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【MOTOR EXPO】微笑みの国タイの最新クルマ事情。いちはやく「アフターコロナ」を実現したモーターショー会場では、中国メーカーの勢いがスゴイ

サワディカーップ!

先日は「タイモーターエクスポ」のレポートをお届けしました。その際はホンダブースとホンダ車にズームした記事だったのですが、おかげさまで大好評。というわけで編集長から次の記事の許可が出たので、第2弾のレポートもRedBullを片手に張り切ってお届けしましょう!

まずタイモーターエクスポがどんなイベントかといえば、単刀直入に説明すると東南アジアで最大の自動車生産国であるタイを代表する2つのモーターショーのうちのひとつ。イメージとしては自動車メーカーが中心となる東京モーターショーのような感覚ですね。

国を代表する新車中心のモーターショーで、タイに生産拠点を持つ自動車メーカーを中心にいくつかのインポーターも参加。なぜ春と秋の年間2回あるかといえば、それだけ自動車への関心が高いから(訪れる人は東京モーターショーよりも多い)、そして春と秋では主催者が異なることです。東京オートサロンのように民間の会社が主催しています。上手にバランスをとりながら2つのモーターショーが共存しているわけですね。

2022年の「秋のモーターショー」こと、タイモーターエクスポは12月1日から12日まで開催されましたが、世界のモーターショーのなかでも珍しいのは単に車両を展示する場ではなく大即売会となっていること(春のモーターショーも同様)。

各メーカーのブースの裏にはたくさんの商談テーブルがあり、バンコク近郊のディーラーから集められたたくさんのセールススタッフが来場者からバンバン購入予約を取っていくのです。

なんでわざわざモーターショーでクルマを買うのか?

来場者からすると「特別値引き」や「特別低金利」といったモーターショーのスぺシャルな条件でクルマをお得に購入できるほか、「モーターショーで新車を買った」というのも友達に自慢できるひとつのステイタスなのだとか。上手だなあ。

ちなみに2週間弱でどのくらいのクルマが売れたと思います? なんと2万9274台。その内訳をみると予約台数1位はトヨタで5084台。ついで我らがホンダで2795台でした。では、3位はどのメーカーでしょうか?

これ、ほとんどの日本人は当てられなと思いますよ。なぜなら日本のメーカーながら、日本国内では乗用車を販売していない会社だからです。

答えは……なんと、いすゞ。台数は2383台。何を隠そういすゞのピックアップトラックは大人気で、タイでのピックアップトラックにおけるシェアはナンバーワン(当然トヨタ超え)。凄いなあ。ところ変われば…ってやつですね。

そうそう、タイといえばピックアップトラック。会場で多くのブースでステージ上に展示されて目立っていたのはEVだけど、ジャンル別の台数でいえば見たところピックアップトラックが多いですね。やっぱり。タイのモーターショーにおける本当の主役は、ピックアップトラックなのです。

なぜかって? タイ人はピックアップトラックが大好きだから(税金などが安いという背景もある)。だからメーカーはピックアップトラックに力を入れ、低さ命のレーシーな雰囲気からアゲアゲのリフトアップ仕様といったカスタマイズモデルも、メーカーのブースに並んでいるのはタイのモーターショーの風物詩と言ったところ。なんだか東京オートサロンのような雰囲気もあるってことです。

ところで、そんなタイモーターエクスポの会場の真ん中でとあることを感じました。会場全体を見回すと、コロナ前とずいぶん様子が違うことに気が付いたんです。それは中国車の台頭。

今年のタイモーターエクスポでもっとも広いブースのひとつがトヨタでしたが、なんと中国の「BYD」や「GWM(グレート・ウォール・モーター=長城汽車)」のブースはトヨタと同じく最大級の広さを展開。中国車のイキオイは本当に凄いですね……。

単に広いだけでなく、EVを中心とする中国ブランドの展示車両周辺には、少し前では考えられないほど人が集まっていたのも印象的でした。日本人としては日系メーカーに頑張って欲しいところですが……。中国系の勢いはしばらく歯止めがかかりそうにありませんね。

さて、話は変わってもうひとつ興味深かったのは「アフターコロナ」の状況。半年前の「春のモーターショー」では、入場時に陰性証明やワクチン接種証明をチェックされたのですが、今回はなし。

各ブース入り口の手指消毒のアルコールポンプもずいぶんと減り、しかも使っている人なんてほぼいない。前回はそれなりにいた、人が降りるたびに展示車両の内装やドアハンドルを消毒するスタッフはついに1人も見かけませんでした。

そしてそして、半年ちょっと前は当然のようにマスク姿だった展示車両の横に立つモデルのお姉さんは基本的にノーマスク。やったー!(心の声)。

コロナ後の社会正常化はしっかり進んでいると感じました。はたして、来年(2023年)の東京モーターショー(「ジャパンモビリティショー」って言うんでしたっけ?)はどうなるでしょうかね?

ちなみにバンコクの街は、欧米からの観光客を除いてほぼ100%の人がマスクを着用。でもそれは法的義務ではなくあくまで自主的なもの(周囲への配慮という考え)なので、日本に近い感覚といっていいかも。

いっぽうで現地の人は、マスク以外はもうコロナを気にせず日常生活を送っているように感じました。それも昨今の日本と同じ空気感と言えるかもです。

(photo&text:Takahiro KUDO 工藤貴宏)