2シーズン・16レースで姿を消すことになる。それだけにModulo Nakajima Racingは、残り2戦で何としても表彰台、さらには頂点へ駆け上がりたいところ。

第6戦(スポーツランドSUGO)の決勝レース中に、アクシデントに巻き込まれて車体に大きな損傷を受けた64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT。しかしチームのメカニックによる懸命の修復作業によりみごとに復活! ステアリングを握っていた大草選手も身体のコンディションに問題なく、第7戦に臨んだ。

SUPER GTの規定により、各マシンに搭載されるサクセスウェイトが第7戦では『獲得ポイント×1kg』へと変更され、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTのSWは9kg。ライバルたちに対して軽い車体に、ホンダ勢がこの第7戦から投入した2基目のエンジンとの組み合わせで、ぜひ今季初表彰台さらにはポディウムの頂点を期待したいところ。

そんな様々な想いが交錯する第7戦の舞台は、アップダウンに富んだコースレイアウトが特徴の大分県・オートポリス。山あいに存在するため雨や濃霧といった悪天候にも見舞われやすいコースだが、公式練習および公式予選が行われた10月18日の下り坂の空模様。早朝の時間帯はオートポリスの空を曇が覆っていただけだったが、午前中の公式練習では終盤に大粒の雨がコースを濡らした。

その後いったん雨は止み、路面も乾いてドライタイヤで走れるほどに回復したものの、公式予選が始まるころに再び雨が降り始める。各チームとも判断に悩む難しいコンディションのなか、GT500クラスのQ1を迎えた。

天候は雨だが、路面状況はまだウェットタイヤを履くほどではないというコンディション。64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTを含め、GT500クラスの全車がドライタイヤでタイムアタックに挑んだ。そんななか、Q1を担当した大草りき選手は1分32秒623というトップタイムを記録! 前戦でのクラッシュからの「復活」に、スタンドからは大きな拍手が贈られた。

続くQ2では、コンディションが一変。Q2の開始直前に雨量が増え、路面は完全なウェットに。そのため各チームともタイヤ交換を行い、GT500の全車がウェットタイヤを装着してコースイン。走行中のマシン後方からは高く上がる水煙がはっきり見えるほどの難しい状況のなか、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTをドライブした伊沢拓也選手は決勝レースを想定した走りに徹し、1分43秒961をマーク。8番手で決勝レースに挑むこととなった。

第7戦の決勝レースは、第2戦(富士スピードウェイ)以来の3時間制。そのため決勝レース中には、給油を伴う2回のピットインが義務付けられており、各チームの戦略も見どころのひとつ。10月19日(日)も天気予報では下り坂だったが、午前中の練習走行はドライコンディションで行われた。

やがてスタート進行の時刻を迎え、上空は雲に覆われているものの降雨はなく、予定時刻どおりに決勝レースがスタートした。スタート時刻の気温は22度、路面温度は25度で、まさに気持ちのいい秋空という好コンディション。64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTは伊沢拓也選手がスタートドライバーを務めた。

するとオープニングラップで、4位走行中の38号車KeePer CERUMO GR Supraと5位の12号車TRS IMPUL with SDG Zが接触。38号車はスピンを喫してしまう。すぐ前方で発生したアクシデントだったが、伊沢選手は冷静に対処して8番手から7番手へと順位をひとつ上げることに成功。2周目以降も順調に周回を重ねていく。

10周を終えるころ、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTは後方から迫ってきた24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zと激しい順位争いを展開。そして12周目の3コーナー進入にて、2台は接触してしまう。伊沢選手は順位を守り切ったものの、24号車はコースから弾き出されたかたちとなりタイヤバリアにクラッシュしてしまう。

このアクシデントがきっかけとなってフルコースイエロー(FCY)が宣言され、その後にセーフティカー(SC)が導入された。ホームストレート上でいったんポジションを整理したあと、17周目にレースは再開される。すると12周目の接触に関し、伊沢選手にドライブスルーペナルティが課せられてしまう。

このペナルティを消化したため、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTは14番手までポジションを下げてしまったものの、伊沢選手は猛プッシュで巻き返してスタートから1時間経過時点では7番手まで順位をアップ。さらにライバルチームがピットインするタイミングもあり、5番手まで浮上する。

伊沢選手は35周目にピットインを行い、大草りき選手へとドライバーチェンジ。もう1度のピットインが課せられているが、次回はドライバー交代の予定はなく、大草選手が連続スティントで残り2時間弱を周回していく作戦だ。

ピットインにより前方を走る車両の集団から離れたこともあり、大草選手は自分のペースに集中して走行を重ね、20周を超えることには11番手までポジションを戻す。その後も順位を上げ、9番手を走行していた58周目に2度目のピットインを行ない、給油とタイヤ交換を行ってコースに復帰する。

そして全車が2度目のピットインを済ませ、残り時間が1時間となるころには100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTがトップ、16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTが2位、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTが3位で続き、ホンダ勢による1-2-3体制が確立される。

後続との距離は離れ、ほぼ表彰台圏内は確実と思われるなか、大草選手は最後の最後まで諦めることなく前を走る16号車を追う。すると3時間の決勝レース終了まで残り1分という時点で、大草選手がついにオーバーテイクに成功! 2番手に順位を上げる。

レースは100号車がそのままトップでチェッカーフラッグを受け、2位は64号車Modulo CIVIC TYPE R-GT、そして3位に16号車と続いた。Modulo Nakajima Racingにとっては2年ぶりとなる表彰台獲得、そして大草選手はGT500クラスにおける初表彰台を獲得した。

中嶋 悟 監督 コメント

「最高です。天気がもってくれたのもよかったですが、2人のドライバーがとにかく長いレースを頑張ってくれました。もちろんチームもいい仕事をしてくれたと思います。今日の表彰台にはうちの卒業生が勢揃いして、その点もとても嬉しく感じています。今大会もたくさんのご声援をありがとうございました。最終戦もチーム一丸となって頑張ります」

伊沢拓也選手 コメント

「クルマもタイヤも素晴らしいパフォーマンスでした。僕がペナルティを受けてしまって最後尾になりましたが、自分も諦めずにプッシュし、残り2スティントで大草選手が取り返してくれました。欲を言えば、あのペナルティがなければ勝てたかなと思うところもありますが、みんなが頑張ってきた一つの証がこの2位という結果。今まではそれすらも届かなかったので、今回そこにたどり着けたことは本当にうれしく思います」

「オートポリスはタイヤに対して一番厳しいサーキットだという認識があるなかで、そこでの戦いでライバルに対していいパフォーマンスを出せたことに驚いている部分もありますが、ここでこれだけ戦えるということは、他のサーキットでももっといい戦いができるのではないかと期待が持てました。最終戦もいいレースをしたいです」

大草りき選手 コメント

「ホッとしました。本当に完ぺきだったし、100号車は速すぎましたが、自分たちが持っている力を100%出せたと思います。そして、やっぱり勝ちたいとも思うことができました」

「終盤、前を走る16号車の佐藤選手は一人で走るとペースはあるけれど、300クラスが絡んでくると少し辛そうな部分がありました。チャンスはそこだということを頭に入れながら、自分が遅いところ、相手が遅いところの差引をして、ここだったらいけるぞというところを探りながら走っていて、最後の最後にチャンスが巡ってきたので、ここしかないと思っていきました。最終戦が残っているので、伊沢選手と一緒に戦えるラストレースはさらに頑張って、もっといい結果にしたいです」

(TEXT:Honda Style Web)