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【動画】アメリカのレースシーンで活躍した「もうひとつのインテグラ・タイプR」が美しくレストアされて復活!

ホンダを代表するスポーツモデルといえば、「タイプR」シリーズだ。チャンピオンシップ・ホワイトのボディカラーと赤バッジの通称で呼ばれるエンブレムは、「タイプR」の各モデルだけに与えられるディティールとして知られている。

タイプRシリーズの元祖というべき「NSX-R」が登場したのは、1992年のこと。国産初の量産スーパースポーツであるNSXをベースに、徹底した軽量化や職人がほぼ手組みで生産するエンジンなど、ストイックに運動性能を追求したモデルとして誕生した。

そのNSX-Rのコンセプトを、もっと身近なモデルでも味わえるようにと1995年にインテグラ・タイプR(DC2型)が誕生。以降、その手法は時代ととともに変化しつつも歴代インテグラやシビックをベースにタイプRが設定された。現行モデルのシビック・タイプRは「世界最速FF」を旗印に開発されたことはご存知のとおりだ。

初代インテグラ・タイプR(日本仕様)

そんなタイプRシリーズのなかでも、もっともピュアなモデルとして知られているのが1995年秋に登場した初代モデル、DC2型インテグラ・タイプRだろう。現在でもファンが多いこの車両だが、じつは日本国外でも販売されていたこと、さらにはレースに出場していたことはあまり知られていない。

ホンダが北米市場を中心に展開するラグジュアリー・ブランドのACURA(アキュラ)は、2019年秋に初代インテグラ・タイプRのレーシングカーをアメリカ国内でフルレストアし、17年ぶりにレースに出走した。その映像が公開されているので、まずはご覧いただこう。

北米市場へ「アキュラ・インテグラ・タイプR」が導入されたのは、日本市場から約1年ほど遅れた1997年のこと。ベースモデルのインテグラは日本仕様では角形ヘッドライトを持つ後期型へと変更されていたが、北米市場では丸型4灯ヘッドライトがそのまま継続されており、タイプRも同様のデザインとなる。

そのほか外観では、前後のエンブレムは「赤バッジ」ながらホンダのHマークではなくアキュラのAマークとなるほか、ホイールのセンターキャップにも赤いAマークが配される。なおサスペンションやブレーキといった脚まわりについても専用品とされ、PCDは5穴タイプとなっている。

北米仕様インテグラ・タイプRは、スポット溶接が追加されたボディにB18C5型と呼ばれるエンジンを搭載。日本仕様のB18C spec Rとは細部が異なるものの、手作業によるポート加工が施されたヘッドや薄型バルブ、強化バルブスプリング、強化コンロッドなどを採用。圧縮比は10.5:1で、最高出力は195hpを発揮した。

アキュラ・インテグラ・タイプRのエンジン。赤いヘッドカバーはHマークのない専用デザイン

日本国内ではジムカーナなどに参戦する姿が多く見られたDC2型インテグラ・タイプRだが、サーキットにおけるレースシーンにおいて活躍したイメージはそれほど強くない。いっぽうアメリカでは、市販車ベースの車両で争われるSPEEDツーリングカーレースにおいて、輝かしい実績を残している。

1997〜2002年の6年間、カーナンバー42のアキュラ・インテグラ・タイプRを走らせ、圧倒的な強さを誇ったのがリアルタイム・レーシングだ。レーシングドライバーのピーター・カニンガムがチームオーナーも兼任し、6シーズンの参戦中で23勝、5度のドライバーズチャンピオンに輝いた。

いっぽうマニファクチャラーズ・チャンピオンは、1998〜2000年の3連覇に加え、参戦した最後の年である2002年にも獲得している。2002年に参戦を終了して以降は表舞台に登場することがなかった栄光のレースカーを、チームは17年ぶりにレストアを行い、当時の美しい姿を取り戻した。

2001年モデルのアキュラ・インテグラ・タイプR

映像内でもわかるように、美しくレストアされたレースカーのインテグラ・タイプRは、ウィスコンシン州ロードアメリカで行われたヴィンテージカーによるレースに出走。ピーター・カニンガムがステアリングを握った。同氏によると外観だけでなく機関も完璧にレストアされており、B18G5型ユニットは9000回転まできっちり回ったという。

2001年式インテグラ ・タイプRのインテリア

その後もDC2型インテグラは生産が続けられ、2001年に後継モデルであるDC5型にフルモデルチェンジ。日本では当初よりタイプRが設定され、エンジンは次世代のK20Aを搭載。最高出力220PSを誇った。北米市場にもアキュラ・ブランドから販売され、RSXへと車名を代えつつ人気を集めたが、「タイプR」は設定されなかった。

DC5型インテグラは2006年に生産を終了し、以後、北米でも日本でもインテグラの車名はラインナップから姿を消している。一時代を築いたといっていい人気のスポーティクーペだけに、いつかまた復活を期待したい。

2019年9月、鈴鹿市のショップ・ルートKS主催の走行会に訪れていたピーター・カニンガム氏。本誌とともにパチリ

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)