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【TAS21】これが未来のモータースポーツ!! ホンダアクセスが手がけたEVドラッグレーサー『e-DRAG』の本気ぶり

ホンダ車用純正アクセサリーの開発・販売を手掛けるホンダアクセスは、新型コロナウィルスの感染拡大によりオンライン開催となった『東京オートサロン2021 バーチャルオートサロン』にて、2台のコンセプトモデルを出展。そのうち、ホンダ初の量産電気自動車(EV)であるHonda eをベースに制作されたのが「e-DRAG(イードラッグ)」だ。

今回のバーチャルオートサロンにおいて、ホンダアクセスは『”オモシロイ”スポーツのコレマデとコレカラ』をテーマとし、「e-DRAG」および「K-CLIMB(ケイクライム)」という2台のコンセプトモデルを制作。いずれもモータースポーツをイメージし、e-DRAGはドラッグレースへの参戦を想定した設計となっている。

ドラッグレースとは、一般的には1/4マイル(約402m)の直線コースをいかに速く駆け抜けるかを競うモータースポーツ。レースは基本的に2台が左右に並ぶ「1台vs1台」形式で行われ、勝ち抜いたほうの車両が次のレースに進むトーナメント方式で行われる。

数秒でゴールまでたどり着くため勝負が早いこともあり、アメリカでは特に人気が高い。もっとも有名なのはNHRAというドラッグレース専門団体で、全米各地を転戦するシリーズ戦も行われている。

そんなドラッグレースでは静止時状態からの加速力が重要となるため、回転の瞬間から最大トルクを産み出すモーターならではの瞬発力と、リアに動力源のモーターを配置してリアタイヤを駆動するRRレイアウトを兼ね備えるHonda eはうってつけの存在。そこでe-DRAGではドライブトレインには基本的に手を加えず、主に軽量化を目指してボディまわりに大胆なモディファイが施された。

ルーフはカーボン素材に置き換え。発表はないがフロントガラスもアクリル製に交換されていると思われる

ボディはベース車両の面影を残しつつ、フロントリップは開口部を設けるなどして冷却性能をアップ。ルーフはカーボンで補強した樹脂(CFRP)へと変更され軽量化を実現している。

フロントまわりは現時点ではベース車両と同様だが、今後はボンネットフード、フロントグリル、フロントバンパー、フェンダーまでを大きく一体成型のカウル形状とし、取付構造の簡素化や大幅な軽量化を画策しているという。

ホイールは前後とも17×7J。タイヤはM&H Racemaster製で、フロントが185/55R17のドラッグラジアル、リアは8.5/26.0-17のドラッグ用スリックを装着する

そのほか外観で特徴的なのは、7本スポークのアルミホイールだ。Honda eは上位グレードのAdvanceが17インチを装着するが、リム幅や軽量化を狙って交換。フェンダーにも記されているとおり、NSXの後期モデルに標準装備された17インチホイールを採用する。

ちなみにフェンダーにはFROM”NSX”とだけ記されているが、その前の部品番号「44700-SL0-961」からすると、2002年に登場したNA2型NSX-R用フロントホイール。カラーは当然ながらチャンピオンシップホワイトである。

サスペンション形式は前後ともマクファーソン式で変更はないが、ダンパーとスプリングは車高調整式へと交換。ダンパーケースやスプリングのカラーリング、そしてチラリと覗くロゴからHKS製と思われるが、もちろん市販製品としてはラインナップされていないワンオフ品だ。

フロントのピロボール式ロアアーム、リアのピロボール式ロアリンクはいずれもワンオフ品。ブレーキはベース車両から変更なく、フロントがベンチレーテッドディスク、リアはソリッドディスク。キャリパーについても前後ともベース車両から変更はない模様だ。

シートはアメリカのドラッグレースでは定番ともいえるKIRKEY製。4点式シートベルトはSIMPSONと北米メーカーで揃える

いっぽうインテリアは、外観からは想像できないほど大きく変更された。リアシートはすべて除去され、いわゆる「ドンガラ」ボディにダッシュボード貫通式の本格的な6点式ロールケージを装着。フロアも剥き出しとされレーシーな印象となっている。

外観の特徴でもあるサイドカメラはそのままとなっており、モニターが備わるインパネはベース車両から変更なし。センタコンソールのスイッチ類も残されている。

床下に収まるバッテリーに関しては変更点が発表されていないが、航続距離を気にしなくて良いだけに大胆な小型化も予想される

リアシートやラゲッジルームがすべて除去された車内の様子は、まさにレーシングカーそのもの。もちろん本来のドラッグレーサーには助手席も装着されないが、今回はショーモデルであるために装着している。

今後はさらなる軽量化や、最適なサスペンションセッティングを煮詰めるべく開発を進めるとのことだが、実際にどのようなパフォーマンスを示すのか非常に気になるところだ。

なおホンダアクセスのオートサロン特設サイトでは、このe-DRAGとK-CLIMBのカラーリング人気投票を2021年1月31日までの期間限定で実施中。

投票で選ばれたカラーリングデザインは、今後の実車開発において実際に採用されるとのことなので、ぜひとも投票に参加してみてはいかがだろうか。

東京オートサロン2021 バーチャルオートサロン開催概要

2021年1月15日〜2021年11月30日(火)予定
公式サイト: https://www.tokyoautosalon.jp/2021/
ホンダアクセス特設サイト: 
       https://www.honda.co.jp/ACCESS/events/autosalon2021/

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)