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【学生フォーミュラ2023】今年はいくぜ、シングルフィニッシュ! ホンダテクニカルカレッジ関東の5日間

2023年8月28日(月)から9月2日(土)にかけての6日間、静岡県袋井市と掛川市にまたがるエコパ(小笠山総合運動公園)で、学生フォーミュラ日本大会2023が開催されました。

学生フォーミュラとは、学生自らが小型フォーミュラカーを使ったビジネスの構想、車両の設計と製作を行い、その自らの車両を用意されたコースに持ち込んで、走行性能を実証する教育競技会。1981年にアメリカで開催された「Formula SAE」がその起源となっています。

学生たち自身の手で、実際に車両の製作、そして走行の場での性能評価はもちろん、その車両を売り込むプレゼンテーションまでを行い、それを日本大会では主催する自動車技術会の担当者がさまざまな角度からの審査を行なっていきます。

ホンダテクニカルカレッジ関東の「H-TEC Formula Project」チーム。ノーズの赤バッジは直系チームならでは

現在はほぼ同一のルールのもと世界各国で開催されており、アメリカ・イギリス・イタリア・インド・オーストラリア・オーストリア・オランダ・カナダ・スペイン・タイ・チェコ・ドイツ・ハンガリー・ブラジル・ロシア・韓国・中国・日本で競技会が行なわれています。

日本大会は2003年から開催されてきましたが、2020年大会は新型コロナウィルスの感染拡大を受け、その歴史で初の開催中止。2021年はオンラインで静的審査のみの開催、という形となりました。しかし昨年からは、一部オンラインでの審査もありますが、以前と同じように開催されています。

ここに、ホンダ系の自動車大学校であるホンダテクニカルカレッジ関東校及び関西校も参戦をしています。ホンダテクニカルカレッジ関東の「H-TEC Formula Project」チームは、昨年は10位を獲得しており、それによりゼッケンは10をつけることとなっています。

2023年はその昨年のマシンのコンセプトをキープしつつ「確実にステップアップする方向で、パワートレインは今回モーテックを投入し出力アップを狙い、セッティング幅を広げるシャシーも設計した」ということです。

エンジンはホンダのモトクロッサー、CRF450Lの水冷4ストロークOHC(ユニカムバルブトレイン)単気筒ユニットを搭載。こちらは昨年から継続利用しており、今年は脚まわりを中心にアップデート。どうやらタイヤグリップが急激に落ちてしまうという課題があったそうで、フロントタイヤを昨年仕様より幅の狭いサイズに変更し、横剛性のアップももくろんでいるそうです。

2023年7月3日にはシェイクダウンを行い、チームは「確実に進化させ、車両性能は上がっています」と語るほどの優れた完成度を確認しました。

前年の第20回大会から、学生フォーミュラ日本大会ではハイブリッド審査として「静的審査」と呼ばれるプレゼンテーション審査、デザイン審査、コスト審査が事前にオンラインで行われます。

プレゼン審査では15位と高ポイントを獲得したものの、昨年モデルのパーツの流用もあって得点が稼げなかったところもあり、デザインは25位、コストは23位という評価になりました。

無事に車検を通過すると、大会4日目に開催された「アクセラレーション(75mの加速タイムを競います)」、「スキッドパッド(左旋回と右旋回の周回タイムを競います)」、「オートクロス(直線、ターン、スラロームやシケインを組み合わせた1周800mの複合コースの走行タイムを競います)」の動的審査へと順調にコマを進めていきます。

この3種目は、2名のドライバーが2本ずつ走行するものですが、ホンダテクニカルカレッジ関東チームはすべてをしっかり走り切ってスキッドパッドは10位、アクセラレーションは27位、オートクロスでは18位を獲得しました。

そのオートクロスの結果で、続く「エンデュランス(1周約1000mのコースを二人のドライバーで10周ずつ走行する)」審査の出走順が決まるのですが、最終日に出走するGr.Aにわずかに及ばず、9月1日に走行するGr.Bの早朝の出走順に組み込まれました。

このエンデュランスでも2人のドライバーによる10周ずつのアタックは危なげなく走行が進み、H-TEC Formula Projectのマシンは無事に走り切ることとなりました。そのエンデュランス審査の結果は9位。そして走行後に計測された「効率(エフィシェンシー)」審査では、EV車両2台に続く3位を獲得。ICVトップ通過という好成績を残すことができました。

2023年9月4日の時点では、まだ正式な総合順位は出ていませんが、どうやら12位を獲得となりそう。残念ながらシングルフィニッシュはできなかったものの、自動車大学校ではNATS(日本自動車大学校)に次ぐ2位となりそうです。来年こそはシングルフィニッシュを獲得してほしいですね!

(photo&text:Yoshiaki AOYAMA 青山義明)